FIREしてもしなくても、人生で感じる不安要素は変わらない
先日、FIRE後の生活について別の取材があり、次のような質問を受けました。
(1)FIRE後の生活は飽きませんか?
(2)今後、金融市場や物価などの変化にどう対応しますか?
(3)家族構成の変化(教育費などの支出増加)に対してどう対応しますか?
トウシルで集まった質問と重複しています。おそらく多くの方が気になる点なのだと推察します。
しかしよくよく考えてみると、これら質問はFIREする、しないという前提は関係なく、普遍的に人々が感じる、人生全般における不安や疑問ではないかと思います
つまり、人生における普遍的な命題は同じだということです。
(1)については、FIREしようがしまいが、みずから主体的に人生を舵取りしていく気概があったほうが、日常が変化に富むので飽きることもなく、人生をより深くたのしみ味わえます。
(2)についても、時代や環境の変化に対応できたほうが望ましいと思います。
(3)についても、教育費は住む地域・教育方針・子の特性などによって千差万別であり、業界・時代・国などによって求められる能力も一変するため、結局そのときどきに臨機応変に対応することになります。
私にとっては、FIREは「ゴール」というよりは、「新たなスタート」かもしれません。新たに素晴らしい日々をみずから描いていく生活を始められたのです。
人の性格や特性自体が千差万別である以上、FIRE後の人生も千差万別です。FIREして得た「経済・時間・精神の自由」を活かすも殺すも自分次第です。
生き方も投資手法も同じ。絶対解は存在しない
生き方も投資手法と同じで、万人に対する絶対解は存在せず、みずから模索して探り当てることが求められます。
FIRE後の人生を充実させるためにキーワードとなるのは、「主体性」と「好奇心」だと私は思います。
そのためには、FIRE後も自分から積極的に人々や社会と関わり続けていくことが必要です。
自分からどんどん興味を持って新たな活動をはじめたり、いろんな場に参加したり、おもしろそうだとおもったことをとりあえずやってみたり。そうするなかで新たな発見や出会いが生まれ、変化に富む躍動感のある人生になっていくのだと思います。
(いや自分は陰キャやし、そんなんマジ無理…)
と思う人もいるかもしれませんが、人間が「社会的な動物」である以上、社会的な欠乏を感じれば、自分から自然に求めていくでしょう。
FIREしてよかった!そう言い切れる理由
先日、友人たちと食事会をしていました。
友人のひとりが駅から徒歩20分のところに住んでいたので、「え、めっちゃ歩けるやん!」と思った通りのことを言うと、みな一様に「ポジティブぅ〜!笑」との反応がありました。
もしかすると、そうした物事のとらえかたが、私が「FIRE後の人生」を存分に楽しめている要因なのかもしれません。お金がいくらあるかどうかよりも。
お金と同じかそれ以上に大事になるのは、「目の前に起きた出来事をどうとらえるか」という点かと思います。
そして、人間が「社会的な動物」である以上、良好な人間関係、そしてだれかに認められ、自分に自信を持てる自己肯定感の高さが幸福度を大きく左右します。この普遍的な原理はFIRE後も変わらないでしょう。
FIRE後、胸を張って誰かの役に立っている(と自分で思える)活動をブログや書籍などを通して続けてきました。そうした活動は、自己肯定感に直結すると思います。
そして前述のとおり、好奇心と興味のおもむくままに主体的に生きてきました。「FIREした決断は結果として正しかった」と一片の悔いなく絶対的な自信を持って言い切れます。
FIREしてよかったかどうかは、その後の生き方で決まる
FIREしたい、と思っている人へ、伝えたいことは次のようになると思います。
まず、体は一つなので、FIREした人生としなかった人生の両方を同時に生きることはできない、ということです。
FIREをするということは、会社員としての人生を手放し、自由と責任ある人生を得るということです。
そして、物事のよしあしは決断した時点で決まるのではなく、その後の生き方によって決まるものと思います。
FIREにかぎらず、人生でなんらかの選択をしたならば、その選択が最善であったと思えるような日々を積み重ねていくこと。
そして自分の感覚を信じて、主体的に考えて考え抜いた決断ならば後悔はないと思います。あとは自分で選んだその後の人生を存分に味わうだけです。
FIRE後の人生、それはまちがいなく私にとってこれ以上ない最高の日々です。
ただ、私の考えるFIREの概念は、世間と少し異なるかもしれません。詳しくは新刊『#シンFIRE論』で感じとっていただけると思います。
人生は青春と似ていて、当時はその一瞬とも言える貴重な日々であったことに気づかず、のちに振り返ってなんと貴重な日々であったかを悟る。そんなものかもしれません。そして人生はいつ終えるともわかりません。
このコラムをお読みの方々が、悔いなき日々を、1日でも長く過ごせることを願っています。
過去3回の連載をもう一度読む!
穂高唯希のFIRE&人生相談 Vol.1「FIREの仕方」編
穂高唯希のFIRE&人生相談 Vol.2「FIREの決断」編
穂高唯希のFIRE&人生相談 Vol.3「FIRE後の資金、どうしてる?」編