はじめに

今回のアンケート実施期間は3月28日(月)~3月30日(水)でした。

年度末となる3月31日の日経平均は16,758円で取引を終えました。前月終値(16,026円)からは約730円(4.56%)上昇し、月次ベースでは4カ月ぶりの反発となりました。

日米欧の金融政策イベントや中国の全人代など、注目の材料が多かった3月ですが、月間の相場展開を振り返ってみますと、日経平均は月初に17,000円台に水準を切り上げましたが、以降はこの17,000円を挟んだもみ合いが続き、方向感に乏しい値動きでした。2月半ばの15,000円割れからの戻り基調が継続し下値が切り上がる一方で上値も重たく、堅調というよりは膠着感の強さの方が目立つ印象となりました。

今回のアンケートですが、日経平均の見通しについては、相場に大きな波乱がなかったこともあり、1カ月先・3カ月のDIがともに前回の調査より改善する結果となりました。また、為替の見通しについては、引き続きユーロ/円・豪ドル/円の円高の見通しが依然として強いものの、米ドル/円の見通しは、下旬に利上げ観測が一部で高まった影響もあってか、やや円安方向に傾いています。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所
シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「DI改善も様子見が強い」

  • Q1: 3月28日と1カ月後の日経平均の見通し DI= ▲ 3.28
    (2月29日と1カ月後の日経平均の見通し DI= ▲12.41)
  • Q2: 3月28日と3カ月後の日経平均の見通し DI= 0.17
    (2月29日と3カ月後の日経平均の見通し DI= ▲4.34)

今回の日経平均の見通しは、1カ月先のDIがマイナス3.28、3カ月先のDIが0.17となりました。前回がそれぞれマイナス12.41、マイナス4.34でしたので、両者ともに改善したわけですが、相場の落ち着きを素直に反映したものと言えます。

とはいえ、回答の内訳比率を見てみますと、中立派が多数を占め(1カ月先で約52%、3カ月先で41.09%)、残りを強気派と弱気派が綺麗に半分に分かれる格好となっています。今回のDIの改善からは、相場地合いの好転というよりは、先行きのシナリオが描きにくく、結果として様子見が強くなった印象です。

こうした膠着感から一転、新年度相場入りとなった4月の日経平均は下値を探るスタートとなりました。約1カ月にわたってもみ合い相場が続き、市場のエネルギーが蓄積されていたこともあって、下げのピッチも早く、日経平均は一気に16,000円台割れの場面を見せています。

下落のきっかけとなった要因のひとつに、4月1日に公表された日銀短観が挙げられます。マイナス金利導入後初の短観だったわけですが、大企業の業況判断などが予想よりも良くなかったことに加え、企業の想定レートが約117円だったことが注目されたようです。前回調査(119円台)よりは円高修正されましたが、足元の水準からはかなりの円安乖離となっており、為替市場の動向と企業業績悪化の警戒感が結びつきやすいムードになったと思われます。

もっとも、5月の1-3月期GDPや伊勢志摩サミットなどのイベントのタイミングに合わせて、景気対策が打たれるとの観測や金融政策への期待が相場を支えるとの見方も根強いですが、前回のマイナス金利導入時の市場の反応を見ると、金融政策だけで先ほどの日銀短観の企業の想定為替レートとのギャップを埋めたり、市場を強気に持っていくのは簡単ではなさそうです。

そのため、為替市場の動きに振り回されすい中、下値を拾う水準を探るという展開がメインシナリオとなりますが、反対に上値をトライするには、これまで売り越しが続いている外国人が買いに転じるなどの需給の追い風が必要となりそうです。

楽天証券経済研究所
シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
3月28日 DI= 2.13 DI=▲ 6.80 DI=▲ 0.59
2月25日 DI=▲11.19 DI=▲18.98 DI=▲15.19

為替相場の見通し:ドル円DIがプラスに。円安見通し増える

アンケートをもとに「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出した楽天DIは、ドル円が+2.13(前回-11.19)、ユーロ円-6.80(前回-18.98)、豪ドル円-0.59(前回-15.19)という結果になりました。

全体として先月の強い円高相場観が和らぎ、ドル円では、円安見通しが円高見通しを上回りました。

ドル円:円安見通しが上回る。

ドル円の見通しは、回答者全体の約37%が、今後1ヵ月で現在よりドル高・円安に戻ると考えています。

また、35%は逆に円高が進むとの見通しを持っています。

円安見通しの割合から円高見通しの割合を引いたDIは、先月のマイナスから逆転して+2.13になりました。ドル高・円安見通しが大きく増えたことを示しています。

月後半からはスピードは衰えたとはいえ、円高トレンドが継続している状況で、円安見通しが増えたのは意外な感じがします。

3月のドル円相場を振り返ってみると、高値は114.55円で、1月(121.69円)、2月(121.49円)と高値は3ヵ月連続で切り下がっています。同時に下値も、1月(115.97円)、2月(110.97円)、そして3月FOMC後には110.66円まで下がりました。

それでも円安見通しが増えた理由は、「110円台は底堅そうだから、このあたりで反転するだろう」といった、逆張り的期待が多分に含まれていたからだと思います。

4月5日には一時、1年5ヵ月ぶりとなる109円台まで円高が進みました。DIは、このレベルはドル売りよりもドル買いであることを示唆しています。

 

ユーロ円:円高見通し大きく減る。

ユーロ円の見通しは、回答者全体の約34%が今後1ヵ月で、現在より円高・ユーロ安が進むと考えています。円安になるとの見通しは27%でした。

円安見通しの割合から円高見通しの割合を引いたDIは、先月よりもマイナス幅が縮んで、-6.80になりました。円高・ユーロ安見通しは大きく減っています。

3月のハイライトとなったECB会合では、マイナス金利幅拡大を含めて市場の予想を超える追加緩和を発表。しかし同時にドラギ総裁は、「これ以上の利下げは必要なし」との見解を示しました。ECBの緩和とFRBの利上げというツインターボが米欧の金利差を拡大させるはずだったのに、片方は停止(ECB)、もうひとつも故障中(FRB)になってしまいました。これがユーロドルにボトムアウト感が出てきた理由です。ただしユーロ円に関しては、ドル円の動向次第でさらに円高・ユーロ安が進むことも考えられます。

 

豪ドル円:円高見通しから中立見通しに。

豪ドル円の見通しは、回答者全体のうち約26.5%が今後1ヵ月で、現在より円高・豪ドル安が進むと考えています。円安見通しは26.0%で、ほぼ拮抗しています。

円安見通しの割合から円高見通しの割合を引いたDIは、先月よりもマイナス幅が大きく縮んで、-0.59になりました。円高・豪ドル安見通しが減ったことを示しています。

 

主要政策金利の発表予定(4月)

日付 発表時間 中央銀行 現行金利 予想金利
05日 13:30 RBA銀行 政策金利 2.00% 2.00%
13日 23:00 カナダ銀行 政策金利 0.50% 0.50%
14日 20:00 BOE政策金利 0.50% 0.50%
20日 20:00 トルコ中銀 政策金利 7.5% 7.5%
21日 16:30 スウェーデン中銀 政策金利 -0.50% -0.50%
21日 20:45 ECB政策金利 0.00% 0.00%
27日 27:00 FOMC 0.25 - 0.50% 0.25 - 0.50%
28日   日銀金融政策決定会合 -0.10% -0.10%
28日 06:00 RBNZ政策金利 2.25% 2.25%

※ 経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してください。

楽天証券FX事業部
楽天証券経済研究所
荒地 潤

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 55.77% 61.49% -5.72%
EU諸国 9.35% 11.66% -2.31%
ブラジル 8.62% 7.53% 1.09%
ロシア 4.29% 3.86% 0.43%
インド 36.27% 34.17% 2.11%
中国 7.71% 8.14% -0.43%
中東・北アフリカ 4.53% 5.36% -0.82%
東南アジア 29.16% 30.58% -1.42%
中南米 4.53% 3.19% 1.35%
東欧 2.79% 2.31% 0.49%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 77.89% 77.15% 0.73%
外国株式 23.06% 23.73% -0.67%
投資信託 28.15% 35.19% -7.04%
ETF 15.73% 20.75% -5.02%
FX(外国為替証拠金取引) 13.92% 12.41% 1.51%
国内債券 4.64% 6.92% -2.28%
海外債券 4.71% 6.37% -1.66%
15.45% 21.36% -5.90%
原油 8.69% 11.05% -2.37%
商品 1.95% 1.76% 0.19%
REIT 12.49% 16.20% -3.72%
CFD 1.67% 0.88% 0.79%