12日の日経平均は50円安の14,149円でした。上下とも大きくは動きにくく、手詰まり感が強まっています。日経平均は、しばらく膠着状態が続くと予想しています。
ただし、よく見れば好決算を発表した銘柄には、大きく買われるものもあります。日本精工(6471)は12日、101円高の1,145円と急伸しました。先週発表した決算が好感されました。

アメリカの景気は好調で、日本の景気も増税の影響が薄れる7月以降に復調を見込みます。ここからは、個別銘柄に業績改善で注目される銘柄が増えてくると思います。まずは、大型の割安株から買っていったらよいと思います。

(1) 日本株は、PERでみて割安

今の日本株はとても割安です。いろいろな株価指標で見て割安ですが、なかでも注目できるのは、PER(株価収益率)の安さです。現在、日経平均の平均PERは約14倍です。これは、過去30年以上なかった安さです。

私は、1987年から2013年まで日本株のファンドマネージャーをやっていました。日本株のPERがこんなに安くなったことは、私がファンドマネージャーをやっていた間にはなかったことです。長い間、「PERで20倍を下回っている銘柄は割安」と言われていました。ところが、今は日経平均の平均PERが14倍、大型優良株でPERが10倍前後のものもたくさんある状態です。日本経済は円安とデフレ終了で息を吹き返し、これから力強さを増してくると考えています。大型優良株がここまで割安に放置されることはなくなると予想しています。

日経平均は短期的には上値の重い展開が続くと予想されますが、今のうちに、PERが低い割安優良株を買って、次の上昇相場に備えていくべきと考えています。

(2) PERが低い自動車・ゴム・鉄鋼・商社・大手銀行に注目

大型優良株で、PER10倍を切る割安株が多いのは、自動車・ゴム・鉄鋼・大手商社・大手銀行などです。日本に競争力があるのにもかかわらず、株価が安く放置されている銘柄が多くなっています。以下に参考銘柄をあげます。

  • トヨタ自動車(7203)
    トヨタ自動車の今期予想PERは10.6倍と割安です。前期(2014年3月期)営業利益は、2兆2,920億円と6期ぶり過去最高となりました。円高が進む中で毎期積み上げてきたコストカット効果が、円安転換で一気に表面化しました。前回、最高益を更新した2008年3月期の平均決済為替レートは、1ドル114円でした。前期は、平均為替レート1ドル100円のもとでの最高益となりました。トヨタの世界販売台数(小売ベース)は、前期1013万台と、初めて1,000万の大台に乗せました。前回、最高益をあげた2008年3月期は943万台でした。当時よりも北米や欧州の販売が減少していますが、アジア・中南米・オセアニア・アフリカ・中近東などで販売台数を伸ばしました。トヨタ車が売れ続ける背景には、地道な技術開発があります。トヨタ車の燃費や安全性は、過去6年で一段と改善されています。トヨタが主要技術を独占するハイブリッド車の性能改善も進みました。将来にわたり、世界トップクラスの競争力を維持していくと、私は考えています。
  • ブリヂストン(5108)
    ブリヂストンの今期予想PERは10.0倍と割安です。ブリヂストンは今期(2014年12月期)営業利益が前年比5%増の4,600億円と、3期連続の過去最高更新を見込みます。ブリヂストンの業績予想は保守的で、IFISコンセンサス予想では、今期営業利益は10%増の4,778億円と上ぶれます。高級タイヤで世界的に高いブランド力があり、世界のタイヤ市場成長の恩恵を受けます。
  • JFEホールディングス(5411)
    JFEホールディングスは、今期業績予想を公表していませんが、IFISコンセンサス予想では、経常利益が21.7%増加します。コンセンサス予想に基づくPERは、8.3倍と割安です。世界的な鉄鋼の供給過多で、鉄鋼産業の業績は世界的に不振です。ただし、JFEの主力製品は、自動車向けの高級鋼材で、技術優位にあるので、世界的な鉄鋼不況の影響を大きくは受けません。円安で輸出競争力が高まっているので、業績好調が続きます。
  • 三井物産(8031)
    三井物産の今期予想PERは7.2倍と割安です。人口が成長する新興国で幅広くビジネスを展開しており、中期的に高収益が期待されます。資源事業の利益構成が大きいので、短期的には資源価格低迷の影響を受けます。ただ、それを織り込んで株価はとても割安となっています。
  • 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
    予想PERは7.21倍と、割安です。財務内容が改善し、ノンバンク事業や、海外事業での成長が見込まれる段階に入ってきたことが注目できます。不良債権問題で苦しむ欧州銀行と比較し、財務が強固であることが、海外でのビジネス展開に優位に働きます。