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 ここ数カ月のインフレ率が下げ止まっていることもあり、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げをより慎重に進めようと意識しているようだ。FRBはデータ重視の姿勢を強調するが、いつ利下げをするかどうかははっきりしていない。9月と12月の2回、そうでなければ12月の1回というのがマーケットの予想だが、年内の利下げを見送る可能性もゼロではない。

 次回7月31日のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合までに、雇用統計とCPI(消費者物価指数)は2回、9月会合までに4回、それぞれ発表がある。FRBのウォラー理事は、利下げについて「あと数カ月は様子を見る必要がある」と話している。7月はまだデータが十分ではないとすると、9月会合が最有力候補になりそうだ。8月22日から24日にかけて開催されるジャクソンホールのシンポジウムは、パウエルFRB議長が利下げするかについて世界の金融市場に伝える重要な場となる可能性がある。

出所:楽天証券作成

 パウエルFRB議長は、 インフレ率がいまだに高い水準に居座っていることに懸念を示している。PCE(個人消費支出)指数の半分を占めるヘルスケア、食品サービス、運輸、宿泊施設などのいわゆる「非住宅サービス部門」の値上がり率が、金利引締めもかかわらず、あまり下がっていないことが懸念材料だ。これらの部門は、金利感応度が低いこともあるが、賃金コスト上昇の影響を強く受けていることが下げ止まりの原因になっている。

 FRBは、家計が支出を抑制する水準まで債務返済コスト(金利)を引き上げることによって「総需要と総供給を均衡させる」必要があると考えている。ところが、非住宅サービス部門のインフレが下げ止まるなかで、今度は住宅サービス部門のインフレ率が上昇し始めた。FRBにとってインフレ再燃は最悪であり、「利下げ見送り」の強い動機となる。

 パウエル議長は、金利水準はすでに「引締め状態」まで高くなったとの認識を持っているが、米経済は減速せず、個人消費は増加し、雇用市場は依然として過熱状態にある。ということは、中立金利(デフレにもインフレにもならない金利)は、FRBの想定よりもさらに高い可能性があり、現在の水準は、まだ「緩和状態」と「引締め状態」の中間地点にすぎないのかもしれない。FRBでも中立金利の適正水準については意見が分かれている。

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出所:楽天証券作成