隆一は、手短に、しかし、正直に自分の投資デビューからの失敗談を話した。

「なるほど。あなたは、投資のつもりで始めたのが、いつのまにかトレードをするようになり、失敗したのですね」

 隆一は、投資とトレードの違いがまだわからない。

「本来の投資の狙いとは、企業の成長を株主の立場で応援し、その果実を自分も得る、ということです。企業が成長してくれる、あるいは長く利益を上げ続けてくれる、という結果になれば、投資も成功というわけです。つまり、利益が増えていくような成長企業や安定して利益を生んでいく優良企業を見つけて資金を投じるのが基本となります。たまに急成長する企業もありますが、本来は3年単位ぐらいで新しい事業や商品を生み出していくものです。そうすると、おのずと投資の期間は中長期が適当、ということになります」

 隆一は、これまで買った株の企業が成長していくのか、安定した利益を上げ続けられるのか、などについてはまともに調べたり考えたりはしていなかったことに、いまさらながら気がついた。