先週の日経平均は、1週間で342円上昇して15,437円となりました。日本とアメリカの景気好調を再確認し、NYダウが最高値を更新する中、日本株にも外国人と考えられる買いが入りました。

(1)米景気は強い

先週、発表になった米景気指標は、いずれも米景気が好調であることを示すものでした。特に、6月の雇用統計は予想以上に強く、サプライズとなりました。

<非農業部門の雇用者増加数> <完全失業率>

(出所:米労働省)

注目の非農業部門の6月の雇用者増加数は、景気好調と判断される+20万人を上回っています。失業率も予想以上の低下でした。アメリカの金融政策を決めるFRBは、かつて「失業率が6.5%に下がるまでゼロ金利を継続する」と宣言していました。ところが、後から6.5%をゼロ金利解除の数値目標とすることを撤回しました。失業率は既に6.1%まで下がっていますが、アメリカはまだゼロ金利を続けています。

<ISM製造業・非製造業景況指数>

(出所・米ISM協会)

製造業・非製造業とも好不況判断の分かれ目となる50を上回っており、ISM指数からも米景気好調が確認できます。

(2)米景気が強いことのプラスとマイナス

株式市場にとって、米景気は強ければ強いほどいい、というわけではありません。強すぎると、金融引き締めの時期が早まる思惑を生み、金利が上昇して、世界的に株価が調整する原因となります。
ところが、現時点で、米長期金利はあまり上昇していません。

<米長期金利の推移>

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

アメリカ経済について、足元の景気は強くても、長期的な成長性は落ちているとの見方があります。そのために、長期金利の上昇はおさえられています。結果的に、「米景気は強いけれど米長期金利は上がらない」都合のよい状況が生じています。それが、NYダウが最高値を更新している背景です。

(3)日本株への影響

日本株への影響も複雑です。

<プラス面>
米景気が強いと日本の企業業績に好影響を及ぼします。また、米国および世界で株価が上昇しつつあるので、日本株にも外国人投資家の買いが入りやすくなっています。

<マイナス面>
米景気が好調でもドル金利があまり大きく上がらないので、ドル高(円安)が進みにくくなっています。今でも円安→日本株高、円高→日本株安という相関は続いており、円安に弾みがつかないことが日本株の上値を重くしています。

(4)今週の日経平均は堅調、でも大きな上昇は期待し難い

日本株は、投資環境が良好な中、引き続き、下値を切り上げる展開と考えています。ただし、日経平均の16,000円には一気に上抜けることが難しい抵抗線があります。上値は徐々に重くなってくる可能性があります。

(出所:楽天証券経済研究所が作成)

(5)投資の参考銘柄

昨日、7月6日(日)大阪国際会議場グランキューブ大阪で開催されました弊社のサービス開始15周年記念投資セミナーに多数のご来場を賜り、誠にありがとうございました。

私の講演で、一部、画面に出ている銘柄名が見えにくかったというご意見を頂戴いたしました。以下に、画面に出しました参考銘柄名の一部を掲載いたします。

<水素エネルギー活用の関連銘柄>

  • 7203トヨタ自動車:2014年度中に燃料電池車を発売予定
  • 7267本田技研工業:2015年にも燃料電池車を発売する予定
  • 5401新日鐵住金:北九州市でのスマートコミュニティ実証実験に参加。製鉄所の副生水素活用を検討
  • 5020JXホールディングス:水素ステーションを建設
  • 7012川崎重工業:圧縮水素の流通技術持つ。水素運搬船・水素運搬車・水素貯蔵タンクを手掛ける。オーストラリアの褐炭から取り出した水素を日本に持ち込み、将来、水素発電に生かす計画を持つ。
  • 6366千代田化工建設:有機ハイドライトを使って水素を常温・常圧で運ぶ技術を持つ。既存のガソリン流通のインフラを使って水素を流通させることが可能になる。将来、海外からグリーン水素を大量に輸入する計画を持つ。

<次世代ロボット関連銘柄>

  • 6594日本電産:ロボットに必要な精密モーター技術を有する。また、子会社でロボット事業を手掛ける
  • 6506安川電機:サービスロボットの開発を手掛ける。産業用ロボットでも大手。

<賃貸不動産の含み益が大きく、資産価値から割安な倉庫株>

  • 9302三井倉庫
  • 9308イヌイ倉庫
  • 9304澁澤倉庫
  • 9303住友倉庫
  • 9301三菱倉庫