輸入物価の下落は悪い知らせ

 交易条件が改善するということは、輸出物価が輸入物価より速いペースで上昇するか、輸入物価が輸出物価より速いペースで下落するかのいずれかですが、日本の景気後退期では必ずと言っていいほど後者が発生しています(図表2)。

<図表2 日本の輸出入物価>

(注)いずれも契約通貨ベース。シャドーは日本の景気後退期。
(出所)日本銀行、内閣府、楽天証券経済研究所作成

 日本では、海外景気が悪化して景気後退に陥るケースがほとんどですが、海外景気が悪化する局面では資源などの国際商品市況が急速に下落し、日本の輸入物価を輸出物価の下落以上に押し下げることが背景にあります。

 ただし、2023年にかけての輸入物価の下落はグローバル経済が崩れてそうなったわけではありません。今後、米国経済がソフトランディングに向かい、グローバル経済が崩れるようなことがなければ、輸入物価のマイナス幅は縮小していくと見込まれます。

 逆に、輸入物価が再び下落幅を拡大し、交易条件が改善するような展開になれば、グローバル経済が変調を来している可能性を疑う必要があります。今のところそうした兆候はうかがわれませんが、輸入物価はグローバル経済の重要なバロメーターの一つであり、注意深くウオッチすることが重要です。