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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
円高ショックで日経平均急落。日銀によるマイナス金利解除はいつ?(窪田真之)

円高ショックで日経平均急落

 先週(営業日12月4~8日)の日経平均株価は、1週間で約1,123円下落して、3万2,307円となりました。7日に一時1ドル141.73円まで円高急伸したことを嫌気して、日経平均は急落しました。

日経平均週足:2023年1月4日~12月8日

出所:楽天証券MSより作成

 7日に一時1ドル141.73円をつける急激な円高が進んだ理由は、2つあります。

【1】11月以降、米景気減速の指標が増え、米金利の先高感が低下していたこと。

【2】7日午前の植田和男日本銀行総裁による「チャレンジング発言」で、日銀によるマイナス金利解除が12月中にも実施されると思惑が広がったこと。

 7日の急激な円高の直接の原因は【2】です。7日午前からの参議院財政金融委員会で立憲民主党の勝部賢志議員からの質問の最後で今後の業務全般の取り組みへの所見を尋ねられたことに対する答弁として、植田総裁は以下のように発言しました。「チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になるとも思っている」。

 植田氏が「年末から来年にかけて」と時期を明確に述べたことで、12月18~19日の日銀金融政策決定会合で、マイナス金利解除が決定されるのではないかとの観測が市場の一部で高まりました。これに加え、7日午後には岸田文雄首相と植田総裁が首相官邸で面会したことも伝わり、解除前倒しの見方がさらに強まりました。

年内マイナス金利解除の解釈は短絡過ぎ?

 7日に一時1ドル141.73円まで円高が進みましたが、その後円安に戻り、8日のニューヨーク為替市場は1ドル144.94円で引けました。円安に戻った理由は2つあります。

ドル/円為替レートと、米2年・10年金利の動き:2022年7月1日~2023年12月8日

出所:QUICKより作成

【1】12月のマイナス金利解除はさすがに無いと思われること

 「チャレンジング」と発言した植田日銀総裁の真意は定かではないものの、12月にマイナス金利を解除したら、これまでの発言と整合性がありません。需給ギャップ、実質賃金の変化を見ながら慎重に判断していく、というスタンスは変わっていないと考えられます。

 このタイミングで「チャレンジング」発言が出たのは、先行きマイナス金利の解除を行うことを、少しずつ市場に織り込ませていくための最初のステップだったと考えられます。

 これまでの市場コンセンサスでは、マイナス金利解除は来年4月でしたが、日銀筋の一連の発言を受けて、来年1月にもあり得るとの見方が出てきました。とはいえ、さすがに12月解除は無いと思われます。

【2】8日発表の11月の米雇用統計が強かったこと

 11月の米雇用統計が強かったことから、米金利が少し上昇しました。米景気が急減速して来年にも米利下げがあるとの思惑は低下しました。