3 東ソー(4042・東証プライム)

 塩ビ・苛性ソーダなどで国内トップシェアを誇ります。ポリエチレンやCRゴムなどといった石油化学事業も展開しています。さらに、免疫診断装置や試薬、ハイシリカゼオライト、歯科材料などの機能製品を強化しています。世界19カ国、約50拠点で展開(2023年3月末)し、海外売上が約過半数を占めています。

 ファインセラミックス用ジルコニア粉末、合成ゴムのCSMなどは世界でトップシェア、電解二酸化マンガンなどは国内唯一の生産者となっています。オルガノ(6368)を上場子会社に持ちます。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は595億円で前年同期比1.1%増となっています。収益源となる機能商品事業は減益となりましたが、価格是正による苛性ソーダの国内価格上昇、ナフサや石炭などの原材料価格の低下効果が下支えとなった形です。

 2024年3月期通期予想は860億円で前期比15.3%を据え置いています。オルガノが上方修正していることは上振れ要因になるでしょう。年間配当金は前期比横ばいの80円を計画しています。

 10-12月期の営業利益は前年同期比97.8%増の274億円と大幅増益になり、市場予想も20億円程度上振れる着地になっています。コンセンサスでは通期業績計画の未達を織り込んでいますが、達成が視野に入る水準にもなってきました。

 また、2025年3月期にかけては、金利低下による米国住宅向けに塩ビの需要回復が期待できることで、同分野での採算改善が想定されることになります。なお、PBRが0.7倍台にとどまっていることから、株主還元策の拡充期待などは、2024年3月期の決算発表に向けて高まる余地がありそうです。 

4 サンゲツ(8130・東証プライム)

 住宅、オフィス、商業施設などの壁装材、床材、カーテンなどのファブリックを取り扱うインテリア内装材のトップシェア企業です。壁紙では国内シェア約5割。住宅の門扉や家庭用フェンス、カーポートをはじめ、学校などの公共施設や商業施設にも展開するエクステリア事業、北米、東南アジア、中国・香港などへの海外事業も行っています。

 国内向け製品は約1万2,000点にのぼります。創業約170年、上場以来40年以上連続での黒字経営となっています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は149億円で前年同期比2.4%増となっています。壁装材・床材などの主要商品は着実なシェアアップが図れ、売上高は2ケタ増を達成しています。

 ただ、一部原材料の値上げによる仕入価格上昇および物流コスト増、廃番商品評価減発生などで利益率は低下しました。2024年3月期通期予想は従来の185億円から200億円、前期比1.4%減に上方修正。販売数量の想定以上に堅調な推移が背景となるようです。年間配当金も従来計画の135円から140円に引き上げ、前期比35円の増配となります。

 住宅着工戸数が低迷する環境下において、着実に国内インテリア事業の売上が拡大していることはポジティブに評価できるでしょう。また、チェーンの飲食やホテルなどこれまで弱みであった非住宅分野において、専門部署設置などの対策が奏功しているようです。配当金を中心とした株主還元策も高評価。2024年3月期は10期連続での増配予定となっています。

 とりわけ、2022年3月期以降は増配のペースが速まっており、中期計画の3期間中は130円を下限配当と位置付けています。

5 西松建設(1820・東証プライム)

 準大手ゼネコンの一角で、ダムやトンネルなどの土木工事に強みがあります。施工ダム数は2020年3月現在で193カ所となるようです。アセットバリューアッド事業(旧:開発不動産事業)、再生可能エネルギー事業やまちづくり事業を足掛かりとした地域環境ソリューション事業なども展開しています。

 海外はタイ、ラオス、ベトナムなどに進出しています。伊藤忠商事(8001)と資本業務提携関係にあります。2024年3月期から2026年3月期までの3期間は配当性向70%の株主還元を実施する予定としています。

 2024年3月期第3四半期(4-12月期)営業利益は148億円で前年同期比24.5%増となっています。国内建築事業において、一部の大型工事で収支が改善したことにより、利益率が上昇しているもようです。新規顧客の大型工事や官庁工事の伸長で、受注も計画を上回る好調推移となっています。

 2024年3月期通期営業利益予想は従来の150億円から165億円、前期比30.8%増に上方修正しました。不動産事業などの売上高も上振れる見込みのようです。年間配当金は前期比48円減の173円計画を現状据え置いています。

 現在は配当性向70%を目標としているため、上方修正後の予想配当金は202円程度と試算されます。会社側では、配当額については業績動向を踏まえ、適切な時期に開示するとしており、2024年3月期の決算発表に向けては、増配への期待が高まっていくことになるでしょう。

 ちなみに、第3四半期までの進捗(しんちょく)率も高いことから、一段の利益・配当額上振れなども想定されます。また、自己株式の取り扱いについても年度内に何らかのコメントの開示を検討としており、資産効率の改善につながる施策を期待したいところです。