17日の日経平均は、9.04円(0.06%)安の15,370.26円でした。膠着感がますます強くなっています。
(1)上値は重い、下値は堅い
7月2日から17日まで12営業日連続で、日経平均の変動率は、1%未満でした。「上値は重い、下値は堅い」という市場コメントも、そろそろ聞き飽きてきました。何が起こってもどうせ大して上がらない、大して下がらないというムードが広がっています。
ただし、相場を動かす材料が何も出ていないわけではありません。市場は、相場材料に今は不感症になっているのです。
(2)強かった米雇用統計を市場は無視
7月3日に発表された6月の米雇用統計は、予想以上に強く、文句なしのポジティブ・サプライズでした。
過去には、アメリカの雇用統計をきっかけに世界中の金融市場が大きく動くことがよくあったので、雇用統計を見て「これで膠着しつつある金利・為替・株式市場に動きが出る」と期待した人はたくさんいました。米景気強い→米金融引き締め早まる→米長期金利上昇→ドル高(円安)→日本株上昇と連想したのです。
ところが、米長期金利は一瞬上がった後、下がりました。ドルも一瞬だけ上がって下がりました。結局、金利も為替も日本株も、雇用統計を受けてほとんど動きませんでした。
「足元の米景気が強くても、長期的な成長性は落ちている。そんなに早くアメリカの金融が引き締められることはない」という解釈が語られ、強かった雇用統計は、金融市場が動く材料でないと結論づけられました。
(3)世界各地で深刻化する地政学的リスクも無視
7月には世界各地で、きなくさい話が増えていますが、金融市場は今のところそれも無視しています。
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(4)中国景気は懸念材料だが、足元は悪くなっていない
4-6月の中国GDPは前年比7.5%増に回復。中国政府が景気の急な悪化を避けるために小刻みに公共投資を出している効果でしっかりしています。ただし、不動産価格が下がり始めるなど、先行きの不安は残ります。中国景気の現状は、日本株にとって売り材料とも買い材料ともならない状況が続いています。
(5)第1四半期決算は無風?
注目の4-6月決算発表がいよいよ始まります。そんなに悪くはないがそんなに良くもない、相場を大きく動かす材料にはならないと思われていますが、果たしてそうでしょうか?
(6)いつまでも動かない相場はない
動かない相場に皆が慣れきった頃に、往々にして相場は大きく動きます。しばらく膠着相場が続きそうですが、いつ大きく動いてもおかしくないとも言えます。