3日のNYダウは、前日比153ドル安の16,168ドル。ロシアによる軍事介入でウクライナ情勢が一気に緊迫化。これを嫌気して週明けのNYダウは大幅安となりました。欧州株も軒並み大きく下がり、リスク・オフの流れが継続しています。

一方、3日に発表された米景気指標は改善。最近、発表の指標には米景気が底堅いことを裏付けるものが増えています。

(1)注目のISM製造業景況指数は小幅改善

最も注目されていた2月の米ISM製造業景況指数は、53.2と市場予想の52.0を上回りました(グラフA)。

(グラフA)少し持ち直したISM製造業景況指数

(出所:米供給管理協会)

2月発表の1月指数が51.3と、12月の56.5から大きく下がってネガティブ・サプライズでしたが、今回発表の2月指数は小幅改善で安心感が出ました。また、1~2月とも景況判断の分かれ目といわれる50を上回って推移しており、アメリカの景気は底堅いと判断できます。
歴史的な寒波で経済が停滞しているものの、寒波が去れば米景気は再び強くなると期待を高める内容でした。

(2)米建設支出も予想を上回る

3日に米商務省が発表した建設支出も、米景気の底堅さを裏付けるものでした(グラフB)。

(グラフB)アメリカの建設支出(前月比増減)

(出所:米商務省)

1月は前月比0.1%増と、市場予想の▲0.5%を上回りました。同時に、昨年12月の実績が、前月比0.1%増から+1.5%増に修正されました。大雪で一部建設工事が滞っているにもかかわらず、実態はあまり落ち込んでいなかったことがわかり、米建設投資の基調の強さを確認した形になりました。

(3)投資戦略

日本株がウクライナ緊迫化を理由にさらに売られれば、買い場になるとの判断を継続します。理由は以下の3点。

  • 米ソ冷戦が復活するとは考えていないこと
    ウクライナ問題は、解決不能で、長期的に相場の重しになりそうです。ただし、この問題が、世界景気を揺るがすほどの事態に発展する可能性は低いと考えています。
  • 米景気は寒波が去る4月から再び強くなると予想しています
  • 日本の景気・企業業績の回復が続くと予想しています

大規模な戦闘が開始されると、下値が大きくなる可能性があることは注意を要します。一部の現地報道で、「ロシア黒海艦隊がウクライナ海軍に対し現地時間4日午前5時(日本時間4日正午)までに投降しなければ攻撃すると最後通告した」と出て、一時緊張が高まりましたが、ロシア軍は報道を否定している模様です。