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信用取引の「空売り」の2つの使い方:下げ相場での利益狙いとリスクヘッジ
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

信用取引の「空売り」の2つの使い方:下げ相場での利益狙いとリスクヘッジ

2018/10/1
資産運用に精通した公認会計士として活躍している、足立武志氏による「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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空売りをすれば利益を得るチャンスが確実に増える

 今回は信用売り(空売り・からうり)についてその活用法をご紹介します。買いについては確かに信用買いをしなくとも現物買いだけで何とかなります。しかし、空売りは信用取引特有のものです。空売りを使いこなすことができるかどうかで投資成績に格段に差がつくことは間違いありません。

 空売りの最たる利点は「下げ相場で利益を得ることができる」という点。そのため、空売りができる投資家は空売りをしない投資家に比べ、格段に利益を得るチャンスが増加します。株式相場はいいときばかりではありません。それこそ、バブル崩壊後、リーマンショック後などの下げ相場が続くような場面では、買いオンリーではなかなか利益を得るのは簡単ではありません。
 

空売りを実行すべき局面とは

 空売りを実行すべき局面は大きく分けて2つ。1つは上で述べたように、下降トレンドの相場で積極的に利益を得るために空売りを仕掛ける局面です。もう1つは、現物での保有株の一時的な下落による含み益減少ないしは損失を回避するための「ツナギ売り」です。

 なお、どちらのケースでも株価が下降トレンドのときに空売りを実行するのが大前提です。上昇トレンドでは株価は上昇、下降トレンドでは株価は下落します。株価の上昇が見込まれる場面で空売りすることはありえません。信用買いと同様、空売りの場合も株価の流れに逆らった「逆張り」は禁物です。

 株価が上昇トレンドから下降トレンドに転換して間もない段階で空売りを仕掛けることができればベストですが、売られすぎの局面など大きく下げた後の時点で新規に実行するといった無理のある空売りをしない限りは、損切り価格さえ決めていれば下降トレンドにある限りいつ新規に空売りを仕掛けても問題ありません。

短期トレンドの変動に応じて新規実行と返済を繰り返す

 株価は上昇するときは短期間で急速に駆け上がることも多いですが、下落するときは長期間ダラダラと下げ続けるものです。したがって、信用買いの場合は株価が急騰したら2~3日で手仕舞いしてしまうこともよくありますが、空売りの場合はよほど大きな急落でもない限り、短期的な下降トレンド(日足チャート+25日移動平均線で判断。以下同様)が続く限りは維持します。

 本当なら、中長期的な下降トレンド(中期は週足チャート+13週移動平均線、長期は月足チャート+12カ月移動平均線で判断。以下同様)にあるならば空売りをそのままいつまでも続けていてよいのですが、空売りにも6カ月の期日(制度信用)があります。

 したがって、具体的には中長期チャートが下降トレンドかつ短期チャートが下降トレンドとなったら空売りを実行し、短期チャートの下降トレンドが終了したら買い戻す、という作業を繰り返すことになります。その上で、騰落レシオや移動平均線からの下方かい離率、信用評価損益率などからみて売られすぎと思われる局面では利食いを優先させるようにします。

 なお、中長期チャートが上昇トレンドの場合は、短期チャートが下降トレンドになったとしても空売りはうまくいかないことも多いです。よって買いをメインに考えた方がよいでしょう。

空売りのリスクを軽減させるために注意すべきことは

 空売りをする際に注意すべき点を以下にまとめておきます。これらの点に気をつけていれば、空売りのリスクを大幅に低減させることができるはずです。

空売り残高が多い銘柄や売り長の銘柄には手を出さない

 空売り残高が多い銘柄や売り長(うりなが=信用買い残高より空売り残高の方が多い)の銘柄への空売りは控えましょう。信用買いは最終的に売り返済しますので将来の売り圧力になります。その逆に空売りは最終的に買い返済するので将来の買い圧力となります。

 そのため、空売り残高が多かったり、売り長であるということは潜在的な将来の買い需要が強いことになります。こうした銘柄には、買い仕掛けを行って空売りの踏み上げ(空売りをしている投資家の損失覚悟の買い戻しにより株価が上昇すること)を狙うような動きもよくみられます。

 なお、空売りを実行したときは売り長の状態ではなく空売り残高も少なかった場合でも、その後空売り残高が大きく増加してくることもあります。そんなときは早めの手じまいを心がけるようにしましょう。

発行済み株数が多く、流動性の高い銘柄で実行する

 思惑が外れて損切りにより撤退するとき、流動性が低い銘柄だと時価よりかなり高い価格でないと買い戻しができない可能性が高まります。また、好材料が明らかになった場合は連日ストップ高でいつまでも買い戻しできない、という最悪の事態も起こり得ます。

 一方、流動性の高い銘柄は株価の値動きが比較的ゆるやかなため、いつでも時価近辺の価格で買い戻しができますし、万が一株価にプラスの好材料が出たとしても、いつまでも買い戻しできないということはほとんどありません。

一度に売らない(何度かに分けて売る)

 いつもドンピシャのタイミングで空売りを実行することはできません。空売りを実行した後、株価が上昇することもあります。したがって、200株売ろうと思っていたなら、一度に200株空売りするのではなく、まず100株だけ空売りするようにします。

 その後株価が下がったらそれ以上の追加はせずに「100株はうまく売れたのだからよし」とします。逆にその後株価が上昇したら追加で100株空売りを実行します。もちろん、損切り価格を設定し、その価格を超えたら全て手仕舞いすることも必要です。

損切りの遵守

 信用買いと同様、空売りにも期日があります。含み損をかかえていても期日が到来すれば強制決済されてしまいます。踏み上げにより株価が急騰するようなことがあれば、期日を待たずとも証拠金不足で追い証が発生してしまいかねません。事前に損切り価格を設定し、それを遵守するようにしてください。

銘柄を分散させる

 世の中何が起こるか分かりません。下降トレンド真っ只中の銘柄であっても突然の好材料によって株価が急騰してしまうことだってあります。

 したがって、空売りする場合には1銘柄に資金を集中させるのではなく、10銘柄程度に分散させるようにしましょう。それが難しい場合は、空売りする株数や金額自体を少なめにして、不測の事態がきてもダメージが大きくならないようにしておきましょう。

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