facebook twitter
2014年度上半期の貿易赤字は過去最大
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

2014年度上半期の貿易赤字は過去最大

2014/10/24
財務省が22日に発表した貿易統計(速報、通関ベース)によると、2014年度上半期(4~9月)の貿易収支は▲5兆4,270億円と、半期ベースで過去最大の赤字額となりました。この数字を見て、日本製品の競争力がなくなったと嘆く人もいるが、それは早計だと思います。
facebook twitter メールで送る 印刷

財務省が22日に発表した貿易統計(速報、通関ベース)によると、2014年度上半期(4~9月)の貿易収支は▲5兆4,270億円と、半期ベースで過去最大の赤字額となりました。この数字を見て、日本製品の競争力がなくなったと嘆く人もいるが、それは早計だと思います。

(1)東日本大震災後、日本の貿易赤字が定着

日本は2010年まで30年連続で貿易黒字を計上し続けていました。2011年に31年ぶりの貿易赤字に転落したのは、東日本大震災で原子力発電所が停止し、火力発電の燃料輸入が増えたことが最大の原因です。

(出所:財務省「貿易統計」、2014年8月・9月は速報値)

原発が停止して電力需給が逼迫する中、中東からあわててLNGを輸入したために、世界一割高なガスを買う破目になりました。日本がスポット輸入しているLNGは100万BTU(熱量単位)当たり14~16ドルです。アメリカのシェールガス(天然ガス)が100万BTU当たり4-6ドルであることを考えると、日本は非常に高価なLNGを買わされていることになります。2018年くらいまで、高値で契約したLNGの輸入を続けなければなりません。

日本の貿易赤字は2012年以降、拡大が続いています。大幅な円安が進んだことが赤字拡大の原因となっています。原油やLNGの価格はドル建てなので、円安が進むことによって円に換算した輸入代金は拡大します。一方、円安にもかかわらず輸出の伸びが鈍いために、貿易赤字が拡大しつつあります。

(2)日本の貿易構造が、輸出主導であるのは変わらず

日本は、今も変わらず、原燃料を輸入して完成品を輸出する貿易構造です。現在、鉱物性資源(原油・LNGなど)の赤字が大きいことが、貿易収支が赤字となっている最大の原因です。

<2014年上半期の輸出入の品目別構成比>

  ①輸出構成 ②輸入構成 構成比の差(①ー②)
食料品 0.6% 8.3% -7.7%
原料品 1.7% 6.9% -5.2%
鉱物性燃料 2.1% 31.5% -29.4%
化学製品 10.5% 8.4% 2.1%
原料別製品 13.2% 8.4% 4.8%
一般機械 19.3% 7.9% 11.4%
電気機器 17.4% 12.8% 4.6%
輸送用機器 23.0% 3.3% 19.7%
その他 12.0% 12.6% -0.6%

(出所:財務省「貿易統計」より楽天証券経済研究所が作成)

円安にもかかわらず、輸出数量の伸びが鈍い理由は2つあります。1つは、日本の輸出産業が海外現地生産を拡大してきた効果です。もう1つは、中国やアジアの新興国の景気が停滞しているため、日本のアジア向け輸出が伸び悩んでいることです。

輸出産業が海外現地生産を増やしてきたのは、日本製品の競争力を高めるためです。世界中に、日本車が普及しているのは、日本の自動車メーカーが海外現地生産を進めた効果によります。1980年代にはアメリカで日本車や日本の家電製品の販売が増えた際、日米貿易摩擦が起こりました。日本製品がアメリカの雇用を奪っているとして、憎悪の対象となりました。今、アメリカでの日本車販売シェアは当時よりも高くなっていますが、それでも深刻な摩擦は起こらなくなりました。日本メーカーが北米での現地生産を高め、現地の雇用増加に貢献しているからです。

民生エレクトロニクス製品で、日本の競争力が低下しているのは事実ですが、自動車や機械・ロボット産業では日本の競争力は低下していません。海外現地生産によって、技術力に加え、コスト競争力も確保し、より万全な体制に入りつつあるといえます。

日本を追いかけて強い製造業を育てた韓国は、まだ輸出主導で、海外現地生産がほとんどできていません。そのために、近年進んだ韓国ウォン高によって、輸出企業の業績が低迷しています。日本のように海外現地生産を徹底するには、まだ時間がかかります。

(3)3~4年後に貿易黒字に復活を予想

さて、それでは、日本の貿易赤字を減らすことはできないのでしょうか。私は、日本の貿易赤字は数年かけて減少し、いずれ貿易黒字に復活すると予想しています。

日本は今、世界一高い燃料を輸入しているが、2018年頃には米国から安いシェールガスの輸入が始まる見込みです。サハリン(ロシア)からも安いガスを輸入する可能性が検討されています。もしパイプラインでの輸入が実現すれば、日本のガス購入単価は大幅に低下します。資源の輸入は特定の国に依存することなく、幅広くたくさんの国から輸入することが、エネルギーの安定確保に貢献します。

また、中国や東南アジアの景気が回復すれば、再び、日本製品の輸出が増加すると予想しています。

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

 
世界のリスク
はじめての下落相場
年末高
ラクしてちょい稼
このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください2014年度上半期の貿易赤字は過去最大

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

2014年度上半期の貿易赤字は過去最大

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
世界のリスク
 
年末高
 
投資ワクワク
 
お宝優待株
 
投資の失敗
 
はじめての下落相場
 
はじめよう株主優待生活
 
人気ブロガー
 
NISAつみたてNISAロールオーバー
 
老後破綻
 
動画でわかる
 
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。