金(ゴールド)市場は素晴らしい教材

 コモディティ市場の一歩目になり得るのが、金(ゴールド)です。分断も、矛盾も、俯瞰も、疑うも、自律・自立も、いずれの要素も含んでいるためです。以下の資料は、現代の金(ゴールド)市場をと取り巻く環境を示しています。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)

出所:筆者作成

 例えば、短中期視点で金(ゴールド)価格が高値水準で推移していることについては、株価が高騰しているため代替資産起因の下落圧力がかかっているものの、複数の戦争が長引いているため有事ムード起因の上昇圧力と、FRB(米連邦準備制度理事会)が金利引き下げの議論をしているため代替通貨起因の上昇圧力がかかっているため、と説明できます。

 過去の常識(株価高い時は金は安いものだ)や分かりやすさにとらわれず、俯瞰的であることが、株高でも金(ゴールド)高が起きることの説明をスムーズにしてくれます。ここに何も矛盾はありません。

 中長期視点では主に「中央銀行」の動向に注目することになります。世界分断が深化し始めた2010年ごろから、新興国を中心とした中央銀行は保有量を増やしてきています。分断を嫌気して、伝統的な資産であることなどを理由にこうした動きが目立っています。

図:中央銀行による金(ゴールド)買い越し量の推移 単位:トン

出所:WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の資料を基に筆者推計

 分断が解消しない限り、こうした中央銀行による保有量増加は続く可能性があります。中長期視点の価格下支え要因があると、言えそうです。

図:MSCIオールカントリーワールドインデックスと金(ゴールド)の価格推移

出所:LBMAおよびQUICKのデータを基に筆者作成

 足元、金(ゴールド)相場は歴史的な高値圏で推移していますが、中長期視点でみれば、中央銀行による買いに支えられると筆者はみています。短中期の材料に惑わされず、そして過去の常識にとらわれず、材料を俯瞰しながら価格動向を追ってみるのも面白いと思います。

 筆者の身近ではこの4月から、上の娘が大学に入ったり、姪(めい)と甥(おい)がともに社会人になったりするなど、大きな変化がありました。分断と矛盾の世界に放り出されたこうした若い人たちにこそ(投資をするかは本人たちの判断ですが)、コモディティ市場分析の考え方を伝えていきたいと改めて思いました。

[参考]貴金属関連の投資商品例

長期:

純金積立(当社ではクレジットカード決済で購入可能)
純金積立・スポット購入
投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)対応)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド
ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)