今日の為替ウォーキング

今日の一言

あなたに何を頼もうとする人たちはみんな、あなたから時間や自由な意思を奪おうとしている

Don't Let Me Be Misunderstood

 米労働省が発表したJOLT(求人労働移動調査)によると、12月米国の求人件数は前月比10.1万件増の902.6万件となった求職者1人に対して1.59件の求人がある計算だ。

 失業率と比べると求人倍率は高い。しかし就業者数と比べるとそれほど高いわけではない。求人数の多さは、求人総数の増加によるものではなく、転職者の増加が大きな理由だと考えられる。つまり、米国の労働市場は、好景気時におけるようなネットベースでの雇用創出は起きていない可能性が高い。「逼迫」しているというよりも「流動化」しているのだ。

 求人件数が増えている理由のひとつに、広告のオンライン化の影響もある。企業は昔よりはるかに安いコストで沢山の広告を出せるようになった。さらに最近では料金を成功報酬制にするところも増えている。そのため、実際には存在しない仕事やポジションを撒き餌にした「つり広告」で優秀な人材を手広く獲得しようとする会社が増えている。これも見かけの求人数を多くしている原因だ。

 もし企業が本当に人手不足になっているならば、実質賃金はプラスになるはずだ。インフレが上昇しているのに給料が上がらず「実質賃金マイナス」が解消されていないのは、求人広告の多さイコール求人総数の多さではないことを示している。

 日本でも実質賃金の低さが問題となっている。賃金が上がらない理由は多くあるが、そのひとつに、労働者が「転職したがらない」ことがある。しかし、日本でも最近はTVやネットで転職サイトや転職エージェントのCMを1日のうち必ず数回は目にするようになっている。日本の終身雇用が制度疲労を起こすなかで、転職の需要が高まっている。

 ところで、採用募集で「当社では、いろんな仕事に挑戦できます!」という売り文句を見かけても期待してはダメだ。これは大抵の場合「誰もやりたくない仕事を押しつける」という意味だから。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成