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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2013/7/26
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

日経平均は参院選後に下落

2013年7月22日の週の株式市場は、21日の参議院選挙の結果が自公圧勝に終わったことを受け、22日寄り付きは高く始まったものの、次第に売り物に押され、22日は一時前週末水準を下回る状態になりました。さすがに後場は戻して前週末を上回る株価(前日比68.13円高)で引けたものの、自公圧勝の後では少々寂しい株価になりました。翌23日はさすがに前日比120.47円高の14,778.58で引け、高値は14,800円台までありましたが、24、25日と続落し、14,500円台に下がりました。更に26日は大幅に下げ前日比432.95円安の14,129.98円で引けました。後場に入って円高に振れ、厳しい相場展開になりました。

株価下落の材料は多いが、行き過ぎも

参院選前には、選挙後の株価についてもっと期待する向きが多かったと思います。選挙後にこのような厳しい相場になった理由は、以下のように考えられます。

参議院選挙の結果から見た今後の不透明感

今回の参議院選挙により、非改選を合わせた新勢力は、自民党115、公明党20、合わせて135で、総議席242の半数121を14議席上回ります。ただし、自民党単独で過半数獲得は成りませんでした。また、自民、維新(新勢力9)、みんな(同18)で合わせて142で、3分の2の162議席に届きませんでした。したがって安倍首相が熱意を持っている憲法改正は急には難しくなりました。

しかし、新聞各紙の見出しは揃って「自公圧勝」です。もともと安倍政権はアベノミクスの1本目の矢(円安と大幅金融緩和)、2本目の矢(財投による景気刺激)、3本目の矢(これから行う成長戦略)とメニューが多いのが特徴です。更に、安全保障、TPP、憲法改正、原発再稼動まで盛り沢山の政策メニューになっています。ただし、各種世論調査を見る限り、「民意」は経済であり、例えば憲法改正の優先順位は低いのが現状です。改憲派3党で参議院の3分の2を確保できなかったのは、自民党に対して民意が一定の歯止めをかけたと解釈してよいと思います。

しかし、「圧勝」という評価を受けて安倍政権があれもこれもやろうとするかも知れません。特に、憲法改正は、自民党の憲法改正案が社会の基本単位を「家族」とする色彩も持っており、自由主義経済になじまないかもしれません。周辺国やアメリカとの摩擦の可能性もあります。安倍政権が経済優先で行くのか、そうでないのか、今後見極めていかなければならないようです。

チャートを見た時の調整未了感

日経平均は2012年11月14日終値8,664.73円から2013年5月23日高値15,942.60円まで84%上昇しました。株価を見る限り、この後の調整がまだ続いていると言わざるを得ません。6カ月間続いた大相場の調整ですから、3カ月以上の調整も覚悟しなければならないかもしれません。実際に、日経平均日足を見ると、「三角保合」の形になっており、しばらく調整が続きそうな気配です。

チャート上の当面の下値の目処は、まず、25日移動平均線、75日移動平均線近辺の13,900~14,100円台、次にグラフ2の上昇トレンドを描いている下値抵抗線を伸ばした13,400~13,500円、更にその下は6月に日経平均がもみ合った水準である12,400~13,500円となります。「調整」という時の一つの目安である高値から20%安い水準(12,700円台)前後まで下がって、二番底をつける可能性もあると思われます。

重要イベントを控えた見送り気分

7月29日の週には、アメリカのFOMC、同じくアメリカの4-6月期GDP速報と雇用統計などの重要イベントが予定されており、これらの結果を見極めたいという動きがあると思われます。

中国経済の不透明感

この不透明感は容易に払拭されるものではなさそうです。

日本企業の2014年3月期1Q決算への不透明感

1Q決算は、日本電産のように業績回復を示す好決算もありましたが、キヤノン、信越化学などのように実績あるいは見通しが期待から外れたものもありました。ただし、決算については、7月29日の週が大きな山なので、今判断するのはあまりに早計です。

例えば、キヤノンのカメラ事業の将来性に不安が出ているのは、会社側が期初にどのように楽観的な見通しを示そうとも当然と思われます。低中級機種のデジカメはスマートフォンに代替され、それを防ぐために値下げを繰り返すことになり、2-3年後にはこの構図が高級カメラでも見られるようになる可能性があります。

一方で自動車を見ると、ダイハツ工業(7月25日発表)は、販売台数の増加、為替の円安メリット、合理化効果などの影響で1Qは堅調な業績でした。1Qの営業利益は前年比14%増でしたが、これは国内販売が昨年のエコカー補助金後の反動で減少した中では健闘したと思われます。インドネシアでの販売は前年比8%増と堅調でした。2Q以降は国内市場の回復とインドネシアの新工場稼動開始(下期)が見込まれるため、通期見通し(営業利益2%増)の上方修正の可能性があります。

また日産自動車(7月25日発表)は中国での減収で販売台数は減少しましたが、円安メリットと原価低減で、1Q営業利益は23%増益でした。販売台数は中国では前年比15%減でしたが、今最も重要なアメリカ市場では20%増でした。日産自動車の増益は、販売台数の増加が期待されるトヨタ自動車、本田技研工業、富士重工業、マツダなど7月29日の週に決算発表が予定されている自動車メーカーの決算に対して期待を持たせるものです。

日本電産(7月23日発表)も業績回復を印象付ける決算を発表しました。1Qは減益(19%営業減益)でしたが、通期営業利益見通しを700億円から750億円(前年比4.3倍)に上方修正しました。前下期にHDD向け精密モーターに依存する収益構造を改善するために構造改革を行ったために、前下期は大幅に業績が悪化しましたが、構造改革の成果が出てきました。精密モーターではHDD向けの利益を確保する目処がつき、HDD向け以外の分野の売り上げが伸びている模様です。また、一般モーターが自動車、家電、各種産業向けに伸びており、利益率が急速に改善しています。

このように、個々の企業の決算を見ると、決算への不安感は今後各企業の決算が発表されるにつれ、解消される部分が多くなるのではないかと思われます。

消費者物価指数の影響

7月26日に公表された全国消費者物価指数(6月)と東京都区部消費者物価指数(7月中旬速報)は、日本経済が物価上昇局面に入ったことを印象付けるものでした。全国消費者物価指数前年同月比は「生鮮食品を除く総合」ベースで、4月-0.4%、5月±0.0%、6月+0.4%となりました。このうち電気代が4月+4.2%、+8.8%、+9.8%と上昇率が上がっています。

東京都区部も同じような動きで、「生鮮食品を除く総合」で5月+0.1%、6月+0.2%、7月+0.3%と持続的に上昇しています。このうち電気代は、+13.7%、+15.1%、+15.4%と高率の伸びを示しており、電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリンを含む「エネルギー」の項目も6月、7月と10%以上の伸びになっています。

エネルギーコストの上昇は、家計だけでなく多くの製品の生産コストに影響するため、この状況が続けば、多くの製品が値上げ幅は別として値上げされる可能性があります。原発再稼動はまだ先のことであり、仮に原発再稼動が相次いだとしても、廃炉費用や防災費用が電気代に転嫁される可能性があるため、今後電気代が安くなるかどうかは、円高になったり、原油価格が大幅に下がったりしない限り不透明です。

これは日本経済がデフレから脱却しつつあることを示す重要なデータだと思われます。物価が持続的に上昇することで、企業にとっては売上高と利益が増え、家計にとっては給料が増えれば、電気代の増加を吸収することが出来る企業や家計が増えることになります。

ただし、短期的にはそうならない可能性もあります。特に家計はそうです。円安や金融緩和で物価下落を止めて持続的に上昇するようにしていく場合、価格が上昇する品目と上昇率を事前に選ぶことは出来ません。日本はエネルギー価格が全体の物価上昇を牽引することになりそうですが、この動きを懸念する向きは今後増えるかもしれません。

また、消費者物価指数の上昇は名目金利の上昇に結びつきます。名目金利の上昇は現在1%未満の10年国債利回りが1%を超えて2%以上になると国債利払い費を増やす形で財政に影響します。それがはっきりしてしまうと名目金利が更に上がることになりかねません。グラフ1を見ると消費者物価指数前年比の勢いが良いため、物価と金利、株価の関係には注意が必要になってきたようです。

表1:東京都区部の消費者物価指数細目(2010年=100):前年同月比%

森(相場)が気になるなら、木(銘柄)を見よう

このように相場全体を見ると、少なくとも短期的には、不透明感が増していると思われます。

しかし、このような時に、企業、銘柄を見ると、違ったアイデアが生まれてくるものです。まず自動車です。上述のように、販売台数が増える見通しのトヨタ自動車、富士重工業などの1Q業績には、円安メリットが上乗せされると思われます。

電機も自動車ほどではないにせよ、同様だと思われます。例えば、ソニー(8月1日発表)、パナソニック(7月31日発表)、シャープ(8月1日発表)の構造改革の成果、村田製作所(7月31日)のスマートフォン向けと円安メリットが注目されます。

また、日揮(8月8日発表)、千代田化工建設(8月12日発表)などのエンジニアリング会社は、円安で受注競争力が向上しており、中期的な業績改善が期待されます。特に世界的にブームになっているLNGプラントや安いシェールガスを使った化学プラントの建設プロジェクトが増えており、この受注動向が注目されます。

ここから日経平均が突っ込んだ場合は、銘柄を選んで投資することを考えても良いのではないかと思われます。

表2:楽天証券投資WEEKLY

グラフ2 日経平均株価:日足

グラフ3 日経平均株価:月足

グラフ4 信用取引評価損益率と日経平均株価

グラフ5 ドル/円レート:日足

グラフ6 ユーロ/円レート:日足

マーケットスケジュール

2013年7月29日の週の日本での注目点は、30日公表の6月の鉱工業生産(速報)、6月の家計調査、8月2日公表の7月のマネタリーベースです。

アメリカの注目点は、30、31日のFOMCです。また、31日に7月のADP雇用統計、2Q(4-6月期)GDP速報があります。8月1日公表の7月のISM製造業景況指数、8月2日公表の7月の雇用統計と6月の製造業新規受注も注目されます。

日本では6月の鉱工業生産(速報)が注目されます。国内生産のレベルと方向性がわかると思います。アメリカの注目点は8月2日公表の7月の雇用統計ですが、FOMC、GDP速報などもありますので、株価、為替レート、金利のいずれも注視したいと思います。

 

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