米国株市場は米大手テック株の決算がカギ

 続いて米国株市場の動きも確認していきます。

図4 米NYダウ(日足)の動き(2024年10月25日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 先週末25日(金)の米NYダウ終値は4万2,114ドルとなり、前週末終値から1,161ドル下落しました。

 節目の4万2,000ドルは維持したものの、週を通じて下落基調が続き、25日移動平均線も下抜けています。

図5 米S&P500(日足)の動き(2024年10月25日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 先週末の米S&P500も週間で下落しました。節目の5,800pを維持したほか、NYダウとは異なり、25日移動平均線がサポートとして機能しています。上値は重たかったものの、最高値圏は維持していると言えます。

図6 米NASDAQ(日足)の動き(2024年10月25日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを基に筆者作成

 その一方で、NYダウやS&P500とは異なり、週間ベースで上昇したのがナスダックです。とりわけ、週末25日(金)の取引時間中には1万8,690pの高値をつけ、7月11日の高値(1万8,671p)をわずかに上回って、最高値を更新する場面がありました。

 ただし、終値では売りに押されて、上ヒゲの長いローソク足になっていることや、図1の日経平均でも見られたように、「上昇ウェッジ」を形成しているようにも見えるため、上昇の勢いが続かず、上昇ウェッジの下限の線を下抜けてしまうと、下落が大きくなる可能性もあります。

 冒頭でも述べましたが、今週は、アルファベットやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アップル、アマゾン・ドット・コムなど、指数寄与度の大きい銘柄が続々と決算を発表するため、決算を手掛かりに上値を伸ばせるかが焦点になります。

 また、これらの大手テック株の多くは積極的に生成AI分野への投資を行っており、今後の投資規模の見通しの状況によっては、エヌビディア(NVDA)などの半導体銘柄の株価にも影響を与える可能性もありそうです。

米国株市場の微妙な変化には注意

 それと同時に、先ほどの米株価指数の動きを見ても分かるように、上値の重たさなど、ここにきて米国株市場には微妙な変化が生じているような印象があります。その背景にあるものとして、米金利の上昇が挙げられます。

図7 米10年債利回り(日足)の動き(2024年10月25日時点)

出所:楽天証券WEBサイトを基に筆者作成

 上の図7は、日足ベースの米10年債利回りの推移を示していますが、9月16日を境にして、利回りが上昇基調を辿り、足元では4.2%を超えてきています。

 前回のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、9月17~18日にかけて開催されたため、利下げサイクルが始まってから金利が上昇していることになります。

 当初は、「1~2年は利下げが継続し、それに伴って米経済のソフトランディングに成功すれば、経済の成長に合わせる格好で長期の金利は上昇していく」といった具合に、金利の上昇は米経済のソフトランディングへの自信の表れとして受け止められていたと思われます。

 ただし、FOMC後に公表された米経済指標が予想以上に強いものが相次いだことで、ソフトランディングよりも強い「ノーランディング」観測が高まり、利下げペースの鈍化や金利の高止まりが一部で警戒され始めました。

 また、足元では11月5日の米大統領選挙が近づくにつれて、財政悪化やインフレ再燃への思惑なども織り込むような動きも出始めている可能性があり、次第に金利上昇に対する市場の受け止め方が、必ずしも好意的なものばかりではなくなりつつあります。

 となると、今後発表される経済指標の結果に対する市場の反応も変わってくることが考えられ、週末に公表される米雇用統計の内容への注目度が高まるほか、米大統領選挙を前にした手仕舞いの動きも出てくることが予想されるため、今週はやや荒れる相場展開も想定しておいた方が良いかもしれません。