先週の日経平均は、1週間で759円上がり、15,291円となりました。先々週に日経平均は768円下がりましたが、それを1週間で取り返した形です。NYダウほか、世界的に株は反発しており、リスク資産の投げ売りは収束しつつあると考えられます。

(1)今週の日経平均は続伸を予想、ただし、徐々に上値が重くなりそう

今週の日経平均は、引き続き上昇が見込まれます。米国景気が堅調でNYダウが反発し、1ドル108円台までドル高(円安)が進んだことが好感されます。また、9月中間決算発表が始まり、2015年3月期の業績予想を上方修正する企業が増えてくると考えられます。

(2)15,500円が近づくと上値が重くなると考える理由

  • 個人投資家は上値を追っては買ってこない

    急落後に急騰した10月相場の主な買い主体は、個人投資家です。また、公的年金と見られる買いも入っています。

    10月の主な投資主体別売買動向(売買代金差額)

      売買主体 売り越し(買い越し)額
    売り手 外国人投資家 ▲9,395億円
    買い手 個人投資家 +1兆347億円
    買い手 信託銀行(注) +3,874億円

    (注:信託銀行の買い越しのほとんどが公的年金によると推定されます)
    (出所:東京証券取引所、2市場1・2部、総合証券60社経由)

    10月の個人投資家は、久々に1兆円を越える買い越しとなっています。個人投資家は、市場が下落すると買いが増え、市場が上昇すると買いが減少し、さらに上昇すると売りに転じる傾向があります。

    上値を追って買い、下値を叩いて売るのが外国人投資家です。日経平均がさらに15,500円を超えてどんどん上昇するには、外国人が日本株を買わなければなりません。今のところ、外国人の売りは収まりつつありますが、まだ外国人が積極的に買ってくる環境にはなっていません。

  • 中間決算で発表される業績予想は「超」保守的か

    9月中間決算では、2015年3月期の業績予想の上方修正が増えると考えています。ただし、上方修正幅は、全般に期待ほど大きくないかもしれません。足元、日本の景況感悪化を踏まえて、企業が下期の見通しをさらに慎重に見る可能性が高いからです。

(3)今週の注目指標

  • 29日(水) 日本の9月の鉱工業生産指数

    8月の鉱工業生産指数が前月比▲1.9%減と予想以上に悪く、日本の景気が4月~8月にかけて「ミニ景気後退」にあるとの認識が広がりました。市場予測によると、9月は前月比+2.2%増に転じる見込みです。回復力がどれだけ強いかによって、日本の景気の現状についての見方が大きく影響を受けます。

    鉱工業生産指数(前月比)

    (出所:経済産業省)

  • 29日(水) アメリカの金融政策を決めるFOMCの結果公表

    28日(火)・29日(水)に開かれるFOMCの結果が29日(日本時間では30日の早朝)に発表されます。予定通り、QE3(量的緩和第3弾)の終了が発表されると考えられます。ただし、それは市場に織り込み済みです。市場の関心は、いつ利上げが行われるかに移っています。そこで、注目されるのは、「緩和的状況が『相当な期間』維持される」という文言がFOMC声明に盛り込まれるかどうかです。市場には、足元の世界経済の減速によって、アメリカの長期金利は低下しており、利上げ時期は遠のいたとの解釈が広がっています。来年春に利上げがあると見る向きはほとんどなくなりました。利上げは来年秋以降との見方が増えています。

  • 30日(木) アメリカの7-9月のGDP速報値

    アメリカの景気の強さを再確認する内容になるでしょう。年率で3%を超える成長が達成されたと考えられています。

  • 31日(金) 日銀の金融政策決定会合の結果発表、10月の日銀による「経済・物価の展望レポート」発表、日銀黒田総裁が記者会見

    政策変更はないと考えられます。先行きの追加緩和を示唆するコメントが出るか注目されます。市場では、来年1月くらいに追加緩和が発表されるという予想が出ています。なお、来年2%の物価上昇を達成するという見通しが変更されるかどうかも、注目されています。