先週の日経平均は、1週間で556.22円(4%)上昇し、14,516.27円となりました。1月以降、日本株を1.6兆円売り越した外国人投資家が、先週は日本株を買い越したと推定されます。買戻しのきっかけは以下の通り。
- 新興国株の上昇が目立ち、欧米株式も堅調に推移する中、年初来の下落率が大きい日本株に出遅れ感が出たこと
- 消費税引き上げ後の日本の消費落ち込みが、今のところ心配された程は大きくないこと
- 麻生財務相が16日「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の動きが6月以降出てくる」と発言したため、GPIFによる日本株買いの思惑が広がったこと
- 日銀の黒田総裁が15日、必要に応じて「金融政策の調整をちゅうちょなく行う」と発言したことで、追加緩和の期待も続いたこと
(1)今週の日経平均は、徐々に下値を切り上げる展開と予想
今週の日経平均は14,400~15,000円のレンジで堅調に推移すると予想します。3月期決算企業の決算発表が始まりますが、会社が発表する今期(2015年3月期)の業績予想に注目が集まります。期初、控え目な予想が出そうなことが上値を抑える可能性はあります。
(2)日本株は出遅れ
以下のグラフでわかる通り、日本株の年初来下落率は、主要国で目立って大きくなっています。先週は、さすがに「日本株は出遅れ」と見た買いが入りました。
<主要国株価指数の年初来の動き>
(注)昨年末を100として指数化。「ひ弱な5カ国」は、インド・インドネシア・ブラジル・南アフリカ・トルコの5カ国株価指数の合成。昨年通貨価値が下落した時「Fragile5(ひ弱な5か国)」と呼ばれた。中国は上海総合指数、ドイツはDAX指数、アメリカはNYダウ、日本は日経平均。
(3)企業業績の今期見通しがどう出るかが鍵
2015年3月期業績見通しが、どう出るかが重要です。私は、今期純利益は全産業ベースで10~15%増えると予想しています。ただし、日本企業は、期初は、保守的(低め)に業績予想を出す傾向が顕著です。今年は、4月に消費税引き上げがあって4-6月の国内販売が低調に推移する見込みなので、例年以上に低く出してくる可能性が高くなっています。当初は全産業ベースで0~3%の増益予想しか出ないとの見方もあります。
<今週の主な決算発表予定>
(4)今週発表の注目指標
以下の2つが特に重要と考えています。
発表予定日 | 発表される指標 | 注目ポイント |
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23(水) | 4月のHSBC中国PMI(購買担当者景気指数)速報値 | 足元、上海総合株価指数が上昇して中国景気の先行きにやや楽観論が出ているが、果たして景気指数に改善が見られるか注目。 |
25(金) | 4月の東京都区部CPI(消費者物価指数)上昇率 | 消費税引き上げ後、どの程度、価格転嫁が進んでいるかがわかる。転嫁は順調と見られている。転嫁順調なら企業業績へのマイナスが小さく済むが、日銀による追加緩和期待は遠のく。 |