7日に発表された第1四半期決算はおおむね好調と言える内容でした。ゼネコン(建設・土木業)に好調なものが目立ちました。

(1) 取引時間中(15時前)に決算を発表した3銘柄

東京証券取引所で株式が売買されている時間(15時前)に決算を発表する銘柄は、その日のうちに決算内容を株価は織り込みます。例として、以下の3銘柄を挙げます。

15時前に決算を発表した銘柄の経常利益(金額単位:億円)

  4-6月 前年比 2015年3月期 前年比 4-6月
コード 銘柄名 実績 増減益率 会社予想 増減益率 進捗率
1662 石油資源開発 130 66% 415 -6% 31%
8830 住友不動産 358 -2% 1,350 3% 27%
1803 清水建設 87 43% 400 37% 22%

(注)SEC・IFRS採用企業については連結税前利益を経常利益として集計、各社発表資料より楽天証券経済研究所が作成

  • 石油資源開発
    注目は、4-6月実績の、通期(2015年3月期)予想に対する進捗度です。通期415億円の会社予想に対して、4-6月実績が130億円でした。進捗率は31%(130÷415=31%)と高く、ポジティブ・サプライズでした。東証の取引時間中に発表したので、同社株は7日中に前日比4.9%上昇しました。
  • 住友不動産
    進捗率は27%と高めですが、特にサプライズはなかったので、7日の株価は前日比0.8%高と小動きでした。
  • 清水建設
    進捗率は22%でした。これは、ややポジティブです。7日の株価は、前日比1.5%高でした。建設・土木業は、売上・利益が第4四半期(1-3月)に集中する傾向があります。そのため、4-6月期は閑散期に当たります。その4-6月で22%の進捗ということは、建設・土木業としては「ややポジティブ」と言えます。

(2)15時以降に決算を発表した主な銘柄

以下の銘柄は、15時以降に4-6月決算を発表しました。決算内容にサプライズ(驚き)があった場合、株価に反映されるのは、原則、本日(8日)になります。

 

15時以降に決算を発表した銘柄の経常利益(金額単位:億円)

  4-6月 前年比 2015年3月期 前年比 4-6月  
コード 銘柄名 実績 増減益率 会社予想 増減益率 進捗率
1860 戸田建設 58 27% 71 8% 82% 高い
6134 富士機械製造 29 34% 68 80% 43%
1824 前田建設工業 36 116% 115 2% 31%
7912 大日本印刷 146 3% 540 1% 27%
1861 熊谷組 18 1296% 70 3% 26%
7242 カヤバ工業 51 -3% 200 -2% 26%
5713 住友金属鉱山 269 -15% 1,120 -2% 24%
5991 ニッパツ 84 -10% 356 -14% 24%
6481 THK 62 7% 280 19% 22%
5711 三菱マテリアル 174 4% 840 9% 21%
7733 オリンパス 112 365% 700 37% 16%
1883 前田道路 25 24% 214 3% 12%
7731 ニコン 46 -10% 560 -9% 8%
7701 島津製作所 14 -11% 250 1% 6%
9831 ヤマダ電機 19 629% 520 4% 4%
6976 太陽誘電 -6 赤転 140 15% -4% 低い

(注)SEC・IFRS採用企業については連結税前利益を経常利益として集計、各社発表資料より楽天証券経済研究所が作成

一般的に、進捗率の高い銘柄ほど、ポジティブな決算内容だったと言えます。

第1印象で、ポジティブ・サプライズは、戸田建設と富士機械製造です。両銘柄とも、7日の決算発表と同時に、通期の業績予想を上方修正しています。

戸田建設は経常利益の通期予想を53億円から71億円に上方修正しました。修正後予想71億円に対して4-6月の利益の進捗率が82%に達しているので、今後さらなる利益の上方修正が期待できそうです。

富士機械製造は通期予想を50億円から68億円に上方修正しました。修正後予想に対して進捗率は43%と高くなっています。ただし、同社は例年売上・利益が4-6月に多くなる傾向があります。したがって、4-6月の進捗率が43%でも、さらなる上方修正が期待できるとは言えません。

です。ニコンは660億円→560億円に、ニッパツは380億円→356億円に下方修正しました。ニッパツとニコン一方、通期計画を下方修正したのは、上の表の中では、