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4Kテレビに大きな期待はできない
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

4Kテレビに大きな期待はできない

2014/6/12
消費税引き上げ後、家電量販店の売上が懸念したほど大きくは落ちずに済んでいるのに、4Kテレビの販売好調も寄与しています。4Kテレビは、民生電機業界の救世主になるでしょうか?
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消費税引き上げ後、家電量販店の売上が懸念していたほど大きく落ち込まずにすんでいるのには、4Kテレビの販売好調も寄与しています。4Kテレビは、民生電機業界の救世主になるのでしょうか?

(1)4K画像は、大画面で見ると確かにすばらしい

4Kテレビとは、画素数が従来のフルハイビジョンの4倍の高精細画像が見られるテレビのことです。そこまで高精細になると、実物を見るのに近い感覚が得られます。理想的には50インチ以上の大きな画面で見た方が、より迫力を感じることができます。

4K画像でサッカーの試合を見たとき、観客席のひとりひとりまで見えます。もし、群衆の中に友人が1人写っていても、従来のテレビでは見つけるのが難しかったと思います。4K画像ならば、注意してみれば見つけることも可能でしょう。

ただし、今、4Kテレビを買っても、すぐに4K画像が見られるわけではありません。今すぐに見られるのは、地上波デジタル放送の映像を、テレビ内の処理で4Kに近い解像度にしたものだけです。それでも、将来4K放送が始まるときに備えて、価格は高くても4Kテレビを買っていく人もたくさんいます。

(2)6月2日から待望の4K試験放送が開始

放送局や通信会社、家電メーカーなどが加盟する次世代放送推進フォーラムが放送局となり、スカパーJSATの衛星放送波を使って4K試験放送が始まりました。とは言っても、一般家庭で視聴することは、まだできません。

一般家庭で視聴するには、4K対応テレビに加え、4K放送を受信する専用チューナーが必要です。ところが、4K対応チューナーがまだ発売されていません。ソニーが秋に発売を予定していますが、それより早く視聴するには、6月25日にシャープが発売予定のチューナー内蔵レコーダーを使うしかありません。

4K放送の画像をすぐ見ようと思ったら、試験放送を流している一部家電量販店の店頭や、街頭テレビに行くしかありません。政府は、試験放送で多くの人に4Kの良さを実感してもらったうえで、2016年のリオデジャネイロ五輪前までに本放送をスタートさせたいという考えです。

(3)4Kテレビが民生電機業界の救世主になるとは考えにくい

一般家庭への本格普及には数々のハードルがあります。

  • 4Kテレビや専用チューナーなどの専用機器の価格が一段と下がらないと、本格的に普及が進みません。ただし、これまでテレビ事業で大きな赤字を出し続けてきた日本の家電メーカーにとって、価格が急激に下がることは困ります。せっかく高い開発費をかけて生み出したヒット商品なのに、またいつものように、開発費も回収できない赤字事業となりかねません。
  • 地上波デジタルへの完全切り替えが終わったばかりで、タイミングがよくありません。従来のアナログ放送テレビが使えなくなると言われてテレビを買い換えたばかりの人は、次は4Kと言われても、すぐに買い換える気は起こりません。
  • 4K放送に対応したコンテンツが増えるのに、時間がかかりそうです。番組を提供する放送局も地上波デジタル放送への切り替えで、多大な負担を強いられており、さらにコストがかかる4K対応には及び腰のところもあります。
  • NHKが4Kのさらに4倍の解像度を持つ、「スーパーハイビジョン(8K)」の開発を進めており、8Kが出るまで待とうと考える人もいます。

日本の電機業界にとって、価格の高い4Kテレビの人気が、テレビ事業の収益改善に向けたラストチャンスであることは間違いありません。ただし、技術的にとりあえず先手をとった日本が、このまま4Kテレビで優位を維持していけるかは疑問です。3D(3次元)テレビのように、量産が始まるとあっという間にアジアメーカーにいいところを持っていかれることになりかねません。

(4)4Kテレビの登場で、有機ELテレビは風前の灯

4Kテレビの登場は、思わぬ副作用も生んでいます。液晶テレビで高精細を実現してしまったために、未来の高精細テレビとして期待されていた有機ELテレビの出番がなくなる可能性が出てきました。有機ELテレビは、液晶テレビのように価格を下げることが難しい。4Kテレビをヒットさせた家電メーカーは、これまで開発費をかけてきた有機ELテレビに自ら引導を渡すことになりかねません。

液晶テレビの画像が劣悪であった時代には、大画面テレビは液晶ではなく、プラズマテレビでなければならないと考えられていました。ところが、技術の進歩で液晶でも大画面で高精細を出せるようになると、価格の高いプラズマテレビは存続できなくなりました。プラズマテレビに巨額の開発費をかけてきたパイオニアとパナソニックは、プラズマテレビから撤退せざるをえませんでした。同じことが、今後有機ELテレビに起こる可能性もあります。

(5)株式投資に対するインプリケーション

日本の民生電機産業は、残念ながら競争力を失っています。4Kテレビで収益性を抜本的に変えることはむずかしいでしょう。ソニーについていうと、音楽・映画・金融などのビジネスは競争力もあり、好調です。早めにエレクトロニクス事業を縮小することが、収益性・成長性を取り戻す鍵となるでしょう。

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