今日の為替ウォーキング

今日の一言

投資は自分の人生の目的をかなえる手段であって、目的そのものではない

Don’t Look Back In Anger

 FRBは、1970年代に金融引き締めを途中であきらめてしまったためにインフレの再暴走を許したというトラウマを持っている。そのためFRBは、経済成長率が顕著に鈍化したと確認できないかぎり金融緩和に踏み切れないでいるのだ。

 米国経済は、経済データから明らかなように、FRBの金融引き締めにもかかわらず、予想よりはるかに好調だ。この背景には、米個人消費の予想以上の強さがある。これは、失業の不安が少なく給料が順調に増えているからで、将来に備えてコツコツ貯金するより、今パーッと買い物をして楽もうとすることが消費拡大につながっている。

 しかし、それはあくまでも表面のことで、実際は支出が前倒しされているだけのことだ。2024年には、これまでの反動で急速な消費の落ち込みが発生するリスクが高まっている。来年第1四半期には、雇用市場も悪化して就業者数がマイナスになる可能性が高いといわれている。積極的な消費行動は2023年が最後かもしれない。

 米国の経済データが強ければ強いほど、皮肉なことにマーケットはハードランディングの確率を高める。FRBが景気抑制のためにさらに強い手段に訴えるほど、米経済の墜落事故の可能性が高まるからだ。FRBは来年3月の0.25%を皮切りに利下げサイクルに入り、2024年末には政策金利を2.75%まで引き下げる(現在5.50%)と金利市場は読んでいる。これほどまでに積極的に利下げを織り込んでいるのは、米国のリセッションを予想しているからだ。

 

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成