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今中能夫「楽天証券投資Weekly」
今中 能夫
楽天証券投資weekly セクター・投資テーマ編
毎週金曜日夕方掲載。楽天証券経済研究所チーフアナリスト 今中能夫の、今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。注目セクターと投資テーマに重点を置いて、相場と銘柄を…

今中能夫「楽天証券投資Weekly」

2013/3/29
今週から「楽天証券投資Weekly」を発行します。従来お送りしてきた「信用取引評価損益率コメント」「決算発表銘柄コメント」を発展的に統合したものです。
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。
今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。

マーケットコメント

短期的な調整か

2013年3月25日の週の株式市場は、前週同様キプロス情勢を睨みながら年度末を迎えた、調整含みの株式市場でした。

日経平均は、前週3月21日に戻り高値を更新しザラ場12,650.26円をつけた後、キプロス情勢を懸念して、押し目では反発しながらも、緩やかな下落基調を辿る展開となりました。週初の3月25日は前週末比207.93円高の12,546.46円となりましたが、28日は前日比157.83円安の12,335.96円となりました。ユーロ円レートがキプロス情勢を懸念して前週まで1ユーロ=124円台まであったものが足元では120円台に上昇したことも影響していると思われます。ドル円レートが1ドル=94円台を維持していることが救いと言えるでしょう。日経平均は短期的には、25日移動平均線に接触する12,100~12,300円程度まで下落する可能性があると思われます。

野田前首相が衆議院の解散を宣言し、安倍現首相が円安発言を活発化させ始めた昨年11月14日が今回のアベノミクス相場の起点であると言えますが、それから日経平均は2回軽く25日移動平均線に接触したのみで、調整らしい調整がありませんでした。その間に日経平均は11月14日終値8,664.73円から3月21日のザラ場12,650.26円まで46%上昇しています。さすがに一服が必要な株価になってきたと思われます。

ただし、3月29日は後場になって反発しています。29日は前日比61.95円高の12,397.91円で引けました。今回も短期間の軽い調整で終わり、新年度入りして再び上値を追う可能性があります。

新年度の株式市場を展望する

既に実質新年度入りしていますが、当面の株式市場を展望すると、まず黒田日銀総裁がどのような大型金融緩和を実施するかが注目されます。4月3、4日の日銀金融政策決定会合の中味が注目されるところです。

次に、4月22日の週から本格化する2013年3月期決算と同時に発表される2014年3月期見通しが注目されます。これから決算発表まで主要企業の決算観測記事が経済紙に載ることが多くなると思われます。

新年度2014年3月期の増益率が最も大きくなりそうなのが自動車セクターです。本稿でもこれまで指摘してきましたが、1ドル=94円の為替レートが新年度一杯続くと想定すると、トヨタ自動車の2014年3月期営業利益は1兆9,000億~2兆円に達する可能性があります(円安メリットだけでなく、販売増加、コストダウンなどを含めた試算です。以下同様。2013年3月期は1兆2,000億円前後と思われます)。富士重工業も2013年3月期営業利益1,000~1,100億円に対して、2014年3月期は2,000億円前後、マツダも同じく500億円台の営業利益が1,500~1,600億円に拡大する可能性があります。本田技研工業も同5,000億円台の営業利益が8,000億円台になる可能性があります。

また、日野自動車のような商用車メーカーも円安メリットを受けると思われます。

機械セクターにも円安メリットを受ける企業が出ています。三菱重工業の為替感応度は1ドルにつき1円の円安で59億円のメリット、同じく1ユーロにつき1円の円安で7億円の円安メリットが発生します。2013年3月期会社前提レート、1ドル=85円、1ユーロ=110円から、足元の1ドル=94円、1ユーロ=120円が2014年3月期も続くと想定すると、約600億円の円安メリットが営業段階で発生することになります。三菱重工業の2013年3月期営業利益見通しは1,450億円であり、円安メリットで2014年3月期営業利益が2,000億円台に乗せる可能性が出てきました。

三菱重工業は数多くの事業を抱えており、各事業には好不調の濃淡があります。主力の原動機事業(ガスタービンなど)の2013年3月期は、2012年3月期にあった高採算案件の反動を受けています。ただし、受注は活発で、LNG火力発電所の建設計画が多くの国で進んでいるため、同社の高効率大型ガスタービンの引き合いには強いものがあります。

また造船では、原発停止長期化を見越して電力会社、ガス会社がLNG(液化天然ガス)の調達を、シェールガスも含めて増やそうとしており、LNGタンカーの商談が活発になっています。尖閣防衛に対応するために、海上自衛隊の護衛艦、潜水艦、海上保安庁の巡視船の建造(特に大型艦船の建造)が増えることも予想されます。プラントでは、LNG受入れ基地、液化プラントなどLNG関連プラントの商談も増加する傾向にあります。

LNGタンカーと大型艦船の建造は、大型船の建造が得意な大手造船会社(三菱重工業、川崎重工業、IHI(持分法適用会社のジャパンマリンユナイテッド)など)にとって大きな事業になると思われます。円安による輸出競争力向上も造船業に寄与しています。1~2年後に日本の多くのドックが空になると言われた半年前までとは、造船業の事業環境は様変わりしている模様です。

機械では、小松製作所も円安メリットが見込まれます。中国での建機販売は回復感が見えない模様ですが、国内の復興需要、北米のシェールガス開発に伴うインフラ建設需要などが好調です。

電機では、村田製作所のようなシェアの高い電子部品メーカーに注目したいと思います。民生用電機は、ソニー、パナソニック、シャープの決算を慎重に見極めたいと思います。

総合商社は、グローバル展開しているため円安メリットもありますが、輸入食品や輸入資材の卸売りのように、円安に伴う輸入コストの増加を全面転嫁するに至っていない事業を子会社に抱えている場合があります。また、資源ではLNGビジネスが拡大し価格も多少下落しているに止まっているのに対して、鉄鉱石、銅などは市況の動きが激しく、必ずしも2014年3月期業績にプラスに効くとは限りません。大手商社各社の事業構造の見極めが重要になります。資源・エネルギーを重視しつつもバランスの取れた三菱商事、食料、資源分野への展開を強めている丸紅、アフリカで自動車販売大手のフランス商社CFAOを買収した豊田通商の決算に注目したいと思います。

また、内需関連企業の業績にも注目したいと思います。特に不動産が注目されます。

三菱地所、三井不動産、住友不動産などの大手は、日銀の大型金融緩和によって今後予想される地価上昇(特に東京のそれ)の恩恵を受けると思われます。東京駅周辺では、大型から中小型のビルを取り壊しての大型再開発が活発ですが(三菱地所の丸の内から大手町にかけての連鎖型再開発、三井不動産の日本橋から三越前にかけての再開発、住友不動産の日本橋再開発など)、これら大型再開発は、構造力、対象物件を所有しているかどうか、地権者からの地上げ能力などの諸点で能力が高い大手3社の独壇場です。また、平和不動産が三菱地所と共同で企画中の兜町・茅場町再開発、渋谷の東急東横線地上駅跡の再開発での東急不動産の役割などが注目されます。

このほか、投資も含めたマンションなどの販売増加が期待できるため、大手不動産や野村不動産ホールディングス、大京、長谷工コーポレーションなどの決算が注目されます。

建設は、復興需要が本格化すると思われますが、大型再開発ブームにも注目したいと思います。この分野では古いビル(大型ビルを含む)の解体、整地、建築まで一括で受注できる大手建設に注目したいと思いますが、中でも、大成建設、大林組の勢いのよさが目立ちます。不動産、建設のこれらの動きが決算にどのように反映されるかが、一つの注目点でしょう。

表1:楽天証券投資WEEKLY

グラフ1 日経平均株価:日足

グラフ2 日経平均株価:月足

グラフ3 信用取引評価損益率と日経平均株価

グラフ4 ドル/円レート:日足

グラフ5 ユーロ/円レート:日足

表2:自動車、電機等の主要企業の為替感応度

マーケットスケジュール

2013年4月1日の週のマーケットスケジュールを概観します。

日本での注目点は、4月1日の日銀短観と、4月3、4日の日銀政策決定会合です。3日は黒田日銀の事実上のお披露目となります。大型金融緩和への期待がマーケットで膨らんでいます。

また、アメリカでは4月3日の3月ADP雇用統計と4月5日の3月雇用統計が注目されます。内容によっては為替相場が動く可能性があります。

なお、4月1日がイースター・マンデーでオーストラリア、フランクフルト、ユーロネクスト、ロンドンの各市場が休場となります。4、5日は清明節で上海市場が休場となります。

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