日経平均株価4万円超えはバブルなのか?

 日経平均株価は3月4日に4万円の大台に乗せましたが、最近よく聞く話として、果たして日経平均株価の4万円超えは「バブル」「割高」なのかどうか?というものがあります。

 現在の日経平均株価をバブルであると語る専門家もいますが、論調からするとバブル時と異なり、今の日経平均株価はバブルではない、という主張が多いように感じます。

 そしてその根拠となるのが、バブル時と現在のPER(株価収益率)を比べると、バブル時のPERが約50倍だったのに対し、現在のPERは日経平均株価が4万円に達しても約17倍にすぎないというものです。

 確かにそういわれると「今はバブルではないんだなあ」と思う方が多いでしょうし、今の方がバブル時より上場企業が稼ぐ利益ははるかに多いですから、日経平均株価4万円というのはなるべくしてなった、と考えても良いのかもしれません。

「バブルではないから株価は下がらない」という幻想

 確かに日経平均株価がバブルの高値を超えたといっても、日本が「失われた30年」の間、諸外国では株価は大きく上昇していましたし、バブル時と現在の上場企業の利益額を比較してみると圧倒的に現在の利益の方が多いです。

 したがって、日経平均株価4万円はバブルではなく妥当な水準、というのは筆者も理解できます。

 しかし特に初心者の個人投資家が勘違いしてしまいがちなのが、「バブルではない=株価は下がらない」とは言えない、ということなのです。

 もしバブルであれば、株価は実力より大きくかけ離れた水準にあるわけですから、早晩バブルは破裂して株価は大きく下落します。1989年のバブルのときや2000年のITバブルは実際にそうなりました。

 では、バブルでなければ、株価は大きく下落しないのかといえば答えは「No」です。

コロナ・ショック前もリーマン・ショック前も株価はバブルではなかったという事実

 例えば2020年2~3月のいわゆる「コロナ・ショック」による株価急落が起こる前の日経平均株価のPERはおよそ14倍程度でした。それでも日経平均株価は30%以上の値下がりとなったのです。

「コロナ・ショックは突発的な事象だから参考にならない」といわれるかもしれません。では2008年のリーマン・ショックの時はどうだったでしょうか?

 株価が急落する前の日経平均株価のPERはおよそ15倍です。決してバブルとは程遠い水準だったにもかかわらず、日経平均株価はあっという間に半値まで値下がりしました。

 当時、株価が下落して日経平均株価のPERがさらに下がる中、評論家の方たちが「日経平均株価のPERは歴史的な割安水準だ。これは絶好の買い時だ!」とコメントしていたのを今でもよく覚えています。しかしそれをうのみにして買い向かった投資家はその後のさらなる急落で大きなダメージを受けてしまったわけです。

一握りの銘柄による日経平均株価上昇時は要注意

 また、日経平均株価のPERというのは当然ながら日経平均株価225銘柄の平均値ですが、一部の銘柄が大きく上昇することによって日経平均株価も上昇している場合は注意が必要です。

 米国のS&P500種指数も同じことが言われていますが、一握りの銘柄の大きな上昇により日経平均株価が上昇しても、日経平均株価のPERはそれほど大きくは上がらないはずです。 

 しかし、日経平均株価の上昇が一握りの銘柄の大きな上昇により形成されているのであれば、それは局地的なバブルが生じていることになります。

 もし、大きく上昇している局地的なバブル銘柄が大きく下落したら、どうなってしまうでしょうか?

 局地的なバブル銘柄の上昇で日経平均株価が上昇していたわけですから、バブル銘柄が天井を付けて急落すれば、日経平均株価も大きく下落することになります。

 2000年のITバブルの時はこのパターンで日経平均株価が急落しました。

 日経平均株価全体で見たPERが妥当水準でも、一握りの銘柄が日経平均株価の大きな上昇をけん引している場合も注意が必要です。

結論:バブルだろうがそうでなかろうが株価の大きな下落に対する備えは必要

 これらのことから言えるのは、もちろんバブルであればその後株価は急落するのは当然ながら、バブル状態でなくても株価は急落する可能性が常にあるという点です。

 ですから、株価が下がったときに安易に「安く買える絶好の機会だ!」と買い向かうことを続けていると、いつか大きな下落に巻き込まれ、多額の含み損をかかえた塩漬け株に苦しむことになります。

 ではどうすればよいのでしょうか?株価が下がったときに押し目買いと思って買い向かうことは別に良いと思います。それが成功すれば大きな利益も期待できます。

 ただ、押し目ではなく大きな下落の始まりだった、という可能性もあるわけですから、買った後、どこまで下がったら損切りするかを事前に決めておき、想定外の大きな損失を被らないようにしておくことが重要です。

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