3月最終週となった先週の国内株市場ですが、週末29日(金)の日経平均株価は4万369円で取引を終えました。前週末終値(4万888円)からは519円安と、週間ベースで反落はしたものの、節目の4万円台を維持して年度末を迎えました。
そして、いよいよ今週からは新年度相場が始まります。国内では週初の1日(月)に日銀短観が公表されるほか、米国でも先週末公表の2月個人消費支出(PCE)の結果を織り込む動きから、週末5日(金)の3月雇用統計を待つというスケジュール感の中で、日本株は先週からの堅調な流れを引き継いでスタートダッシュできるかが注目されます。
そこで、今回のレポートでは、足元の日本株市場を包んでいる先高観ムードを中心に、今後のポイントなどについて考えて行きたいと思いますが、まずはいつものように、足元の日経平均の状況からチェックしていきます。
日経平均は週間で反落も先高観を残す
図1 日経平均(日足)とMACDの動き(2024年3月29日時点)
あらためて、先週の日経平均の値動きを振り返ると、細かい株価の上げ下げを繰り返しながら、上値が切り下がっていく展開でした。下段のMACDを見てもシグナルを下抜けるなど、値動きの方向感は下向きの印象を強めているようにも見えます。
ただし、冒頭でも触れたように、下値については節目の4万円台をしっかりと維持しています。
下落しながらも着実に値固めが進んでいるほか、3月上旬には、この4万円水準でもみ合った場面があり、その時はこの株価水準が「抵抗(レジスタンス)」となっていましたが、先週の値動きからは、抵抗から「支持(サポート)」として機能しつつあるようにも見えます。
一般的に、株価やテクニカル分析の節目が「抵抗から支持」、もしくは「支持から抵抗」へと役割を変える場面はよくあり、トレンドの継続を把握する上で注目されるチェックポイントとなっています。
そのため、先週の日経平均は、下落はしましたが、先高観を残している格好と言えます。
例年4月は外国人投資家が日本株を買い越す傾向
このように、先週の日経平均は、3月権利落ちによる配当金分の株価下落の影響がありながらも、下値が堅かったわけですが、その背景には、足元で円安傾向が続いていることによる輸出関連企業の業績上振れ観測をはじめ、配当再投資や新年度に向けた外国人の買いなどの需給要因が考えられます。
とりわけ、「例年4月は外国人投資家が日本株を大きく買い越している」という傾向があります。
図2 投資部門別売買動向(2市場)における月別の外国人の動向(過去10年平均)
上の図2は日本取引所(JPX)グループが公表している『投資部門別売買動向』から、外国人投資家の売買を、過去10年平均(2014年~2023年)で月別にまとめたものです。
図を見ても分かるように、外国人は例年4月に大きく買い越す傾向があり、過去10年の平均は約8,000億円の買い越しとなっています。ちなみに、過去10年で外国人が4月に売り越したのは、コロナ禍の最中だった2020年のみです。
こうした傾向に沿うのであれば、新年度相場の4月を迎えるにあたって、株価上昇の原動力としての期待値は高いかもしれません。
図3 投資部門別売買動向(2市場)における月別の外国人の動向(過去10年平均) その2
※3月は第1週から第3週までのデータ
ただし、先ほどの図2に2024年の状況を重ね合わせてみると、例年売り越しとなっている1月と2月にそれぞれ、2兆円超と1兆円弱といった具合に、大幅に買い越しています。3月についても第3週までで1,850億の買い越しとなっています。
このように、2024年の外国人投資家は急ピッチで日本株を買い越してきたと考えられ、この勢いのまま4月も買い越し基調が続くのか、また、いったんの利益確定売りが出てくる可能性も考慮しておく必要があるかもしれません。