クイズの正解:特別損益を除くと株価が割安なB社

 買うのは、B社とすべきです。

 B社の方が収益基盤がしっかりしています。特別損益を除いたベースで見ると、PERもB社の方が低いと考えられます。

 その理由を、以下、解説します。

【1】A社の方がB社より当期純利益率が高いのは、特別損益の影響による

 営業利益率・経常利益率が高いB社の当期純利益率が5%と低いのは、特別損失(一時的損失)が出ているためです。営業利益率・経常利益率が低いA社の当期純利益率20%と高いのは、特別利益(一時的利益)が出ているためです。

【当期純利益】=【経常利益】+【特別利益】-【特別損失】-【税金等】

 特別利益は、不動産売却益や持ち合い株式の売却益など一時的な利益です。繰り返し発生する利益ではないので、特別利益の金額が大きくても、収益基盤が高いとは言えません。

 特別損失は、固定資産の減損損失や、リストラ損失、災害による損失などで、これも原則一時的な損失です。特別損失が大きくても、収益基盤が弱いとは必ずしも言えません。

 以上より、収益基盤の堅さを見るには、一時的な損益(特別損益)を除いた損益(営業損益・経常損益)、そこから計算される売上高に対する利益率を見る必要があります。

 営業利益率40%、経常利益率35%のB社の方が、収益基盤が堅いのは明らかです。

【2】特別損益を除くベースではB社の方がPERでも割安

 特別損益を含めて計算したPERは、A社が10倍、B社が20倍で、一見するとA社の方が割安に見えます。ところが、特別損益を除くベースで計算すると、B社の方がPERでも割安と、考えられます。

 A社の経常利益は5、B社の経常利益は35です。特別損益がなく、実効税率が40%くらいと仮定すると、A社純利益は3、B社純利益は21となります。特別損益を含む純利益(A社20、B社5)とは大きくかい離します。特別損益を除くPERは、A社約67倍、B社約5倍となり、B社の方が収益価値から割安と判断されます。

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