5日の日経平均は11円高の15,079円。日本株は、新たな上昇トレンドに入りつつあると考えています。

(1)欧米の金利低下が、世界の株式を上昇させる要因に

5日、ECB(欧州中央銀行)が利下げに踏み切りました。事前の市場予想通りですが、これを好感して5日の欧米株式は堅調に推移しています。

欧米の金利低下が、世界の株式をジリジリと上昇させる展開が続いています。アメリカもヨーロッパも、景気が徐々に持ち直していますが、けっして景気が強いといえる状態ではありません。そのおかげで、アメリカとヨーロッパの金利は低いままです。これは、株式が上昇するための理想的な環境です。

景気・金利・株式には、一般的に以下の関係があります。

  景 気 金 利 株 価
(1)景気回復初期 回 復 低いまま 上 昇
(2)景気回復末期 回 復 上 昇 下 落
(3)景気後退初期 悪 化 高いまま 下 落
(4)景気後退末期 悪 化 低 下 上 昇

上記の株価循環パターンは、過去の景気循環で何度も繰り返されてきたことです。

この表にあてはめて考えると、現在の欧米景気は、①景気回復初期にあると考えられます。市場関係者は、ここから景気が過熱して②景気回復末期に入って金利が上昇することを心配していました。金利上昇が、株価上昇を終わらせることが多いからです。

ところが、最近は、アメリカもヨーロッパも、「景気は回復しているものの、けっして強くはない」と言われています。金利は、アメリカで大方の予想に反して低下し、ヨーロッパでも低下が続いています。

アメリカやヨーロッパ経済は成熟しており、おおむね過去のような高成長は望めなくなっています。インフレ率は1%台まで低下して落ち着いています。今、起こっていることだけを見ると、欧米の経済状態が①景気回復初期に長くとどまる気配です。この状態は株式市場にとってプラスです。

今の欧米株式は、PER(株価収益率)でみて、割高ではありません。今は、世界の株式に素直に強気でいい局面と考えています。日本株も、この流れの中で、上昇が続くと考えています。

(2)今日の日経平均は大引けにかけて伸び悩みか反落と予想

中長期で上昇が続くとみる日本株ですが、今日は、反落する可能性もあります。今晩のNYで重大イベント(5月の雇用統計発表)を控えているからです。日経平均は過去11営業日で10日上昇しています。連騰が続いているので、いったん利益確定する動きが出るかもしれません。

(3)5月の米雇用統計、事前の市場予想

米労働省が発表する雇用統計で、注目の非農業者部門の雇用者数は、4月の伸び(+28.8万人)より縮小して21.3万人の増加と予想されています。それでも、20万人増を上回っていれば景気は好調と判断されます。

アメリカの非農業部門雇用者増加数の推移

4月の伸びは、大寒波の影響で12月―1月の伸びが低かった反動と考えられています。5月の伸びは、4月よりも減る見込みですが、寒波反動がなくなるだけで問題ありません。景気好調と判断されえる20万人を超えることが予想されています。

失業率は、0.1%上昇して6.4%になると予想されていますが、長期的な低下傾向の中にあり、問題ありません。アメリカで長期的に労働参加率が落ちているので、失業率の低下は、あまり景気実態を表していないとの見方もあります。景気実態をよく表すとして注目が高いのは、失業率ではなく、上記の非農業部門雇用者変化です。

アメリカの完全失業率推移