11日の日経平均は、120円高の15,909円でした。一時1ドル107.04円まで進んだ円安を好感して、上昇が続いています。

(1) 円安→株高、円高→株安の見事なシンクロ(同調)

ドル円レートと日経平均の動き:2012年11月~2014年9月10日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

近年、「円安になると株高」の傾向が顕著です。為替が膠着している間は、日経平均も膠着していましたが、9月に入ってドル高(円安)トレンドが出始めると、日経平均も上昇してきました。

ところが、よく見ると、最近は円安が進んでいる割には、日経平均はあまり上昇していません。円安に対する、株高の感度が落ちています(下のグラフの赤丸をつけた部分を見比べてください)。

ドル円レートと日経平均の動き:2013年5月~2014年9月10日

(注:楽天証券経済研究所が作成)

ドルは、昨年12月の高値を超えてドル高(円安)が進んでいますが、日経平均は、まだ昨年12月の高値を抜けていません。

(2) 円安に対する株高の感度が落ちている背景

解釈として、2つ考えられます。

<解釈1>今年度は、円安にもかかわらず企業業績の伸びが鈍いので、円安に株高がリンクしにくくなっている。

<解釈2>日経平均は出遅れ。今後、昨年12月末の高値(16,291円)を超えて上昇し、出遅れを取り戻す。

私は、どちらも正しいと思います。円安が進んでいるのに、今年度(2015年3月期)の企業業績は、会社予想では、ほとんど伸びない計画となっています。東証1部全産業ベース経常利益(除く金融)では、3%程度しか増益しない計画になっています。4月1日からの消費増税の影響が予想以上に大きかったことや、中国をはじめとしたアジアの景気回復が遅れていることが影響しています。

(3) 今後の日経平均の見通し

私は、来年にかけて消費増税の影響は薄れ、景気は再び回復色が強まると予想しています。その過程で、東証1部全産業ベース経常利益(除く金融)は、前年比13%程度の増益に上方修正されると予想しています。

企業業績の改善を映して日経平均は上昇が続き、為替(円安)に対する出遅れを取り戻すでしょう。来年3月に日経平均が18,000円まで上昇する予想を継続します。