はじめに

今回のアンケート実施期間は、4月27日~4月30日でした。

新年度入りとなった2015年4月の国内株市場ですが、月末の日経平均は19,500円で終了しました。前月末(19,206円)と比べて約313円(1.6%)高となり、月足ベースで4カ月連続の上昇でしたが、上昇のペース自体は緩やかになった印象です。

月間の値動きを振り返ると、19,000円水準でスタートした日経平均は急ピッチで上昇し、4月10日の取引時間中には約15年ぶりとなる2万円台をつける場面がありました。その後は目先の達成感と国内の企業決算シーズンを控えて上値が重たい展開が続きました。

このまま膠着相場が続くと思われた中旬から月末にかけては、相場の視点が企業の決算発表待ちから日銀の金融政策決定会合を前にした追加金融緩和への思惑に移ったことで、相場がにわかに動意づき、今度は終値ベースで2万円台を達成するまで上昇したものの、会合が終了した月末に大きく下落し、いわゆる「日銀プレイ」に振り回される格好となりました。

今回のアンケート結果ですが、下げがきつかった時期に実施されたこともあってか、日経平均の1カ月先の見通しDIは前回よりも悪化したほか、為替の見通しにつきましても、前回調査に続き、各通貨ともに円安の見通しが後退するなど、慎重なものとなりました。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し「目先は調整を警戒も、先行きは楽観視か?」

  • Q1: 4月27日と1カ月後の日経平均の見通し DI=13.75
    (3月30日と1カ月後の日経平均の見通し DI=21.82)
  • Q2: 4月27日と3カ月後の日経平均の見通し DI=20.21
    (3月30日と3カ月後の日経平均の見通し DI=18.82)

今回の日経平均の見通しは、1カ月先のDIが13.75、3カ月先のDIが20.21でした。前回調査がそれぞれ21.82、18.82でしたので、1カ月先が悪化する一方で3カ月先は改善という結果となりました。

「短期的には調整の場面が想定されるが、中長期的にはこれまでの上昇傾向に戻るのでは?」という見方の印象ですが、DIの数値自体は高くないですし、回答比率の内訳(強気・弱気・中立)を見ても、1カ月先、3カ月先ともに中立の割合がほぼ半数を占めており、実際には様子見という投資家が多いと思われます。

日経平均は2015年1月中旬の16,500円台から、今回の調査が行われる直前までの3カ月ちょっとの間に3,700円以上も上昇してきたわけですから、4月末にかけての下落は、「いつ来てもおかしくない調整局面」と見ることもできそうです。また、日経平均は4月23日の取引時間中に20,250円をつけましたが、4月中に終値ベースで2万円を超えたのは4日しかありませんでした。そのため、日経平均2万円という節目が「通過点」なのか、「ゴール(目標値)」とするのかについては、まだ見方は定まっていないようです。

確かに、市場が抱いている2015年度の国内企業の15%増益予想を織り込めば、日経平均2万円はファンダメンタルズ的に決して割高ではありませんが、時間軸としてはかなり先取りしてしまっています。また、取引時間中に日経平均が2万円をつけた4月10日に、甘利経済再生大臣が「制御可能なミニバブルは歓迎」と発言しているように、「2万円からの上値追いはバブルかも」という見方もできます。業績相場という視点からの「2万円から先」には、さらなる業績の上振れを期待させる材料が必要です。

その一方で、金融相場という視点に移すと、海外の株式市場では中国株や欧州株の上昇が目立っていますが、いずれも金融緩和がきっかけとなっています。そこで、あらためて国内株市場の上昇を振り返ってみますと、上昇のベースにあるのは、昨年10月末に実施された追加金融緩和でした。

つまり、最近までの国内株市場の上昇は、当初は金融相場が前提だったのが、日銀や年金などの買いによる下値不安の後退をはじめ、国内企業に対する業績期待やコーポレートガバナンス強化の評価など、途中からファンダメンタルズ的な業績相場の色合いが濃くなってここまで上昇してきたという構図です。業績相場と金融相場が並存していると考えられます。

実際に、国内企業の決算シーズン入りとなった4月中旬からは、業績相場面では動きにくい中、日銀会合を控えたタイミングで金融相場面に視点が切り替わって、いわゆる「日銀プレイ」で日経平均が再び2万円台に乗せ、会合後に下げ幅を拡大する動きを見せており、しばらくは、相場の視点がどちらにあるのかが意識されそうです。

また、2015年もそろそろ折り返し地点に差し掛かろうとしていますが、年初に描いた「想定シナリオ」が見直される時期でもあります。そのため、今後は、国内外の景況感や企業業績の見通しなど、すでに織り込んだ材料について、現実とのギャップを修正しつつ値固めしていく動きがメインシナリオとなりそうですが、金融緩和を中心に上昇してきた中国や欧州株市場とは異なり、業績相場の要素が比較的反映されながら上昇してきてきた国内株市場の株価水準は行過ぎておらず、むしろ下がったところでは買いが入りやすいと言えそうです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
4月27日 DI=12.82 DI=▲ 7.52 DI=2.63
3月30日 DI=28.64 DI=▲ 3.00 DI=4.73

4月末のドル/円終値は1ドル=119.39円
3月末と比較すると70銭程度の円高となりました。4月は1ドル=120円が頭の重い状況で、120.85円を超える展開にはなりませんでした。

4/27実施のDIはドル/円12.82(前回は28.64)、ユーロ/円-7.52(前回-3.00)、豪ドル/円は2.63(前回4.73)という結果で、全般的に円高をみる投資家が増加し、ユーロ/円に関しては、4ヶ月連続でDIがマイナス値になりました。

ドル/円

ドル/円DIは12.82、前月比マイナス15.82ポイントでした。

11月の57.55を直近高値とし、5ヶ月連続の減少となりました。

主要因は、昨月同様に円安派の減少ですが、4/27実施のDIでは、円安派がマイナス11%と大きく減少しました。反面、円高派が5%増加、変わらず派が6%層化としました。これは、(1)米1QのGDPが弱かったこと(2)日米株価の下落(3)1ドル=120円を超えると頭を押さえられることなど、ドル/円相場の方向感が読みづらい中、更なる円安進行に慎重論が出たのではないでしょうか。

一方、足元発表の米経済指標では、4月シカゴ購買部協会景気指数が予想50.0のとこと52.3、最終週の週間失業保険申請件数が予想29万件の中、26.2万件と強い数字が出てきており、押し目買いを狙う投資家も出てきそうです。

ポイントは、やはり東京時間5/8 21:30発表の米雇用統計でないでしょうか。

特に非農業部門の雇用者増加数に注目です。(前回12.6万人、予想22.5万人)

ただし、テクニカルで見ると、一目均衡表の雲の下限が119.43円とほぼ現在(5/7 8:00)の水準となっており、これを下抜けてくると、118.50-80円をうかがう展開となりそうです。

前回のDIをうけての4月のドル円レンジを119.00-122.00としましたが、実際は118.50-121.00でした。5月は、118.50円が上下への新展開への攻防戦となり、この水準を抜けた方向に、118.50‐122.00をレンジ予想としますが、118.50円を抜けてくると下値目標が116円となりそうですので、注意が必要ではないでしょうか。

注目ポイント:

  • 5/8米雇用統計
  • 5/8日銀・金融政策決定会合議事要旨
  • 5/13ユーロ、独1-3月期国内総生産(GDP、速報値)(前期比)
  • 5/20米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

※ 経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してください。
星★付きが重要度大です

ユーロ/円

ユーロ/円DIはマイナス7.52、前月比マイナス4.52ポイント4ヶ月連続のマイナス値です。円安派が変わらずに移行した結果となりました。

4月初旬は一目均衡表の雲の下で推移し、一時1ユーロ=126.09円まで下落しましたが、くすぶるギリシャ問題が、港湾や空港化の民営化の推進や財政支援策の対立に対する「プランB」(別救済プラン)がでてくるなど、楽観視する向きもありユーロ円が上昇しています。

5/7現在1ユーロ=135.20円で推移しており、一目均衡表の雲の上に位置していることが、今後の上昇を占っているようです。200日移動平均線が137.30円にありますので、この水準が上値目標になりそうです。

豪ドル/円

豪ドル/円DIは2.63で前月比マイナス2.11ポイントとなりました。

円高、円安派が減少し、変わらず派がプラス3.6%となりました。

オーストラリアは、5月ゴールデンウィーク中に政策金利を2.25%から過去最低水準の2%に引き下げました。RBAのスティーブン総裁は会見の中で、「インフレ見通しにより、最近の需要の明るい傾向を促進するための追加金融緩和となった」とし、豪家計支出や雇用市場に改善の兆しがあることを指摘しました。

一方、経済けん引の主役となる鉱業以外の産業について、投資が減少する可能性があるとあらためて警告するなど、リスク面についても指摘がありました。

とはいえ、豪ドル/円は96円をダブルトップにしながらも上昇しており、利下げもあいまって、上昇の基調が見え始めています。

テクニカルでみると、日足200週移動平均線の95.50円を終値で上抜けてくるようであれば、上昇トレンドが明確に現れそうです。

目下、93-99円が当面のレンジとなりそうです。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回 前回比
アメリカ 50.23% 53.29% △ 3.06%
EU諸国 13.23% 13.11% 0.12%
ブラジル 12.84% 10.05% 2.80%
ロシア 8.06% 6.81% 1.25%
インド 33.18% 34.24% △ 1.06%
中国 12.65% 10.85% 1.79%
中東・北アフリカ 5.95% 4.16% 1.79%
東南アジア 34.80% 34.01% 0.79%
中南米 5.86% 4.56% 1.30%
東欧 3.34% 3.41% △ 0.07%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 73.78% 75.00% △ 1.22%
外国株式 28.29% 26.62% 1.67%
投資信託 42.96% 38.57% 4.40%
ETF 19.52% 19.75% △ 0.22%
FX(外国為替証拠金取引) 14.54% 12.70% 1.84%
国内債券 6.18% 5.95% 0.24%
海外債券 8.21% 7.16% 1.05%
15.51% 14.43% 1.08%
原油 8.38% 8.78% △ 0.39%
商品 1.83% 1.56% 0.27%
REIT 13.88% 12.76% 1.12%
CFD 1.14% 1.04% 0.10%