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これからの商品(コモディティ)相場を見通す上で押さえておきたい要点の確認商品価格を動かす要因は「需給」「金融」「投機」の3つ
吉田 哲
週刊コモディティマーケット
コモディティ(商品)をお取引いただく上でのコメント・アイディアを提供するレポートです。金をはじめとした貴金属、原油をはじめとしたエネルギー関連銘柄、とうもろこし・大豆などの穀物な…

これからの商品(コモディティ)相場を見通す上で押さえておきたい要点の確認商品価格を動かす要因は「需給」「金融」「投機」の3つ

2015/9/18
商品(コモディティ)価格を動かす要因は、「需給」「金融」「投機」の3つに分けられよう。商品は、それそのものの需要と供給が均衡点を模索するプロセスにおいて価格が形成される「需給相場」、株式や通貨、金利など他のマーケットの流れに呼応して…
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  • 商品価格を動かす要因は「需給」「金融」「投機」の3つ
  • 「需給」はレンジやトレンドを作るはたらき
    例:1980年台から2000年台前半までのレンジを形成した原油相場(需給均衡)
    原油・穀物相場のパラダイムシフト(需要拡大)
  • 「金融」はトレンドを増幅させるはたらき
    例:米金融緩和開始以降の原油・ドルインデックス、NYダウ・金の動き
  • 「投機」は値動きの振幅をさらに増加させるはたらき
    例:1990年台から2014年における各商品の値動きの振幅幅の拡大

商品価格を動かす要因は「需給」「金融」「投機」の3つ

商品(コモディティ)価格を動かす要因は、「需給」「金融」「投機」の3つに分けられよう。

商品は、それそのものの需要と供給が均衡点を模索するプロセスにおいて価格が形成される「需給相場」、株式や通貨、金利など他のマーケットの流れに呼応して価格が形成される「金融相場」、そして投機資金の流出入によって価格が形成される「投機相場」によって価格が動いていると言える。

それぞれがマーケットの変動要因として作用する時、「需給」はトレンドやレンジを作るはたらき、「金融」はトレンド増幅させるはたらき、「投機」は振幅をさらに増加させるはたらきをしていると考えられる。図1は原油相場を元にしたそのイメージである。

マーケットは絶えず多くの事象を織り込みながら動いているため、3つのいずれかではなく時には2つ、あるいは3つすべての要因が絡んでいるケースも考えられる。

商品(コモディティ)価格が変動した際に、何が材料で相場が動いているのか?を判断する上でも変動要因の整理は重要である。

図1:NY原油の値動きと変動要因のイメージ (単位:ドル/バレル)

出所:ブルームバーグより筆者作成

昨日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明で公表されたとおり、昨年10月のQE(金融緩和)終了以降、議論が始まった米国の利上げについては実施が見送られたが、今後も利上げのタイミングや利上げした際の規模・頻度などの利上げ後の議論は継続するため、引き続き米国の金融政策を取り巻く動向が、商品(コモディティ)の大きな変動要因の一つになると考えている。

今回のレポートではこの「金融」が商品(コモディティ)価格に与える影響、そして「需給」や「投機」がどのように商品に関わっているのかについて整理をしてみたい。

「需給」はレンジやトレンドを作るはたらき

原油や金、穀物はモノ・資源であるため、基本的にはそのものを必要とする「需要家」と、そのものを生産・供給する「供給家」とが、各々の立場でより大きいメリットを享受するべく経済行為をし、その結果、価格が形成される。

各々の立場でのメリットとは、需要家であれば「安く買いたい」、供給家であれば「高く売りたい」ということである。

原油や金、穀物などのメジャーな商品では特に、人間が生活する上で必需品であり、その商品の需要が無くなることはほぼないため、「需要家と供給家との綱引き」(=公正な価格の形成が行われるプロセス)が無くなることはないと考えられる。

お互いのより大きいメリットを享受したいという思惑が均衡している場合、価格は一定のレンジを形成することとなる。価格が高くなれば供給家にとって有利だが、需要家にとっては不利、逆に価格が安くなれば需要家にとって有利だが供給家にとっては不利となる。

こうしたお互いの思惑がどちらか一方に偏ることなく均衡している場合、一定の上限と下限を形成することとなる。(レンジ相場の形成)

また、原油・穀物相場のパラダイムシフト(価格の均衡点の変化)について、原油と穀物のレンジが一段上がっている(図2・3)。1980・90年台に比べ2000年以降、新興国の経済活動が活発化したこと、世界の人口増加などが要因となり需要量のボトムが引き上がったためだと考えられる。

これは、「需要」面のもう一つのはたらきであるトレンドを作るに通じる。需要増加や供給減少は価格均衡点の上方シフトや上昇トレンドの発生、需要減少や供給増加は価格均衡点の下方シフトや下降トレンドの発生の要因となる。

供給増加による下降トレンドの発生については、2014年中ごろから2015年前半までに発生した原油価格の急落にその例を見ることができる。

図2:1980年台から2000年台前半までのレンジを形成した原油相場 (単位:ドル/バレル)

出所:ブルームバーグより筆者作成

図3:原油相場のパラダイムシフト (単位:ドル/バレル)

 

出所:ブルームバーグより筆者作成

図4:穀物相場のパラダイムシフト (単位:セント/ブッシェル)
コーン・小麦(左軸) 大豆(右軸)

 

出所:ブルームバーグより筆者作成

「金融」はトレンドを増幅させるはたらき

主要国の金融政策が、関連する株式・通貨に影響し、その株式・通貨の動きが商品(コモディティ)の値動きに影響している。

2000年前半以降、商品(コモディティ)価格に連動するETFが上場され取引量を伸ばしたことや、2009年前半以降の米国を中心とした金融緩和により、株式・通貨・商品(コモディティ)などのさまざまな投資対象に資金が流入する過程の中で、金融商品間の垣根が下がり、それらの間での値動きの関連性が強くなる傾向が出てきたことが要因であると考えられる。(図5)

  • 株価上昇 → 将来の需要増加期待 → 商品(コモディティ)価格上昇 金は投資妙味減退で下落
  • ドル上昇 → 他通貨建比、ドル建てコモディティの割高感 → ドル建て商品(コモディティ下落)

主要国の金融政策によって、株価や通貨がトレンドを伴い推移することがあるが、このトレンドと同様に、商品(コモディティ)の価格が推移することがある。

こうした金融政策を発端とした株価・通貨のトレンドを伴った値動きは、金融政策が短期間で転換することは考えにくいため、株価・通貨のトレンドは数ヶ月~数年に及ぶことがある。その結果、商品(コモディティ)でも同様の期間のトレンドが発生することとなる。

図5:2008年末以降の米金融緩和時のNY原油とドルインデックス(左)
2012年以降のNY金とNYダウ(右)

 

出所:ブルームバーグより筆者作成

リーマンショック後の米金融緩和開始以降、米景気回復による企業業績の向上などにより原油などの工業関連商品の需要が拡大する期待の拡大したこと、金(ゴールド)においてはドル安により金への投資妙味が増したことなどが背景となり、株価・通貨と商品がより密接に結びつきやすくなった。

この「金融」が要因となって商品(コモディティ)価格がトレンドを伴って価格が動く点は今後も注視していきたいことのひとつである。

米利上げは新興国を中心に経済を弱体化させる要因になるとの指摘があり商品価格にとってもマイナス要因となると考えられている一方、米国には足元の堅調な経済情勢を反映した「利上げに踏み切れるだけの力がある」と考えれば、強い米国が他国を成長に導き、経済活動が活性化・商品需要増加、というシナリオを描くこともできる。

米国の利上げの動向(「金融」要因)は商品(コモディティ)にとって強・弱どちらの材料にもなりえるが、ひとたび米利上げが強く意識された相場になれば、株式・通貨と共に、トレンドを伴った大きな値動きとなることも考えられよう。

「投機」は値動きの振幅をさらに増加させるはたらき

短期的で高頻度の売買によって、収益を狙う・リスク管理を行う動きで、リスクオン・リスクオフといったマーケットを取り巻く「ムード」は投機の動きのきっかけとなる。

こうした「ムードの変化による投機資金の短期的な流出入」は、マーケットでの売買の量を増加させ、値動きの振幅の幅を拡大させる要因となる。

「投機」による値幅の振幅拡大は、あくまで短期的な動きであり、「需給」や「金融」と異なり長期的なレンジやトレンドを作ることはほとんどなく、“ショック”と呼ばれる幅広いマーケットが下落する場面においても「投機」は振幅幅を拡大させる働きをしていると考えられる。(トレンドを作るのはあくまでも「需給」・「金融」である)

以下のとおり年々、3銘柄いずれも徐々に振れ幅が大きくなってきている。これは「投機」がマーケットに及ぼす度合が大きくなってきていることの表れとも言え、今後も「投機」が拡大させる振幅には注意が必要であろう。

図6:1990年代以降の価格の振幅の拡大 月間騰落率の年平均したもの

 

  • NY金
  • NY原油
  • シカゴコーン

出所:ブルームバーグより筆者作成

おわりに

商品(コモディティ)マーケットは今後も「需給」「金融」「投機」の影響を受けながら推移する展開となるだろう。

同時に、人口増加を背景とした商品(コモディティ)需要の増加や投機の動きの強まりなど、各要因の影響度は年々増している点にも留意したい。

足元、主要国の金融政策や新興国の動向など、流動的な材料が多い時期だからこそ、商品価格の変動要因についての基本を押さえ、何が今相場を動かしているのかを知る手がかりを知っておきたい。

このレポートがお客様の今後の商品(コモディティ)価格を見通す上で役立てば幸いである。

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