注目されるのは今年後半にかけての日銀政策委員による情報発信

 4-6月期のGDP統計(1次速報値)は8月15日に発表されます。筆者の見通しは実質GDP前期比年率1.8%、市場コンセンサスであるESPフォーキャストは同1.62%であり、4四半期ぶりにしっかりした伸びとなる予想です。日銀の追加利上げの判断は、それを確認することが前提になるでしょう。

 となれば、追加利上げは早くても9月MPM(19~20日)ということになりますが、心配なのはFRB(米連邦準備制度理事会)の動きです。筆者の見通しでは、市場が期待している6月の利下げは見送られ、利下げ転換は9月になるとみています。8月にはこれまで市場を揺らしてきたジャクソンホール会議も控えています。

 いずれにせよ、FRBの動きによって為替や株式相場が荒れるような展開になれば、日銀の追加利上げは見送られる可能性は十分にありますが、そうしたFRBや市場動向を脇に置くとすれば、先週紹介した追加利上げの見通し(9月、10月、12月のいずれかのMPM)と、今回の植田総裁のインタビューの内容は整合的と言えます。

 ここで、「9月、10月、12月のいずれかのMPM」とはなんと曖昧な、と思われることでしょう。しかし、ここから先は、植田総裁をはじめとする日銀政策委員の今後の情報発信から見定めていくしかありません。図表3に、今後の主な予定をまとめておきました。

<図表3 金融政策を巡る今後の主な予定>

(出所)日本銀行ほか各種資料より、楽天証券経済研究所作成

 筆者が特に重視するのは、6月の氷見野良三副総裁の金融経済懇談会、8月の内田真一副総裁の金融経済懇談会、9月の植田総裁・大阪経済4団体共催懇談会(いずれも時期は筆者の予想)です。何か重要なヒントが出れば随時レポートしたいと思っています。