はじめに

今回のアンケート実施期間は4月30日~5月2日です。

新年度入りとなった4月の株式市場も上昇基調が続きました。スタートこそ大幅続落でしたが、4月4日に日銀による「異次元」の金融緩和導入が決定された後は再び上昇が加速する展開となりました。リスクテイクの外部環境や外国人買いも加わって、日経平均は節目の1万3,000円や1万3,500円を次々に超え、26日には1万4,000円までわずかに迫る場面もあり、リーマン・ショック前の水準も回復しています。

終盤に差し掛かると、株価上昇と共に進行していた為替市場の円安が、1ドル=100円を目前に膠着気味になったことや、企業の決算発表シーズンを控えた見極めムードもあり、さすがに主力大型株の上値が重たくなり始めましたが、それを補うかのように、内需の中小型株が中心となる新興株市場での売買が活発化しました。

結局、4月末の日経平均は1万3,860円となり、月間ベースでは11.79%の上昇で終了しました。また、売買も活況を呈し、4月の東証1部の月間売買代金は5年8カ月ぶりの高水準でした。

こうした状況を受けて、今回のアンケート結果は前回調査に比べてあまり大きな変化は見られませんでした。引き続き、堅調な相場基調を受けた株高と円安見通しが反映されたと言えます。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券 経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し

  • Q1:4月30日と1カ月後の日経平均の見通し DI=44.33
    (3月25日と1カ月後の日経平均の見通し DI=43.33)
  • Q2:4月30日と3カ月後の日経平均の見通し DI= 41.32
    (3月25日と3カ月後の日経平均の見通し DI= 41.39)

日経平均の1カ月先の見通しDIおよび3カ月先の見通しDIは、それぞれプラスの44.33、41.32でした。

前回のDI(それぞれ43.33、41.39)と比べると、ほぼ横ばいながらも、強気の見通しが1カ月先は上昇する一方、3カ月先については低下したことになりますが、内訳となる回答比率(強気、中立、弱気)を見てみると、1カ月先、3カ月先ともに強気と回答した割合が50%を超えており、相場の地合いの強さが反映された結果と言えます。

また、今回のアンケート期間(4月30日~5月2日)は、大型連休の谷間であることをはじめ、ECB理事会や米雇用統計などのイベントを控え、日経平均の推移はやや軟調でした。そのため、1カ月先を弱気と回答した割合が8%超となりました。

今年に入ってからの弱気の回答比率の動きを追っていくと、1カ月先は、1月分(4.81%)、2月分(6.32%)、3月分(6.58%)、そして今回(8.10%)と徐々に増えています。その反対に、3カ月先は、1月分(9.80%)、2月分(13.19%)、3月分(9.86%)、今回(9.38%)となっており、直近2カ月分については減少が続いています。

つまり、足元の株式市場の過熱感や高値警戒感が意識されつつも、先高感は維持されている格好です。これまでの日経平均は調整らしい調整がないまま上昇していますが、いざ調整局面が訪れても、積極的に押し目をねらっていく意欲が窺えます。

最近の日経平均は、大型連休明け早々に約4年11カ月ぶりとなる節目の1万4,000円台を回復しました。各国で金融緩和が相次ぎ、過剰流動性による金融相場の中、懸念されていた米4月雇用統計の結果が市場予想を上回る改善を示したことがきっかけです。リスクテイクの動きが強まり、世界的な株高連鎖が演出され、米NYダウや独DAX指数も過去最高値を更新しました。

現在の株価水準は、一部の新興株市場の銘柄などを除いて、決して「高すぎる」わけではありませんが、日本株市場に限らず、金融緩和の継続期待による株価上昇は、景気回復基調の弱さや警戒を背景にしており、現時点のリスクテイクの土台が磐石ではないことや、株価上昇ピッチの速さには留意する必要があります。

いずれにしても、程度の大小こそはあれ、相場の調整局面はやってきます。そのタイミングをねらって押し目買いを入れたいところですが、注意したいのは、「どの銘柄を買うか」です。特に最近は出遅れ銘柄を物色する動きも活発ですが、出遅れるだけの理由があるとも考えられるため、素直に業績など中身の良い銘柄を選別していくのが良さそうです。

楽天証券 経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

2.為替相場の見通し

  ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
4月30日 DI=41.32 DI=28.94 DI=33.22
3月25日 DI=49.90 DI=20.89 DI=36.94

米ドルは、月足ローソク足チャートでみると、昨年10月から今年4月末まで7カ月連続で陽線引けとなりました。為替のDIは、米ドル41.32(前回は49.90)、ユーロは28.94(同20.89)、豪ドルは33.22(同36.94)という結果で、継続する上昇トレンドからの調整見通しがさらに多くなってきているようです。

米ドル

4月のDIをみると、昨年末12月をピークに5カ月連続で減少し(65.95-62.11-54.12-49.90-41.32)、また、円高方向の回答が14.47%と本年では一番高い数字となっていましたが、5月9日に2009年4月以来となる1ドル=100円を超えました。

DIでみると、円高方向への調整をみる投資家が増加していたのは、4月11日(高値99.94)および4月22日(高値99.88)と2度の1ドル=100円を試す展開が失敗に終わり、特に2回目の展開は、4月16日に96円割れまで下落した後の、再トライだったこともあり、100円越えの期待感は高く円安トレンドへの若干の失望感もあったからのようです。

そういった見方のなか、99.20円以上では100円まで断続的にテイクプロフィット(利食い)の売り注文があり、直近頭の重い展開ではありましたが、アメリカの雇用指数(新規失業保険申請件数)が予想以上によかったこともあり、一気のドル買いが進んだようです。

今後はさらなる上昇に向けて材料探しとなっており、以下注目の日程です。

  • 5月10日-11日 G7
  • 5月22日    日銀金融政策決定会合
  • 5月30日    米第1四半期GDP改定値
  • 6月7日    米雇用統計

ユーロ、豪ドル

ユーロのDIは28.94と3月の20.89から若干数値を上げました。これは継続するドル円の上昇を視野に入れながらユーロ円が、月初120.70円から月末128.25円と7.5円上昇、月間の値動きでは10円を超えたこともあり、さらなる上昇をみる投資家が増加したようです(円安 44.68% ⇒ 47.22%、変わらず 31.53% ⇒ 34.49%)。特に節目である130円を上抜け、次のターゲットは140円手前となりました。

前月のレポートではがキプロスの問題を挙げましたが、やはり小国(キプロスのGDPはユーロ圏全体でみると0.2%程度)であることもあり、リスクは限定され、新たなリスク要因が出現しなければ、5月もドル円の動きを見ながらの展開になりそうです。

豪ドルも4月は2007年来の高値である105円をつけるなど円安に動きました。そういった中、DIは前回の36.94から33.22と減少傾向を見せています。また、変わらずと回答した投資家が40%超えています。これは鈍化傾向にある経済成長の見通しの中、進行するドル円の円安の動きにあるようです。オーストラリアは、5月7日政策金利を3%から2.75%へ利下げしました。資源輸出国であるオーストラリアも日本同様自国通貨高(豪ドル高)は経済にダメージをうけます。この利下げも、加熱する豪ドル高のけん制もあるのでしょうか。今後の動きに注意したいところです。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回
アメリカ 45.37% 44.68% 0.69%
EU諸国 6.71% 7.74% △ 1.02%
ブラジル 23.50% 26.31% △ 2.81%
ロシア 15.74% 6.58% 9.16%
インド 22.80% 25.53% △ 2.73%
中国 7.18% 6.96% 0.21%
中東・北アフリカ 7.87% 6.96% 0.91%
東南アジア 48.38% 49.71% △ 1.33%
中南米 10.30% 8.32% 1.98%
東欧 2.89% 3.29% △ 0.39%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回
国内株式 81.25% 81.82% △ 0.57%
外国株式 22.45% 21.08% 1.37%
投資信託 34.38% 34.04% 0.33%
ETF 15.74% 16.63% △ 0.89%
FX(外国為替証拠金取引) 18.06% 13.93% 4.13%
国内債券 5.67% 7.16% △ 1.49%
海外債券 8.80% 8.32% 0.48%
15.63% 16.05% △ 0.43%
原油 3.59% 3.48% 0.11%
商品 2.78% 1.74% 1.04%
REIT 16.20% 20.12% △ 3.91%
CFD 0.93% 1.35% △ 0.43%

「DI(Diffusion Index)」とは

景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替   DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。