クイズの正解:日経平均に劣後するチャートB

 クイズの答えをお伝えします。チャートBが東証グロース市場250指数です。チャートAは日経平均です。正解を入れたチャートを、改めてご覧ください。

<日経平均と東証グロース市場250指数の動き:2016年末~2024年2月19日>

出所:QUICKより著者作成

2021年以降東証グロースが不振の理由

 チャートをご覧いただくと分かる通り、2021年の秋をピークに、東証グロース(旧東証マザーズ)市場は大きく値下がりしています。日経平均が大きく上昇しているのに、真逆の動きです。

 不振の最大の理由は、東証グロース市場上場のインターネット企業やバイオ企業の利益が期待外れとなったことです。東証グロース上場のネット関連株やバイオ関連株が2020年に大きく上昇しています。コロナ禍で人々が外出できなくなり、ネットの中だけで活動を完結する動きが加速したためです。

 こうした異常状態にあって、東証グロース上場のネット企業には、創設以来、初めて黒字を計上する企業も増えました。待ちに待った高成長がいよいよ実現したと期待を抱かせました。2020年はコロナに対する不安から、バイオ株も買われました。

 ところが、2021年以降、東証グロース市場にとって投資環境は暗転しました。コロナ禍からのリオープン(経済再開)が少しずつ進むにつれて、人々の活動はネットからリアル経済に戻りました。一時的に黒字を計上した東証グロースの新興企業には再び赤字に転落する企業が増えました。

 政府がかけ声をかけて推進していたDX(デジタルトランスフォーメーション)が期待ほど進まず、諸外国に比べて日本が出遅れてしまった影響もありました。

東証グロース市場の復活はあるか?

 東証グロース(旧東証マザーズ)株に投資するとき、注意しなければならないことがあります。私がファンドマネージャー時代に東証マザーズ株に投資するときに肝に銘じていたことです。

 私がファンドマネージャー時代に、東証マザーズ株のトレーディングで気を付けていたことは「波に乗る」ことです。銘柄選択はもちろん大切ですが、それ以上に大切なのが波に乗ることです。

 というのは、東証マザーズ株は上がるときも下がるときも値動きが極めて大きく、一方通行になることが多いからです。以下のチャートが示す通り、上がる時はいい銘柄も悪い銘柄も上がり、下がるときはいい銘柄も悪い銘柄も下がる傾向があります。一生懸命、企業調査をしていい銘柄を選んだつもりでも、下げ相場では、なすすべもなく下がります。

 2021年以降、いい銘柄も悪い銘柄もなんでも下がる相場が続いた後、2024年に入り、やっと少しだけ底打ちしつつあります。少しだけ投資してみてもいいかと思われる環境にはなってきています。

<東証グロース(旧東証マザーズ)​の月次推移:2016年1月末~2024年2月>

出所:QUICKより作成

 ただし、初心者が投資すべき市場だとは思いません。東証グロース市場の動きから、少しだけ底入れの動きがあるものの、日本からネット関連の高成長企業が現れにくい環境に変わりはないからです。

 結論として、2020年のような小型グロース全盛期が復活する兆しはまだ見えていません。いつか復活する日は来るだろうと期待はしていますが、いつなのか、まったく予測できません。東証グロースに投資する場合は、よく知っている企業を少しだけ試し買いするにとどめた方がいいと思います。