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「ショック発生」から約200日間経過
吉田 哲
週刊コモディティマーケット
コモディティ(商品)をお取引いただく上でのコメント・アイディアを提供するレポートです。金をはじめとした貴金属、原油をはじめとしたエネルギー関連銘柄、とうもろこし・大豆などの穀物な…

「ショック発生」から約200日間経過

2015/5/29
「逆オイルショック」と例えられた昨年夏場からの原油価格急落は、5月の価格反発を見て一端は収束したものと考えている。
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  • 「リーマン」も「逆オイル」も、原油価格は“ショック”発生から約60%下落
  • “ショック”の急落時も、暖房油は冬場・ガソリンは夏場にかけて強含む季節習性を維持
  • 安全資産と目される金(ゴールド)も、極端な“ショック”時は弱含む

「逆オイルショック」と例えられた昨年夏場からの原油価格急落は、5月の価格反発を見て一端は収束したものと考えている。

今回のレポートでは、この一連の下落について、過去のショックとの比較や、ショック発生からのセクター別の値動きなどを確認し、今後の価格推移を占う上でのヒントを探ってみたいと考えている。

「リーマン」も「逆オイル」も、原油価格は“ショック”発生から約60%下落

以下のグラフは、リーマンショックの発生日である2008年9月15日を100、逆オイルショックの発生日(直近で最後に100ドルを割れて急落が始まった日と仮定)である2014年8月1日を100として、それぞれその後の約200日間の値動きを指数化したものである。

図1:リーマンショック・逆オイルショック発生後のNY原油価格の推移
(横軸は経過日数)

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

ともに100とした時点から最大で60%前後下落している。

下落幅が最大となった以降、リーマンショック時はショック発生から約100日後に始まった米金融緩和がスタート、逆オイルショック時は約120日後より北米の稼動リグ数の減少が始まり将来の米国の原油生産が減少する観測が生じたなど、それぞれ相場の転換点となる材料が発生している。

上記のような反発のきっかけが生じたこともあるが、ここで注目したいのは、商品価格は基本的に、売り方(生産者)・買い方(消費者)のバランスで価格が決まるという商品(コモディティ)が持つ基本的な特性である。

“ショック”のような短期的な価格急落は、ゆっくり価格が下落する場面と異なり、生産者にとって負荷が高い局面であると思われる。

このため、ある程度の「短期的な行き過ぎ」が生じた場合、生産者側からの価格下落に歯止めをかける圧力が生じるものと考えられる。(生産者の短期的な限界点)

原油の場合、この2つのショック発生後の値動きから考えるに、ショック発生時点から約60%が「短期的な下落時」における生産者の限界点と考えることができよう。

このことは、将来、「ショック」と例えられる短期的な急落に見舞われる事態になった際、以前の2回の急落時の値動きより、原油価格はショック発生から約60%までは下落する(換言すれば約60%が下げ止まる目安)とする仮説の一つの根拠となり得るのではないだろうか。

“ショック”の急落時も、暖房油は冬場・ガソリンは夏場にかけて強含む季節習性を維持

エネルギー関連銘柄

以下は、逆オイルショックの発生と仮定した2014年8月2日を100として指数化したグラフである。

図2:逆オイルショック発生後のエネルギー価格の推移

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

原油主導で下落するも、ガソリン(グラフ内水色線)・暖房油(紫色線)などの季節性のある銘柄は季節性にならって強弱がついている。

ドル建て銘柄では、2015年2月にかけて暖房用途で暖房油が、春先にかけてドライブシーズンを前にガソリンが強含んでいる。

円建て銘柄では、2014年10月から2015年3月までの間、ガソリンが最も強含んでいるが、これは東京市場の特性である半年先の限月が、取引が活発な限月となるため、この間は4月から9月までの需要期であるドライブシーズン前後の限月が取引されているためである。

また、ドル建て(左)に比べて円建て(右)の下落が軽微であるのは、ドル円が円安方向に推移したためである。

今後、エネルギー銘柄のメインである原油はやや不安定な状況が続く可能性はあるものの、石油製品は季節習性を反映させた推移となるものと思われる。

安全資産と目される金(ゴールド)も、極端な“ショック”時は弱含む

以下は、逆オイルショックの発生と仮定した2014年8月2日を100として指数化したグラフである。

図3:逆オイルショック発生後の貴金属価格の推移

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

ショック発生時点を上回っているのはドル建て(左)・円建て(右)の金(オレンジ線)・白金(水色線)の4銘柄のうち、円安要因で強含んだ円建て金を除けば、いずれもショック発生時点の水準を下回り、金は安全資産と目される傾向がある中、逆オイルショック発生以降は金も原油などと同様に弱含む展開となっている。

ショックが発生することで(リーマンショック直後の数ヶ月間見られたとおり)、リスクを回避しようとする動きが急激に高まることで金からの資金逃避も起きていると考えられる。

同時に、米国の利上げについて具体的な議論が徐々に進みつつあり、先々のドル高が意識されていることも金にとっては弱材料となっている。

また、欧州の信用不安の長期化などを背景として、工業用途が金に比べて高い白金が伸び悩んでいる。

貴金属の主要銘柄である金価格の弱含みは白金の弱材料になり、白金そのものの需要の伸び悩みも重なり、ドル建て・円建てともに白金は弱含む展開が続いている。

今後も米利上げの議論の進展が金にとって弱材料となり、また、金の弱含みは白金の弱材料となるなど、米利上げの議論が後退する局面とならない限り、金・白金はともに弱い状況が続くものと思われる。

円建て銘柄については、ドル建て銘柄の下落に押されながらも、ドル円が円安方向に推移することで上値を伸ばす展開も考えられよう。

※レポート内で使用しているデータについて
特にことわりがない限り、国内商品先物銘柄は6番目の限月(期先)を、海外商品先物はその時点で取引量が最も多い限月(中心限月)のデータを採用。

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