「エコ」とは「エコロジー」ではなく「エコノミー」の略称?

鳩山首相が2020年までに二酸化炭素を1990年比で25%削減すると宣言したことは記憶に新しいところです。そして、今や地球温暖化対策は世界中で取り組まなければならない課題となっています。
そもそも二酸化炭素が地球温暖化の要因かどうかは疑わしいとする専門家の見解も多いものの、ここまで世界中が二酸化炭素を悪者扱いしてしまうと、この流れは止められません。
今やどのCMをみても「エコ」「エコ」の大合唱です。多くの人々はそれにつられてエコ商品を購入し、「私は地球環境の改善に役立っている」と自己満足に浸ってしまいがちですが、一面では企業の戦略に乗せられてしまっているということも紛れもない事実です。
消費者としてみれば「エコ」=「エコロジー」ですが、企業からすれば「エコ」=「エコノミー」なのです。つまり、エコ対策というのは、「エコロジー」を利用した経済政策と考えるべきです。
実際、自動車業界ではハイブリッドカーが飛ぶように売れています。まさにこれは「エコロジー」効果を消費者にアピールすることで企業が利益を生み出す構図です。
これは国家戦略も同じで、アメリカのオバマ大統領が掲げるグリーンニューディール政策は景気対策としての位置づけを持ったものです。

エコで恩恵を受ける企業のピックアップをしておく

したがって、個人投資家の観点からは、「エコ」により恩恵を受ける企業をピックアップし、タイミングを見計らって投資し、株価の大きな値上がりを狙うのが戦略となります。排出権価格に連動するような投資信託に投資して「排出権バブル」を期待するのも面白いかもしれません。
一方、鉄鋼業、製紙業など、業種によっては二酸化炭素の排出量削減が利益減少要因につながる懸念もありますので注意が必要です。

日本株は諸外国の株高を尻目に完全に蚊帳の外に置かれていますが、いつまでも下げ続けるわけではなく、遠くない将来に上昇相場に転じるでしょう。上昇相場では、相場の柱となるテーマがあります。そのテーマがもし「エコ」や「環境」といったものとなるならば、それに関連した銘柄は大きく上昇するのではないかと注目しています。実際に、今年はGSユアサ、明電舎、戸田工業といった関連銘柄が大きく上昇したことは記憶に新しいところです。
1999年-2000年のITバブル相場で、ネット関連事業に進出すると発表しただけでその企業の株価が何倍にもなったり、2005年の新興市場バブル相場で新興市場銘柄なら何でも急騰したように、エコバブル相場にも大いに期待したいものです。

将来の負担増は「エコ」関連企業への投資で賄うのが理想

我が国が今後本格的に二酸化炭素排出量削減に動くとすれば、私たち国民の負担も相当なものになることを覚悟しておかなければなりません。
その負担増を賄うため、個人投資家としては二酸化炭素排出量削減によりメリットを受ける企業の株に投資してキャピタルゲインを得ることが有効な対策です。
個人投資家としても「エコ」を上手く利用していかなければ、負担増に苦しむことになりかねません。「エコロジー」ではなく「エコノミー」の視点からエコを考えれば、自身の資産防衛のためにも個人投資家として今後どう投資行動をとっていくべきか、自ずと明らかになってくるはずです。

単純に二酸化炭素の25%削減だけに取り組めば、日本経済はガタガタになってしまう懸念があります。でも、企業が画期的な新技術を開発してくれれば、それが国際的な優位性につながり、日本成長の原動力となってくれる可能性も大いに考えられます。
現政権は企業ではなく消費者・国民寄りのスタンスを取っているように感じますが、日本の将来のためにも、企業の新技術開発のために政府も積極的な支援をお願いしたいところですね。そして、将来飛躍的な成長が期待できる企業の株を芽が出始めた段階で安く仕込むことができるよう、情報のアンテナを張り、各企業の株価の動きに常に関心を払っておくべきでしょう。