3 TOYOTIRE(5105・東証プライム)

 タイヤ業界で国内第4位の位置付けです。北米における大口径SUV用タイヤ「オープンカントリー」などに強みがあるとされています。地域別販売構成比では北米が約65%を占め、タイヤ各社の中では最大の水準となっているほか、防振ゴム部品などタイヤ以外の自動車部品なども手掛けています。

 資本提携により2019年から三菱商事が筆頭株主となっており、1円/ドルの変動は営業利益に8億円程度の影響があります。2025年度までの中期計画では、配当性向30%以上を軸に長期安定配当を目指すとしています。

 2024年12月期第1四半期営業利益は259億円で前年同期比78.2%増となっています。タイヤの販売本数減少で売上高は落ち込みましたが、重点商品の販売促進効果、為替相場の円安効果、海上輸送費の減少などが利益面で寄与しました。2024年12月期通期では780億円で前期比1.4%増の見通しを据え置いています。

 売上は下振れ推移とも捉えられますが、為替の前提は1ドル=138円となっているため、現状では利益上振れの可能性が高いように見受けられます。なお、年間配当金は前期比5円増の105円を計画しています。

 北米向けの売上構成比は6割強と、自動車・自動車部品メーカーの中でも極めて高い比率となっています。「強い米国」を志向のトランプ氏は景気刺激策を積極化させるとみられるため、売上構成比の高い米国市場での販売増加が期待されることになります。

 円安メリットも含めて、収益インパクトは強まり、短期的な期待材料としては株主還元策の強化が挙げられるでしょう。現在の中期計画は2025年が最終年度になっていますが、前倒しで議論が進む余地もあると考えられます。

4 大和工業(5444・東証プライム)

 電炉メーカーの大手で、ビルや工場の建設に用いられるH形鋼が7割近くを占める主力製品です。電炉メーカーの中でもいち早く海外に進出しており、現在では、米国、ASEAN(タイ、ベトナム、インドネシア)、中東(バーレーン、サウジアラビア)、韓国に拠点を持っています。

 経常利益の75%が海外で占められており、とりわけ、米ニューコアとの合弁会社ニューコアヤマトスチールの持分法利益が高水準となっています。自己資本比率は85%で無借金経営、財務安定性は高い状況です。インドネシア鉄鋼メーカーの形鋼事業を新規に買収しました。

 2024年3月期経常利益は992億円で前期比9.6%増となっています。鋼材マージンの改善などによって、国内鉄鋼事業の収益が改善し、円安寄与もあって、持分法投資利益も高水準を維持しています。年間配当金は前期比100円増の400円となっています。

 2025年3月期は770億円で同22.4%減の見通しです。新規連結化による売上増効果はありますが、中国の鋼材輸出量増加などによる競争激化の影響を見込んでいるようです。持分法損益も形鋼市況の軟化によって米国を中心に減益を見込んでいます。なお、年間配当金は前期比横ばいの400円を計画しています。

 米大統領選でトランプ氏が勝利した場合、米国第一主義政策の強まりが予想されることで、最もプラスメリットが大きい銘柄とも判断されます。最大の収益源は米国の合弁会社であり、米インフラ投資の拡大による恩恵享受が期待されます。

 また、その米国企業が連結子会社でなく持分法適用会社(米国企業との合弁会社)である点も注目です。米国第一主義=米国企業第一主義と捉える場合、日本企業の現地子会社よりもストレートに需要拡大の取り込みが可能になると考えられます。

 なお、現時点(7月12日現在)では、時価総額5,000億円以上の企業の中で、配当利回りの水準はトップクラス(トップのLIXILとほぼ同水準)ともなっています。

5 コマツ(6301・東証プライム)

 国内建設機械の最大手企業で、世界的にも米キャタピラーに次ぐ第2位の位置付けです。油圧ショベルやブルドーザー、ダンプトラックなど一般的な建設機械のほか、鉱山機械なども展開しています。油圧部品やエンジンなどの基幹部品を自社で内製している点が特徴であるほか、業界内でいち早く建機の運航管理システムを導入するなど、ICT技術の活用なども強みとなっています。

 半導体製造装置関連分野などの産業機械も手掛けており、中南米やオセアニア、中近東など、戦略市場と位置付ける地域の売上も順調に拡大しているようです。配当方針は配当性向を40%以上としています。

 2024年3月期営業利益は6,071億円で前期比23.7%増となっています。北米、中南米、オセアニアなどで建設機械・車両の販売が拡大、販売価格の改善や為替円安の影響なども寄与しました。年間配当金は前期比28円増の167円としています。

 2025年3月期営業利益は5,570億円で同8.3%減の見通しとしています。中南米やアジアでの販売減少を見込むほか、固定費の増加、為替のマイナス寄与を想定しています。為替は1ドル=140円(前期144.3円)を前提としているようで、利益の上振れ余地はありそうです。年間配当金は前期比横ばいの167円を計画しています。

 2025年3月期の建設機械・車両事業における北米向け構成比は約30%の見通しとなっています。米国インフラ投資の増加で建設機械の市場はストレートに拡大が見込めるほか、米景気拡大による資源価格の上昇で鉱山機械の販売増も期待できるでしょう。

 また、防衛省向け事業としては弾薬生産、装甲車の保守整備などを手掛けています。過去には、イラク派遣などで使われた軽装甲機動車の開発・生産も行っており、採算性の低さから撤退した経緯もありますが、防衛予算が拡大する中であらためて新規開発打診などの可能性も残ると考えられます。