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為替レートの変動要因
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

為替レートの変動要因

2015/3/11
アメリカで早期利上げ懸念が強まったことを背景に、11日の東京市場では一時1ドル122円まで円安が進みました。日経平均は、円安を好感して一時133円高となりましたが、大引けは125円安と売られました。しばらく調整局面と見ています。
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アメリカで早期利上げ懸念が強まったことを背景に、11日の東京市場では一時1ドル122円まで円安が進みました。日経平均は、円安を好感して一時133円高となりましたが、大引けは125円安と売られました。しばらく調整局面と見ています。

今日は、為替の見方について書きます。

(1)為替を動かすマネーの種類

私は、これ以上の円安はあまり進まないと予想しています。その背景を説明します。

まず、為替変動要因の基礎知識からおさらいしましょう。ドル円為替レートを動かすマネーには、以下の3種類があります。

  • 短期投資マネーの動き

日米短期金利差・日米金融政策の方向性の差・その他各種材料に反応して動きます。

  • 長期投資マネー(証券投資・M&A・直接投資)の動き

日米長期金利差(債券投資に影響)・日米企業業績のモメンタム差(株式投資に影響)、M&A(日本企業の海外企業買収、海外企業の日本企業買収)、海外直接投資などに対応して動きます。

  • 貿易・サービス収支によるお金の流れ、他

為替レート変動を決めるのに一番影響が大きいのは、①短期マネーの動きです。ついで、②長期投資マネーの動きも大きく影響します。③貿易・サービス収支が為替を動かすことはほとんどありません。貿易による資金移動よりも、短・長期の投資マネーの動きの方が、規模もスピードも大きいからです。

ただし、貿易収支の変動を、短期マネーが材料とする時には、貿易収支が為替に影響します。

(2)アベノミクス開始後、日米金融政策の差が、円安要因に

アベノミクス開始以来、大幅な円安が進んだ要因は、「金融政策の方向性の違い」で説明できます。

ドル円為替レート:2012年12月30日~2015年3月10日

現在、日米両国とも実質ゼロ金利政策をとっていますので、短期金利差はありません。今、為替市場で見られているのは、量的金融政策の方向性です。アメリカは昨年1月からQE3(量的金融緩和第3弾)の縮小を開始し、昨年10月に量的緩和を終了しました。一方、日本は、2013年4月に量的緩和を開始し、2014年10月に追加緩和を実施しました。この差が、ドル高(円安)要因として効いてきました。

(3)今年6月以降に米利上げが予想されるが、利上げは1~2回で打ち止めか

米国は6月以降、利上げ(FFレート誘導水準の引き上げ)が予想されます。一方、日本は、量的緩和が継続されています。それを根拠に、引き続き、ドル高(円安)が進むと予想する向きもあります。

私は、アメリカの利上げは、あってもせいぜい1回か2回で打ち止めになると予想しています。過去のように「FRBが1度利上げを始めると5~6回連続で利上げし、短期金利が2~3%上がる」ことは、あり得ないと考えています。原油安とドル高の影響で、アメリカもインフレ率が低下基調だからです。

これまで、アメリカ利上げを織り込む形でドル高(円安)が急ピッチで進んできましたので、「利上げがあっても1~2回で打ち止め」の見方が広がると、ドル高(円安)は進みにくくなると考えています。

(4)貿易収支の黒字化が視野に、心理的に円安を抑える要因に

今年は、貿易収支の黒字化が視野に入ると考えています。通常、貿易収支は、為替を動かす材料とはなりにくいのですが、今年、黒字達成すれば心理的に円高要因となる可能性もあります。財務省が発表した2015年1月の貿易収支(速報、通関ベース)は▲1兆1,775億円の赤字でしたが、赤字額は前年同月と比べて57.9%減少しました。①輸入が原油急落の恩恵で前年比9%減少したこと、②輸出が自動車・半導体等の増加で同17%増えたことが貢献しました。

原油急落が、黒字回復に効果を発揮すると見ています。原油は世界的に供給過剰となっており、価格低迷は長期化しそうだからです。日本は、2010年まで30年連続で貿易黒字を計上していました。日本が2011年に31年ぶりの貿易赤字に転落したのは、東日本大震災で原子力発電所が停止し、火力発電の燃料輸入が増えたことが最大の原因でした。

2014年に日本の輸入の約3割を占める鉱物性燃料の価格が急落したことは、今後、日本が貿易黒字を復活させるのに強力な援軍となります。

日本は、2011年に原発が停止して電力需給が逼迫する中、中東からあわててLNG(液化天然ガス)を緊急輸入したために、世界一割高なガスを買う破目になりました。日本が緊急輸入したLNGは100万BTU(熱量単位)当たり16~18ドルです。アメリカのシェールガスが100万BTU当たり3-5ドルであることを考えると、日本は非常に高価なLNGを買わされ続けてきたことになります。

LNGは長期契約であり、2018年くらいまで高値で契約したLNGの輸入が続く可能性があります。ところが、原油急落を受けて情勢が変わりました。日本が輸入するLNGには、原油に連動して価格を調整する契約が多い。足元で、まだ輸入LNGの価格はほとんど下がっていないが、今後、原油急落を反映して徐々に低下していくことが予想されます。

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