19日の日経平均は、127円高の15,449円でした。7営業日連続で上昇し、堅調な動きが続いています。業種別で値上がり率が一番高かったのは、不動産業(+1.89%)でした。
(1) 金利低下で、金利敏感株に再び注目
長期金利が0.5%を割れ、低金利が長期化する観測が出ています。日本の景気回復があまり力強くないことが原因ですが、これで金利敏感株(金利低下でメリットを受ける株)に見直す余地が出てきました。金利敏感株の代表が、不動産株です。
不動産業の株価指数と長期金利の動き:2012年2月~2014年8月19日
業種別株価指数ー不動産業
長期金利
2012年~2014年の、不動産業の株価変動には3つの局面があります。
- 2012年2月~2013年3月
金利低下につれて不動産業の株価が大きく上昇しました。特に、2013年1~3月は、日銀による大規模な金融緩和が始まる期待から長期金利が下げ足を速めると、不動産業の株価上昇に弾みがつきました。 - 2013年4月~5月
黒田日銀が異次元金融緩和を開始しましたが、長期金利は事前に織り込み済みで、逆に急反発しました。これを受けて、不動産株に利益確定売りが増えて、急落しました。 - 2013年6月~2014年8月
異次元緩和が続く中、長期金利は再びじりじりと低下しています。一方、不動産業指数は、おおむね横ばいで推移しています。8月19日に日本の長期金利は0.4944%まで低下しており、再び、含み資産株に見直す余地が出ていると考えています。
(2) 不動産株と金利変動の関係
不動産株にとって、金利低下よりも重要なのは、不動産市況が上昇することです。過去の不動産株の値動きから、以下の傾向が読み取れます。
- 不動産市況下落・金利低下 → 不動産株も下落
- 不動産市況底打ち・金利低下 → 不動産株は急騰
- 不動産市況上昇・金利上昇 → 不動産株は続騰
- 不動産市況頭打ち・金利上昇 → 不動産株は下落
現在の不動産株は、②の最終局面にあると考えています。今後の不動産株にとっては、金利よりも不動産市況の上昇の方が重要です。
(3)都市部の不動産に上昇機運
都市部の不動産価格は既に上昇し始めています。私は、今後1~2年、都市部の不動産価格は上昇が続くと予想しています。特に、東京は2020年にオリンピック開催を控えて再開発が活発になり、不動産が上昇しやすくなると予想しています。
三鬼商事が発表した東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の7月末のオフィス空室率は6.20%で13カ月続けて前月を下回りました。都心部で、オフィス需要が回復してきています。
それに伴って、東証REIT(上場不動産投資信託)指数も上昇基調をたどっています。
東京都心の空室率と、東証REIT指数の動き
東京都心5区 空室率(%)
東証REIT指数
含み資産株の参考銘柄は、明日のレポートに掲載します。