「押し目買い」とは何か?

前回ご説明した「上抜け買い」と並んで、上昇トレンド途中での買いタイミングとして代表的なものが「押し目買い」と呼ばれるものです。

「押し目買い」とは、上昇トレンド途中の一時的な株価調整局面を狙って買う方法です。前回の「上抜け買い」は、結果的に株価がかなり上昇した時点から新規買いすることになるケースも多いため、高値掴みの危険も相応にありますが、「押し目買い」は、たとえ上昇トレンド真っ只中にある銘柄であってもできるだけ安いところで買おうとするものです。

押し目買いの具体的なタイミング(1)「3分の1押し」「2分の1押し」

では、押し目買いは具体的にどのタイミングで行えばよいのでしょうか。よく言われるのは「3分の1押し」とか「2分の1押し」と呼ばれるものです。これは、直近の安値から直近の高値までの上昇幅の3分の1ないしは2分の1下落した価格近辺を押し目買いの目処とするものです。

直近安値200円から直近高値350円まで上昇した銘柄の場合、3分の1押しは直近高値350円から、上昇幅150円の3分の1である50円下落した300円の水準です。同様に2分の1押しは350円から上昇幅150円の2分の1である75円下落した275円となります。例えば3分の1押しまで株価が下落したらとりあえず押し目買いを実行し、275円まで下がったら追加で買う、というような方法が考えられます。

筆者の感覚では、株価の動きが強い銘柄は、2分の1押しまで株価が下がることはあまりなく、下がってもせいぜい3分の1押し程度であることが多いように感じます。

押し目買いの具体的なタイミング(2)移動平均線への接近場面

移動平均線を基準に押し目買いの目処を探る方法もあります。例えば日足チャートであれば25日移動平均線に株価が接近した場面で買う、週足チャートであれば株価が13週移動平均線に接近したところで買う、といったものです。

上昇トレンドであれば移動平均線が上昇し、株価も移動平均線の上方に位置します。そして、上昇トレンドにある銘柄は、株価の調整局面があっても、多くは移動平均線を割り込まずに再び上昇を続けます。この特性を生かした押し目買いの方法です。

昨年11月からの株価上昇場面では、大きく上昇した銘柄がしばらく調整を続けたものの、株価が移動平均線に接近したところから再び上昇をはじめる、というケースが目立ちました。

移動平均線をめどに押し目買いをした場合の損切りは、株価が移動平均線を明確に割り込んだ時点とするのが一法です。

押し目買いであっても下落途中の買いはNG

押し目買いをする上で1点筆者から注意点として申し上げたいのが、例え押し目買いであっても、株価が下がっている途中で買うことは避けるべき、ということです。

例えば上の「2分の1押し」で押し目買いをする場合、株価が350円から275円まで下がったからと株価下落途中にもかかわらず喜んで買うと、そこからさらに株価が大きく下落してしまう可能性もあります。

また、移動平均線に接近したら押し目買いをする、という方法でも、株価の下げ止まりを確認せずに買うと、株価が移動平均線をすんなりと割り込み下落が続いてしまうということもあります。

株価が下げている間は、それが押し目を形成している最中なのか、それとも下降トレンドに移行してしまったのかを正確に把握することができません。

したがって、株価が下がっている間は押し目買いをすべきではないのです。

押し目底候補を確認してから買えば損切りもしやすい

筆者は原則として逆張り(株価のトレンドに逆らって売買すること)をしません。それは押し目買いのときも同じです。

筆者が押し目買いをするときは、株価が下落から少し上昇に転じて、押し目底候補(その時点では押し目底かどうか分からない)が生じた段階で買いに入ります。押し目底候補の価格からおおむね5%程度上昇したところで買うことが多いです。

また、この方法を使えば、損切り価格の設定をしやすいのが利点です。株価の下落途中で押し目買いしてしまうと、買い値からの下落率を基準に損切りせざるを得ないケースも出てきます。でも、押し目底候補の価格から少し上昇したところで押し目買いをすれば、もし押し目底候補の価格を割り込めば、損切りし、仕切り直しすればよいのです。

上の例でいえば、たとえば275円まで株価が下落したあと290円まで反発した時点で買って、押し目底候補275円を割り込んだら損切りとします。

もし、上昇トレンドが長期間続くとなれば、上昇トレンドの途中のどこかで飛び乗らなければいつまでも買うことはできません。しかし、買うタイミングによっては上昇トレンドにある銘柄なのに全く儲からない、ということもあり得ます。「上抜け買い」と「押し目買い」、そして「損切り」を駆使して、適切なタイミングで買うことを心がけてください。