日経平均株価こそ多少の底堅さは見せているものの、年初来安値を更新する銘柄も多く、全体としてはまだまだ弱含みの動きを見せている日本株。しかし、いつまでもこの状態が続くわけではなく、遠くない将来、上昇相場に転じることになります。
そこで、今回は、来るべき上昇相場に備え、2種類の上昇相場の特徴と具体的な立ち回り方について考えてみたいと思います。

「全面高相場」と「二極化相場」

上昇相場には大きく分けて「全面高相場」と「二極化相場」があります。前者はその名の通り、ほとんどすべての銘柄が大きく上昇する相場です。後者は一部の銘柄が大きく上昇するものの、それ以外の銘柄はほとんど上昇しない、場合によっては逆に下落してしまうという相場です。
最近の例でいえば、2003年後半から2006年初頭のライブドア・ショックまでは「全面高相場」で、中でも新興市場銘柄は軒並み暴騰しました。その後中規模な株価調整をはさんで2007年中盤までの上昇相場は、値がさハイテク株や中国関連株など一部の銘柄は上昇したものの、新興市場銘柄や中低位株など多くの銘柄は逆に下落するという「二極化相場」でした。
日経平均株価が高値をつけた時期は2007年7月ですが、新興市場銘柄や中低位株の多くは2006年初頭近辺で高値をつけており、2007年7月時点では高値よりかなり低い株価水準にありました。この事実が二極化相場であったことをよく表しています。

誰でも面白いように儲かる「全面高相場」

直近では、2009年3月から数ヶ月間の上昇相場は規模としてはそれほど大きくなかったものの「全面高相場」に相当します。このときは大部分の銘柄が少なくとも安値から1.5倍、銘柄によっては3倍以上に上昇し、まさに「株を持っていれさえすれば儲かる」という相場でした。
このように、「全面高相場」では、よほど銘柄選択で失敗しない限りは、持ち続ければ持ち続けるほど株価が上昇し、2003年後半~2006年初頭のように上昇相場の規模が大きければ、資産を大きく増やすことも可能です。
ですから、株式投資ではこの「全面高相場」にいかに乗るかが資産を増やすポイントとなってきます。

持ち株によっては逆に損失が拡大する「二極化相場」

今年の9月から現在にかけての相場は、規模は小さいながらも「二極化相場」の様相を見せています。日経平均株価は9月1日に8796円45銭の安値を付けた後、約1ヶ月後の10月7日には9716円92銭の戻り高値をつけました(10月18日時点)。920円、率にして10.5%の上昇です。
ところが、個別銘柄に目を向けると、日経平均株価が10%上昇しているにもかかわらず、この間逆に10%、20%と値下がりしている銘柄も非常に目立ちます。年初来安値更新銘柄数も高水準を保っています。
このような銘柄間の爬行(はこう)性が顕著に表れたのが1999~2000年のITバブルのときであり、ソフトバンクや光通信といったIT関連企業の株価が驚くほどの高値まで買い進まれた反面、中低位株の多くは一向に値上がりせず、中には大成建設が114円、商船三井が138円といったように、1970年代以前の水準まで株価が下落した銘柄も多くありました。どの銘柄を選択するかによりまさに天国と地獄のような投資結果となったのです。
「二極化相場」のポイントは、二極化相場であるという現実にいかに早く気付くかということと、どのような銘柄が上昇しているのかをいち早く見つけることにあります。そのためには値上がり率上位銘柄や売買高上位の銘柄をできれば毎日チェックし、上昇している銘柄の特徴・傾向をつかむことが重要です。
しかし損切りさえ守っていれば、たとえ二極化相場において銘柄選択を誤ったとしても損失は最小限にとどめることができます。もし日経平均株価や一部の銘柄が上昇しているのにもかかわらず自身の持ち株は下落を続けているような場合、「そのうち自分の持ち株にも上昇の順番が回ってくる」と思って持ち続けるのではなく、損切りラインを割り込んだら潔く一時撤退し、次のチャンスを待つのが賢明です。
また、二極化相場であっても、大概は日経平均株価やTOPIXといった株価指数も上昇する傾向にあります。上昇する個別銘柄に乗り遅れたと思ったら、株価指数に連動するETFや日経平均先物を買ってもよいでしょう。

上昇相場初期における対応法は

2003年4月に日経平均株価が底打ちしてからの上昇相場では、まず最初は全面高相場になり、その後の反落期間を経て、二極化相場に進みました。したがって、近い将来訪れるであろう日本株の底打ち後の上昇相場も、まず全面高相場からスタートするのではないかと個人的には考えています。

株価水準や、PER、PBRなどのバリュエーション指標からも、日本株は割安な水準にあると判断できます。したがって、いつ本格的な上昇相場に転じてもよいように資金と心の準備をしておきましょう。

1つの目安としては、大部分の銘柄において日足チャートで株価が25日移動平均線を上回り、かつ移動平均線自体も上向きの状態になれば、その後本格的な全面高相場に移行する可能性が高まります。

もちろん、上昇が小規模で不発に終わってしまうこともあるでしょうが、その時は損切りで対応すれば問題ありません。株価が底値圏にあるならば、損切りを何回か繰り返してもその後の全面高相場で損失を簡単に取り返すことのできるほどの利益を得ることができるはずだからです。
また、リスクを取れる方であれば、過去の底打ち時前後の株価の動き、年初来安値銘柄の数、信用評価損益率、騰落レシオ、日経平均株価の25日移動平均線からのマイナス乖離率に加え、為替動向、長期金利動向などを参考にし、株価が売られすぎの局面が来たならば株価の明確な反発を待たず突っ込み買いをしてみるのも1つの手です。

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