トランプ・トレードで注目されるコア銘柄6選(三菱重工、日本製鋼所、大和工業、クレハ、三菱UFJ、スズキ)

1.三菱重工業(7011・東証プライム)

 国内重機の最大手企業です。ガスタービンでは世界シェアトップとなっています。防衛省によると、2023年の防衛装備品契約金額は1兆6,800億円で、第2位企業の4倍強の水準となっています。防衛関連銘柄としては圧倒的な存在と捉えられるでしょう。足元では、ミサイル関連事業を推進しているほか、日英伊3カ国による次期戦闘機の共同開発も行っています。

 また、脱炭素の移行期間先延ばしの可能性などは、ガスタービン事業にとってプラスとなりそうです。直近では株主還元にDOE(株主資本配当率)を採用、累進配当実現を目指していく方針となっています。

2.日本製鋼所(5631・東証プライム)

 射出成形機などの産業機械が利益柱となっています。また、原子力発電所の原子炉に用いられる圧力容器では世界8割程度のシェアを占めているとみられています。国内火砲システムのリーディングカンパニー的な存在で、陸上自衛隊の運用する19式装輪自走りゅう弾砲、海上自衛隊の護衛艦に搭載される62口径5インチ砲、ミサイル発射装置などの防衛機器を手掛けています。

 防衛事業の受注額が2023年3月期の361億円から2024年3月期に705億円にまで増加したことがサプライズとなりました。再生エネルギー市場停滞の可能性は原発関連事業の追い風となる可能性もあります。

3.大和工業(5444・東証プライム)

 電炉メーカーの大手でH形鋼が7割近くを占める主力製品です。経常利益の75%が海外で占められており、とりわけ、米ニューコアとの合弁会社ニューコアヤマトスチールの持分法利益が高水準となっています。米大統領選でトランプ氏が勝利した場合、米国第一主義政策の強まりが予想されることで、最もプラスメリットが大きい銘柄とも判断されます。

 最大の収益源は米国の合弁会社であり、米インフラ投資の拡大、法人税減税の可能性などによる恩恵享受が期待されます。時価総額5,000億円超クラスの大企業の中で、配当利回りの水準がトップクラスである点も注目材料となります。

4.クレハ(4023・東証プライム)

 クレラップに代表される樹脂製品のほか、機能製品、化学製品などを手掛ける化学大手企業です。注目されるのは、シェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品となります。

 シェールオイル・ガスの掘削においては、フラックプラグという道具が使用されますが、PGAで作られたフラックプラグは、掘削プロセスの費用と時間を大幅に削減することができるようになります。

 マーケットシェアは着実に広がっていますが、工業的に量産しているのは世界で同社のみのようです。トランプ政権下ではシェールオイル・ガスの開発が活発化する見通しで大いにメリットとなるでしょう。

5.三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306・東証プライム)

 国内最大の金融グループです。米金融会社のモルガン・スタンレーと戦略的提携関係にあるほか、メガバンク内では想定的に海外展開で優位に立っているとみられます。トランプ氏が大統領に復権した場合、大規模減税による財政悪化懸念、高関税政策や移民政策によるインフレの進行などが強まるとみられ、金利の上昇につながるものと考えられます。

 日銀への利上げプレッシャーも強まる可能性があり、国内では利上げスピードの加速化も想定されるところです。さらに、トランプ政権下では金融業界の規制緩和が進む公算もあります。メリットが大きい金融セクターのコア銘柄として注目されます。

6.スズキ(7269・東証プライム)

 国内軽自動車の大手企業です。インド現地企業と合弁で「マルチ・スズキ」を展開しており、インドでの四輪車シェアは4割程度とみられています。トランプ政権が発足すれば、米中対立は現在よりも強まっていくと考えられ、その分、大消費国としてインドの存在がクローズアップされる可能性もあり、インド関連のコア銘柄である同社の注目度も高まる公算です。

 また、自動車業界では米国向けの関税問題が懸念されているほか、今後の円高反転の可能性などもリスク要因となってきそうです。その分、欧米向け売上構成比が相対的に小さい同社は、自動車セクター内での資金の受け皿ともなってくる可能性があります。