2月10日の日経平均は、255円高の1万4718円。5日に一時1万4千円を割れた後、見事な急反発です。「これで底入れ!」と考えていいでしょうか。ちょっと待ってください・・・テクニカル分析から、いくつか気になることがあります。

(1)日経平均は先週、長い下ヒゲを出して反発

日経平均(週足)は、昨年5月第4週に長い上ヒゲを出してから急落しましたが、先週は長い下ヒゲを出してから、反発しています(グラフA)。

(グラフA)日経平均週足(2013年1月~2014年2月12日)

上昇相場が下降相場に転換する時によく出るのが、上ヒゲ(図の赤丸)。これが出た後、相場が大くずれしたのが昨年5月です。ヒゲの長さが長いほど、強い売りシグナルになります。この時は、とても長い上ヒゲが出て強烈な売りシグナルとなりました。

これに対して、先週の週足には長い下ヒゲ(青丸)が出ています。これで下降相場が上昇相場に転換すると考えたいところですが、よく見ると、5月の上ヒゲほど強いシグナルではありません。まず、ヒゲの長さを比べてください。先週の下ヒゲは、5月の上ヒゲほど長くはありません。

長いヒゲが出た週の週足が陽線(白ヌキの線)か陰線(黒で塗りつぶした線)かも重要です。5月の上ヒゲは陰線についていて、売りシグナルを強めていますが、先週の下ヒゲも陰線についていて、買いシグナルを弱めています。

まとめると、以下の通りです。

1.長い上ヒゲ + 陰線 強い売りシグナル → 昨年5月第4週
2.長い上ヒゲ + 陽線 弱い売りシグナル
3.長い下ヒゲ + 陰線 弱い買いシグナル → 先週の週足
4.長い下ヒゲ + 陽線 強い買いシグナル

(2)日経平均で14000円は下値支持線として意識できる

先週の日経平均が14000円割れ後に、すぐ急反発したことから、14000円を下値支持線として意識することも可能です。なぜならば、昨年5月から10月にかけて日経平均が作った大きな三角保ち合いが14000円強の水準で収束したからです(グラフB)。

(グラフB)日経平均週足(2013年1月~2014年2月12日)再掲

(3)もっとも気がかりなのは、1月1週~2月1週の下げモメンタムが強いこと

テクニカル分析で今、一番の懸念は、1月以降の下げがあまりに急で、直近の反発だけでは、下げモメンタムの強さを消し切れていないことです(グラフC)。

(グラフC)日経平均週足(2013年1月~2014年2月12日)再掲

短期的に下げモメンタムの強さを消すのは、むずかしそうです。相当、強い週足の陽線が出ないことには、下げモメンタムが消えないからです。たとえば、日経平均が今週中(2月14日まで)に、13週移動平均線(15478.50円)を超えるくらいの急上昇をすれば、1月以降の下げモメンタムを消すくらい強い陽線となります。足元、世界的に株式市場を不安定にする材料が残っていることを考えると、そのような強い陽線が出る可能性は低いと考えられます。

短期的に下げモメンタムを消せない場合は、時間をかけて(日柄調整によって)下げモメンタムを消していくしかありません。目先2~3カ月、日経平均は、14000~15500円までのボックス圏で、値固めをしながら、次のトレンドを模索する展開になると予想されます。

(4)テクニカル分析についての重要な注意事項

テクニカル分析とは、過去の値動きや出来高などから、今後統計的に起こる可能性が高いことを予測するものです。投資判断を行う上でとても参考になりますが、必ずそうなるとは限りません。

私は2013年まで25年間、ファンドマネージャーとして1000億円を超えるファンド運用に携わってきました。テクニカル分析を大いに参考にしましたが、テクニカル分析だけに頼って投資判断をすることはありませんでした。