はじめに

今回のアンケート実施期間は、5月26日~5月28日でした。

5月の国内株式市場の動きを振り返ると、日経平均の月末終値は14,632円でした。月足ベースで5カ月ぶりの上昇となり、上昇幅は約328円(2.29%)と大きくはないものの、月間の値動き自体は慌しく推移しました。

月初と中盤に節目の14,000円割れが意識される展開が目立ちましたが、この水準を維持できたことをきっかけに上昇に転じ、月末にかけて戻り基調が続きました。米国株市場も高値圏で月末を迎え、「Sell in May (5月に売れ)」という相場格言は今回は回避された格好となりました。

今回のアンケートは、月末にかけての上昇基調の中で行われたこともあり、日経平均の見通しDIは前月から一転、大きく改善する結果となりました。為替の見通しDIについても全体的に改善傾向でしたが、米国長期金利の低下や金融緩和観測があるECB理事会を控え、株式ほどの改善には至りませんでした。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し

  • Q1:5月26日と1カ月後の日経平均の見通し DI=19.66
    (4月30日(前回)と1カ月後の日経平均の見通し DI=△17.53)
  • Q2:5月26日と3カ月後の日経平均の見通し DI=24.94
    (4月30日と3カ月後の日経平均の見通し DI=2.11)

今回の日経平均の見通しDIの結果は、1カ月先DIが19.66と、前回のマイナス17.53からプラスに転じたほか、改善幅も大きくなりました。3カ月先のDI(24.94)についても、前回(2.11)から大幅に改善しました。

こうしたDI改善の背景には、調査期間前後に相場地合いが好転したことが大きいです。調査期間前の2日間で日経平均が約420円の急反発を見せ、調査期間中も安定的に続伸していました。それまでは日経平均14,000円割れが意識される展開が続いていましたから、ガラリと相場の地合いが変わったわけです。実際に、今回の回答の内訳(強気・中立・弱気)の比率を見ても、強気の回答比率が1カ月先、3ヶ月先でそれぞれ約34%、40%と、前回調査(15.19%、28.95%)から急増しています。

とはいえ、東証1部の売買代金が活況の目安とされる2兆円を下回る日々が目立っており、株価が上昇している割にはイマイチ盛り上がりに欠ける印象も強いです。そのためか、回答比率で多数派を占めていたのは強気ではなく、中立でした。5月の後半までは「買えないから売られる」ムードだったのが、日経平均が節目の14,000円で踏みとどまり、当面の下値が確認されたことで、今度は「下がらないから買われる」ムードに変わり、戻りを試している状況と考えられます。ムードが良好なため、好材料に反応しながら上昇してはいるものの、さらに上値を追っていくには、売買量と継続的な買い材料が必要になってきます。

一方で、日経平均14,000円水準は、下値の目処としてかなり強く意識されていると思われます。PERなどの指標面で割安感の出る水準であるほか、前回、日経平均が終値ベースで14,000円台を下回ったのは4月15日ですが、その翌日のタイミングで、麻生財務大臣から公的年金による株の買い支えを示唆する発言が飛び出し、株価が大きく反発したことを踏まえると、政権側も14,000円を節目として意識している印象があります。

少し時間を遡ると、安倍首相が消費税を5%から8%に引き上げると表明した昨年10月1日前後で日経平均は14,400円台から13,740円台まで下落しました。もちろん、当時は米国の債務上限引き上げ問題という外部要因もありましたが、消費増税の判断前後で、日経平均は14,000円を挟んだ動きとなっていたわけです。今年中には消費税10%への引き上げ判断が控えており、仮にアベノミクスの評価の一部が株価だとすると、次の引き上げ判断時の株価が前回よりも低いと「格好がつかない」ことになります。

逆に、今後14,000円台からの大きな下振れの場面があれば、アベノミクスに対する失望という見方もできるため、6月13日のメジャーSQ、6月中にまとまる成長戦略の中身が今後の動向を左右しそうです。

(楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之)

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
5月26日 DI=20.57 DI=7.93 DI=13.79
4月30日 DI=14.96 DI=11.94 DI=11.02

5月のレポートでは、『5/9米ドル101.50円レベルで推移しており、サポートライン101.20円をうかがう展開になり、そのレベルを下抜けると年初来安値の100.75円が見えてくることとなる。「SELL in MAY」(米国相場格言「5月は売り」)の展開』と書きましたが、5/21に100.89円の安値をつけ円高が進行しました。

その後、米金利上昇を背景にドルは値を戻している状況です。

5月26日実施のDIは、米ドル20.57(前回は14.96)、ユーロ7.93(同11.94)、豪ドルは13.79(同11.02)という結果で、ユーロ以外は若干円安と見ているようです。

米ドル

米ドルは、DI20.57、前月比+5.61上昇し、円安と見る投資家が4.2%増加しました。最近の米ドルは、1. 米株の上昇  2. 米長期金利の上昇  3. ユーロの金融緩和観測など軒並み米ドル高の材料に後押しされ、上昇しています。

一目均衡表でドル円の動きをみると、5月は一環して雲の下での推移でしたが、6/5には高値を雲の上でつけました。ただし基準線が上向きになっていませんのでまだ上昇トレンド転換とは言いきれません。

6/6の米雇用統計に注目が集まります。

米雇用統計では、非農業部門雇用者数が21.5万人、失業率が6.4%の事前予想となっています。

また、ユーロ円などクロス円の上昇期待もドル円の上昇を後押ししています。ECB理事会での金融緩和がどのように影響するのでしょうか

6月の注目カレンダー
6/6   米雇用統計
6/13   日本銀行・金融政策決定会合 終了後、黒田日本銀行総裁記者会見
6/17-18 米FOMC、18日は政策金利発表 

経済指標は、是非当社経済カレンダーで確認してみてください。

星★付きが重要度大です

ユーロ

ユーロDIは7.93と前月比-4.01ポイントとなりました。

また、方向感別では、円高派+4.9%、変わらず派-5.9%そして円安派が-0.9%となり、ユーロ円高とみる投資家が増加しました。

6/5のECB理事会が大きなイベントでしたが、ECBは政策金利を0.25%から0.15%に、中央銀行預金金利を0%からマイナス0.1%に引き下げることを決定しました。ECBの声明文では「政策金利は長い期間にわたって、現在の水準にとどまるだろう」と指摘し、また、ドラギ総裁は会見で「金利の下限に達した」と述べました。これをうけユーロの対円レートは139円半ばから138円半ばまで値を下げましたが、その後、140円手前まで戻しています。

利下げは今回で打ち止めと考えられますが、金融緩和措置は更なる資金供給について触れていますので、まだ「ジャブジャブ」な供給を継続するようです。

当面は、140円を睨んだ展開になりそうです。

豪ドル

豪ドルDIは13.79。前回比+2.77ポイントとなりました。

DIでは大きな変化は見られませんでした。マーケットの注目は、米ドルとユーロと円になっているようです。

とはいえ豪ドルは着実に上昇しており、一目均衡表では、雲の上に顔を出しています。その背景は、6/3に発表されたオーストラリアの1-3月期の四半期国内総生産が前期比+1.1%と着実な経済の成長のようです。

豪ドルは96円で頭の重い展開になっていますが、このレベルを上抜けするのであれば、100円も見えてきますので、そうなれば円安派の増加も見えてくるのではないでしょうか。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

 

3.今後注目する投資先

  今回 前回
アメリカ 52.07% 49.86% 2.21%
EU諸国 13.22% 14.62% △1.40%
ブラジル 16.55% 20.16% △3.61%
ロシア 5.98% 6.28% △0.31%
インド 27.24% 22.22% 5.03%
中国 8.51% 7.08% 1.42%
中東・北アフリカ 9.08% 9.31% △0.23%
東南アジア 33.91% 36.26% △2.36%
中南米 5.40% 7.88% △2.48%
東欧 4.48% 4.34% 0.14%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回
国内株式 76.44% 70.82% 5.62%
外国株式 24.71% 25.59% △0.87%
投資信託 41.61% 45.06% △3.45%
ETF 16.78% 16.56% 0.22%
FX(外国為替証拠金取引) 14.94% 13.19% 1.75%
国内債券 7.70% 6.85% 0.85%
海外債券 9.77% 11.14% △1.37%
13.68% 12.74% 0.94%
原油 3.79% 3.20% 0.59%
商品 2.07% 1.88% 0.18%
REIT 14.37% 15.71% △1.34%
CFD 0.80% 1.20% △0.39%