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消費税引き上げ後も順調な小売株
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

消費税引き上げ後も順調な小売株

2014/7/17
いよいよ3月期決算企業の第1四半期(4-6月期)決算発表が始まります。4月1日から消費税が引き上げられた影響がどう出ているか注目です。イメージをつかむために少し参考になるのが、既に出揃っている2月期決算の小売業の第1四半期(3-5月期)業績です。
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いよいよ3月期決算企業の第1四半期(4-6月期)決算発表が始まります。4月1日から消費税が引き上げられた影響がどう出ているか注目です。イメージをつかむために少し参考になるのが、既に出揃っている2月期決算の小売業の第1四半期(3-5月期)業績です。

(1) 大手小売業には今期最高益更新を予想する企業が多い

小売業というと、「少子高齢化が進む日本の内需産業で、成長性が期待できない」というイメージを持つ人が多いと思います。ところが、意外にも大手小売業には、最高益を更新中の銘柄がたくさんあります。

以下の表は、2月決算小売業大手9社の第1四半期業績を示しています。この9社は、いずれも会社予想ベースで2015年2月期に営業最高益を更新する見込みです。ただし、第1四半期の実績が低くて、既に通期計画達成が難しくなってきているところもあります。

2月決算小売大手9社の営業利益: 通期予想と第1四半期実績
(金額単位:億円)

コード 銘柄名(業態) 2015年2月期
会社予想
前年比 2014年3-5月
実績
通期計画の進捗率 進捗率
2670 エービーシー・マート
(靴)
358 4.9% 131 36.6% 高い
9843 ニトリHLDG
(家具)
650 3.1% 219 33.7% 高い
7453 良品計画
(無印良品)
255 21.9% 66 25.9%  
3086 J.フロント リテイリング
(百貨店)
430 2.8% 104 24.2%  
2651 ローソン
(コンビニ)
750 10.1% 168 22.4%  
3382 セブン&アイHLDG
(コンビニ・スーパー等)
3,560 4.8% 774 21.7%  
8028 ファミリーマート
(コンビニ)
460 6.2% 90 19.6%  
8227 しまむら
(衣料品)
507 21.1% 86 17.0% 低い
8267 イオン
(スーパー)
2,000 16.7% 224 11.2% 低い

イオン(8267)は、消費税引き上げ後の利益低下が大きく、第1四半期での進捗率は11.2%と低いので、通期計画の達成はむずかしくなってきたといえます。しまむら(8227)は、もともと通期計画が強すぎたので、第1四半期の実績はまずまずながら進捗率は17%と低く、通期計画は達成が難しくなってきています。

一方、エービーシー・マート(2670)やニトリHLDG(9843)は、進捗率が高く、通期計画を超過達成する可能性が高まりました。

(2) 海外で成長するセブン&アイHLDG(3382)

セブン&アイHLDGが展開するセブン-イレブンの業績が好調です。国内好調に加え、海外でも利益を拡大させています。セブン-イレブンの店舗数は、2014年2月末時点で国内16,319店に対し、海外子会社で展開するセブン-イレブンは8,636店あります(うち8,292店は北米のフランチャイズおよび直営店)。これに海外の地域ライセンシー店27,478店を加えると、海外に36,114店と、国内の2倍以上の店舗があります(日本以外の店舗数は2013年12月末時点)。

セブン-イレブンが日本的と思われていたのは、もはや過去の話です。今や世界の小売業を革新するビジネスモデルとなっています。

セブン-イレブンは、ただの小売業ではありません。商品を提供する専用工場や、1日に原則4回の配送を行う物流網まで構築した「装置産業」といっても問題ないでしょう。セブン-イレブンというシステムを構築して集中出店した地域では、セブン-イレブンに対抗するコンビニを作るのは難しくなります。そのビジネスモデルを海外にも輸出し始めています。

セブン-イレブンの強さは、需要密着の供給管理をしていることにあります。リアルタイムの需要情報が本部で把握され、供給サイドの生産管理に生かされます。売れない商品は徐々に販売スペースが縮小し、最後には撤去されます。代わりに新しい商品が常に入ってきて、売れればスペースが拡大していきます。

小売業において、5年・10年の間に起こる需要の構造変化を、前もって正確に予測することは誰にもできません。セブン-イレブンは毎日の販売データを見ながら、商品戦略を毎日少しずつ見直していくことで、結果的に5年・10年の大きな構造変化にも正確に対応しています。

セブン-イレブンの商品構成は、過去10年でがらりと変わりました。20代の若者が外で食べる商品が減り、代わって40代・50代の女性が家庭食用に買っていく商品が増えました。その効果で、少子高齢化が進む日本で、セブン-イレブンは今でも成長を続けています。

大きな商品戦略の転換は、1人の天才的な経営者のひらめきで実現したことではありません。毎日の販売データの分析と、毎日の小さな商品戦略の見直しが、結果的に大きな変化を生んでいます。昨年は、入れたてコーヒーが大ヒットとなり、セブンは、一気に大手コーヒーチェーン並みのコーヒー売り上げを獲得しました。また、小さなヒットの積み重ねが、「セブンプレミアム」という他のコンビニにないブランドを生みました。

セブン-イレブンが世界に通用するビジネスモデルであることを証明したのが、北米の子会社7-Eleven,Inc.です。アメリカ式の経営を行っている間は収益性が低かったが、日本のビジネスモデルを導入してから収益力が高まり、2014年2月期には、営業利益で512億円を稼ぐまでになりました。国内で稼ぐセブン-イレブン・ジャパンの営業利益2,127億円にはかなわないが、海外でも国内と同等の高収益を確保した意義は大きい。

その7-Eleven,Inc.と、アラブ首長国連邦(UAE)の「SEVEN EMIRATES INVESTMENT L.L.C」がこのほど、マスターフランチャイズ契約を締結しました。これにより、アラブ首長国連邦おいて、「セブン‐イレブン」店舗の展開を開始します。中東でも、セブン-イレブンというビジネスモデルは通用するのか、今後の展開が注目されます。

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