24日資源エネルギー庁が発表した7月22日時点のガソリン小売価格(レギュラーガソリン・全国平均)は、1リットル169.8円で、前週の169.9円よりも0.1円だけ下がりました。実に20週ぶりの低下です。

(1)ガソリン価格はようやくピークアウトか

 

(出所:資源エネルギー庁)

ガソリン価格は、2013年以降はほぼ一貫して上昇してきました。2013年は、円安の進行がガソリン価格を押し上げました。円安によって円建ての原油輸入価格が上昇したため、ガソリンだけでなく、原油関連製品が幅広く値上がりして、日本の物価を押し上げました。

2014年に入ってから、円安進行は一服しています。昨年末に一時1ドル105円を超える円安が進みましたが、今年に入ってから少し円高に戻り、現在は1ドル101-102円で安定しています。にもかかわらず、2014年に入ってからもガソリン価格は継続して上昇しました。

円安が進まない中でガソリン価格が上昇した理由は、以下の3つです。

  • 中東やウクライナでの地政学リスクの高まりを受けた原油価格上昇の影響
  • 国内でガソリンスタンドや精油所の再編が進み、安売りが減少した効果
  • 4月1日からの消費税引き上げ(5%→8%)

ただし、地政学リスクによる原油価格の上昇は、既に一服しつつあります。イラク産原油やロシア産原油の供給が減少しても、世界にはリビアなど原油供給能力に余力ある国がたくさんあり、原油需給が逼迫する可能性は低いことがわかってきたからです。また、米国がシェールガス・オイルの増産をしていることも、世界の原油需給を安定させる効果があります。

原油価格の一段の上昇がなければ、国内のガソリン価格上昇も一服する見込みです。鍵を握るのは、為替レートです。

あくまでも、今後一段の円安が進まないことが前提になりますが、国内のガソリン価格の上昇が止まるだけでなく、日本の消費者物価指数の上昇率が低下する可能性が出ています。

(2)円安による物価押し上げは一巡、秋口にかけて消費者物価指数の上昇率は低下か

総務省が発表した2014年5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコア指数)は前年同月比3.4%上昇しました。消費税引き上げがあった4月(前年比3.2%上昇)に続き、高い上昇率でした。

消費者物価指数上昇率(生鮮食品を除くコア)

(出所:総務省)

消費増税が物価に与える影響は、4月で1.7%、5月で+2%と推定されています。消費増税の影響を除くベースで見ると、4月は前年比で実質1.5%物価が上昇したことになります。一方、5月は消費者物価の上昇率が実質1.4%に低下しています。

 

  3月 4月 5月
消費物価コア指数上昇率 1.3% 3.2% 3.4%
消費税引き上げの影響 なし 1.7% 2.0%
消費増税影響を除くベース 1.3% 1.5% 1.4%

(出所:総務省)

(3)日銀のインフレ目標は達成がむずかしくなる

私は、日銀が目標とする消費者物価指数前年比+2%は達成が難しくなると考えています。秋口にかけてインフレ鎮静化の気配が強まり、日銀が追加緩和を実施せざるを得なくなれば、日本の株式市場には追い風となるでしょう。