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オプション取引の基礎知識(2)オプションの売りがハイリスクの理由とは?
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

オプション取引の基礎知識(2)オプションの売りがハイリスクの理由とは?

2011/4/7
資産運用に精通した公認会計士として活躍している、足立武志氏による「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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オプションの売りは損失が無限大?

前回はオプションの買いについてその効果的な活用法をご説明しましたが、今回はオプションの売り(空売り)についてです。

実は、オプション取引の「買い」と「売り」とでは、そのリスクに大きな差があります。

オプションの買いであれば、損失は最大でもオプションを買った時に支払う価格(これをオプション料と呼んだりもします)だけです。例えば、4月限・権利行使価格8,000円のプットオプションを50円で1単位買ったとすると、購入価格は50円×1,000=5万円です。最悪でもこの5万円がゼロになるだけです。

一方、オプションの売りは、損失は無限大に膨らむ可能性があります。この理由をしっかりと理解しておかないと、思わぬ損失を被ってしまうこともあるのです。

99勝1敗でも全財産が吹き飛ぶこともある

前回、オプションの買いはよほど株価が短期間で大きく動かない限り、大きな利益を得ることはできないと書きました。オプションの売りはこの正反対の特徴を持ちます。つまり、オプションの売りは、よほど株価が短期間で大きく動かない限りは100%に近い確率で利益を得ることができる反面、もし短期間で株価が大きく動いた場合は多額の損失を被ることがある、というのが特徴です。

特に権利行使価格が現時点での株価より大きく離れているオプションであれば、オプションの売りは100回中99回は利益になるとも言われます。しかし、残りの1回で非常に大きな損失を出してしまい、時には全財産を失ってしまうこともあるのです。

オプション料を受け取る代わりに権利行使に応じる義務

オプションの買い手が支払うオプション料(=買い手の購入価格)は、オプションの売り手が受け取ることができます。これがオプションの売り手にとっての利益となります。その代わり、オプションの買い手が権利行使をした場合には、売り手はどんなに損失が生じるとしても、必ずそれに応じなければなりません。

実際の取引では、この権利行使は自動で行われます。コールオプションの場合は権利行使価格がSQ日の朝に計算されるSQ値(清算価格)より低ければ、プットオプションの場合は高ければ、買い方は差額を受け取ることができ、売り方はそれを支払う必要があります。

逆に、コールオプションの場合は権利行使価格がSQ値より高ければ、プットオプションの場合は低ければ、買い方は権利放棄となるため、売り方は受け取ったオプション料が丸々利益になります。

株価の大変動により含み損急増、証拠金不足で強制決済も

ただし、SQ日を迎えるまでの間、株価の上昇、下落に応じてオプション料の価格も変動します。オプションの売り方は、これにより含み損が増加して預け入れている証拠金が不足すると、強制決済されてしまうこともあります。

さらに、今回の大震災後の相場のように、短期間で株価が急落するようなときは、プットオプションの価格がわずか数日で数十倍、数百倍にも上昇し、プットオプションの売り手の抱える含み損が非常に大きな金額になることもあります。

日経ヴェリタス第159号によれば、4月限・権利行使価格9,000円のプットオプションは、3月10日時点で12円でした。しかし大震災後に価格が跳ね上がり、3月15日には1,490円にまで上昇しました。

3月10日に4月限・権利行使価格9,000円のプットオプション10枚を12円で売り建てたケースを考えてみましょう。なお、説明の便宜上、実際の取引とは若干異なる点もありますが、本質的な理解をする上では問題ありません。

必要証拠金が1枚当たり10万円としますと、最低100万円必要ですが、余裕をみて300万円の証拠金を預け入れていたとします。

3月15日に価格が1,490円に上昇したとき、含み損は(1,490-12)×1,000×10枚ですからなんと1,478万円にまで膨らんでしまいます。

このときの必要証拠金は、100万円+(1,490-12)×1,000×10=1,578万円となりますが、実際に預けているのは300万円ですから、不足額1,278万円を翌日の正午までに追加で差し入れなければなりません。それができなければ強制決済され、確定した損失が証拠金として預けている300万円を超えた場合、証券会社に対する借金が生じてしまいます。

大損失のリスクを考えると上級者以外は控えるのが無難か

こうした大損失のリスクを考えると、よほどの上級者でなければオプションの売りは控えた方がよいのではないかと思います。筆者もリスク管理に自信がないため、オプション取引は買いしか行いません。

もしオプションの売りをする場合には、資金にかなりの余裕を持って行うこと、追加保証金差し入れを求められる前に損切りを適切に実行すること等を強く勧めます。

なお、本原稿執筆日現在(3月末)では、多くの証券会社がオプション取引の新規売り建てを停止しています。大地震後の株価変動が大きく、オプション売りのリスクが通常時よりかなり高まっていることが影響しているようです。

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