16日の日経平均は、36円安の15,911円でした。アメリカのFOMC(金融政策決定会合)を前に、為替・日本株ともに小動きとなりました。

(1)日米金融政策の方向性の差から、ドル高(円安)が進みやすい局面続く

アメリカは、9・10月で金融緩和縮小を予定通り、完了する見込みです。景気好調が続いているので、来年夏に「利上げ」が実施されるのが、市場コンセンサスになっています。

一方、日本は、消費増税の影響が予想よりも重く、景気が停滞しています。このため、日銀による追加緩和の期待が出ています。日銀の黒田総裁による最近の発言から、日銀が「流動性のある何らかの金融資産の買い取り額を増加させる」、具体的には、「日本株の買い取り額を増やす」との思惑が出ています。

アメリカは引き締めの議論、日本は追加緩和の議論が続きますので、為替市場では、ドル高(円安)が進みやすい状況が続きます。

(2)円安メリットの大きい輸出株を評価する局面へ

1ドル107円台に進んだ円安によって、輸出企業の業績は一段と上振れしそうです。自動車・タイヤ株など、円安メリットの大きい輸出株を素直に買っていってよい局面と考えています。

為替:2006年12月~2014年9月16日、購買力平価:2006年12月~2014年7月

(出所:公益財団法人国際通貨研究所より楽天証券経済研究所が作成)

日本の輸出企業は、為替レートが、購買力平価よりも円高になると競争力を失います。2008年から2012年は、購買力平価を大幅に上回る円高が進んだので、日本の輸出産業は競争力を失いました。

2013年に、為替レートは購買力平価まで円安に戻りました。これで輸出企業は競争力を取り戻しました。今、購買力平価よりも円安になってきているので、日本の輸出企業の利益は拡大しやすくなってきました。

トヨタ自動車(7203)は、リーマンショックが起こる前の2008年3月期に2兆2,703億円の当時最高益をあげました。当時の平均決済レートは1ドル114円でした。そのあと、円高で競争力を失っていましたが、2013年には購買力平価まで円安が進んだので、2014年3月期には再び最高益を挙げました。2015年3月期は、一段の円安が進んだことで、今後、営業利益の予想(2兆3,000億円)は上方修正されると思います。市場予想では、2兆7,140億円(前年比11%増)になります。

円安メリットの大きい自動車・タイヤ株

コード 銘柄名 連結PER
連結PBR
配当利回り
%
経常利益会社予想
億円
経常利益前年比
%
7203 トヨタ自動車 12.1 1.48 2.6% 23,900 -2.1%
7267 本田技研工業 11 1.11 2.4% 7,550 3.6%
7261 マツダ 9.8 2.37 0.4% 2,100 49.3%
7270 富士重工業 11.5 3.23 1.8% 3,300 4.9%
5108 ブリヂストン 10 1.58 2.2% 4,540 4.4%
5105 東洋ゴム工業 8.2 1.59 2.2% 415 8.4%