※本記事は2014年12月5日に公開したものです。

例えば学生に何を覚えて欲しいか

 筆者は、獨協大学で「金融資産運用論」と題する講義を担当しており、週に2コマ(1コマ90分)、学部の学生(1年生から4年生)に、主に金融資産運用について教えている。一コマ目の授業は入門者用で、主な金融商品の仕組みと勘所、リスクとリターンの基礎、個人向けの運用の簡便法、運用ビジネスと投資理論の関係、など入門的な投資教育として、これだけは教えておきたいと思う内容を半年単位で話している。サラリーマンや主婦を対象とする一般個人向けの入門的投資教育に、大学なので、ほんの少し理論を教えている。

 ちなみに、もう1コマは、いわば中級者用だが、バートン・マルキール「ウォール街のランダムウォーカー」(井手正介訳、日本経済新聞社)をテキストに、投資の理論と市場の効率性、バブルの仕組み、個人の資産運用法などを考える授業にしている。

 さて、入門者用の授業では、毎期に一回か二回(学生も含めて人間は忘れる生き物なので教育的には二回話すべきだろう)、初心者向けの運用の心得で、学生にどうしても覚えて欲しいことを、三箇条から五箇条くらいの心得にして伝えている。

「お金の運用で大事な○箇条」といったテーマは、大学の授業以外に、何度も雑誌の原稿などに書いているが、毎回、少しずつ書きたい内容や書き方が変わっている。

 本稿の読者は、全くの初心者よりも、運用に詳しい方が多いかも知れない。たとえば、読者なら、運用の初心者に「是非これだけは覚えて欲しい心得」として、何をあげるだろうか。

 以下、筆者の、今年の秋学期バージョンの初心者向け運用心得をご紹介する。