毎週金曜日午後掲載

1.新NISAの概要(おさらい)

 今回の楽天証券投資WEEKLYは、来年2024年からスタートする新NISAについて書きます。2023年10月6日付け楽天証券投資WEEKLY「ハイテク株アナリストが考える新NISAの使い方-ハイテクグロース株への投資に新NISAをどう使いこなすか-」の2回目です。アメリカや日本のハイテクグロース株(半導体関連、IT、AI関連など)に投資する際に、新NISAをどう使いこなすかというテーマです。前回と重複する部分もありますが、私の見方、考え方を示したいと思います。

 なお、ここで述べることは、あくまでもアナリストとしての私の見解です。楽天証券が配信している他のレポート、説明と違う点があるかもしれませんが、その場合は、一アナリストの独立した見解であると解釈してください。

 まず、新NISAの概要を見ます。

表1 新NISAの内容

出所:楽天証券

 現行NISAと比較した時の新NISAの大きな特徴は次の通りです。

  1. 投資して利益を得た場合の売却益、配当に対する課税がなく、非課税保有限度額が全体で1,800万円、このうち成長株枠で1,200万円(いずれも簿価ベース)と大きい(海外株式や海外ETF等に投資して配当金を得た場合、NISA口座では日本では非課税だが、アメリカ株式、ETFの配当の場合はアメリカで10%課税される。アメリカ株、アメリカETFの売却益に対してはアメリカで課税されず、日本でも新NISA枠では課税されない)。
  2. 年間の投資枠も積立枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円と日本の平均的な家計所得と貯蓄に対して大きい。
  3. 恒久制度であり、投資期間に期限がない。
  4. 成長投資枠では個別株(日本株、外国株)への投資が可能で、単元未満株投資(楽天証券の場合は「かぶミニ」)もできる。投資信託、ETF(上場投資信託)にも投資できる。
  5. 投資枠がいっぱいになったとしても、買付額ベース(簿価ベース)で360万円分を売却すれば、翌年は360万円分の投資が可能になる。
  6. いったん投資をやめて投資した銘柄を全て売却した場合は、翌年から年間最大360万円の枠で投資を再開できる。
  7. 現行NISAと新NISAは別枠扱いになるので、併用できる。
  8. 積立投資枠、成長投資枠で投資できる投資信託、ETFは指定される。

 このように見ていくと、新NISAの最大の特徴は売却益に対する非課税枠が大きいこと、恒久制度であること、いったん投資をやめて持ち株を全て売却した場合でも(枠が一杯の時に売却した場合は)翌年から投資を再開できることなどです。総合的に考えると、日本の生活者が置かれている状況に寄り添った、良い制度であると言えます。

2.ハイテクグロース株投資におけるアメリカ株の重要性

 ハイテクグロース株投資にとってアメリカ株は重要です。ハイテクグロース企業(例えば半導体関連株、IT関連株など)のトップ企業はアメリカ企業が圧倒的に多いです。半導体デバイスのトップは今はインテルですが、来年はエヌビディアになると思われます。半導体製造装置の世界トップはアプライド・マテリアルズ、ITではGAFAMの5社がインターネット、ネット通販、SNS、ITなどの各分野で圧倒的な地位を持っています。

 また、ハイテクグロース株の成長株の条件は、グローバルに活動しているかどうかですが、アメリカにはグローバル市場で大きな実績を上げてきた企業が多いです。アメリカで生まれた半導体関連企業、IT・インターネット企業の多くは、個人消費、企業の設備投資ともに世界で最も厚みのあるアメリカ市場でしっかりと力を蓄え、速やかに世界展開して急成長へ向かうことが多いです。自社に海外展開する力が不十分な場合は、コンサルタントが手法を伝授したり、投資銀行、投資ファンドなどが、人材や海外展開のための買収先を紹介します。コンサルタントにしろ、投資銀行や投資ファンドにしろ、腕の立つ専門家や会社の料金、手数料は高いので、これらの支援を受ける場合はおのずと収益志向になります。

 一方で、これはアメリカ経済の大きな特徴ですが、経済の新陳代謝が極めて大きいため、10~20年単位でみると、特定のセクターの主力企業が変わっていることがよくあります。前回のレポートでも書きましたが、20年前の世界の半導体セクターのスターはインテルでした。今はエヌビディアでしょう。私の業績予想が大きく間違わなければ、2024年に世界の半導体セクターのトップ企業はエヌビディアになると思われます。しかし、今後5年間はトップを維持できても、10年後、20年後はわかりません。エヌビディアが10年以上半導体デバイスセクターのトップを維持することはできないと言っているのではなく、10年以上の長期で成長企業を考えるときには、不確定要素が多すぎて予想できないということです。

 そのため、アメリカのハイテクグロース株に投資する場合には、アナリストレポートやストラテジストレポートを参考にするとともに、自分でも勉強し、投資手法も工夫したほうがよいと思います。例えば、ハイテク系インデックス投信・ETFへの長期投資を行うとともに、ハイテク個別株への1年以内の短期投資または、1~2年程度の比較的短い長期投資を並行して行うという組み合わせです。短期の回転売買を勧めるつもりはありませんが、1~2年に1~2回程度自分の投資先を再検討して、自分が入れ替えるべきと判断した銘柄を入れ替えることは、勉強する機会が増えるというメリットがあります。

3.日本株も重要です

 ハイテクグロース株では日本株にも魅力があります。日本のハイテク市場にはアメリカほど激しい競争、激しい新陳代謝はありません。一度勝ち組になれば、投資資金と人材を集めて勝ち組であり続けることができます。前述のように、アメリカではそうはいきません。少子高齢化が進み衰退する日本で勝ち組になっても投資対象としては不十分ですが、世界市場で活躍する会社が日本の株式市場にあると、勝ち組としての評価を獲得し続けることができると思われます。

 例えば、半導体製造装置や半導体素材の場合は、長年の競争と技術革新の結果、世界市場で上位1~3位の会社が大きな優位性を保ち続けるケースが多いです。そして、そのような会社が日本の株式市場にあると、他の日本株に比べてPERや株価の上昇率の面で高い評価を得ることができると思われます。半導体製造装置・計測器メーカーのレーザーテック、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコなどがその好例だと思います。

 ただし、市場が巨大である一方で栄枯盛衰が激しい先端半導体デバイスメーカーは日本にはほぼありません。この分野に投資する場合は、アメリカのエヌビディア、AMD、インテル、アーム・ホールディングス、台湾のTSMC等に投資することになります。ただし、最近ソシオネクストが特注型ロジック半導体の事業で一桁ナノ台に進出してきたので、日本でも変化はあると思われます。

 また、アメリカ株は1株から投資できるため、数千円から数万円の資金から株式投資を始めることができます。日本株の場合は、単元株制度によって通常は100株単位でなければ売買できませんが、楽天証券の「かぶミニ」(単元未満株取引)を使えば1銘柄当たりの投資金額を低くすることができます。

4.新NISA成長投資枠の対象投資信託、ETF

1)新NISA対象投資信託・ETF

 新NISAで投資できる国内海外の投資信託とETFは次の通りです(数が多いのでリンクを貼ります)。

つみたて投資枠(つみたてNISAと同じ)
成長投資枠(積立投資、スポット購入のどちらでも利用できる)

 このうち、つみたてNISAの対象投資信託・ETFの中で、先進国株式、アメリカ株式、アメリカ優良株などという名前の投資信託、ETFの組み入れ上位には、GAFAM各社(マイクロソフト、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ)、エヌビディアなどのアメリカのIT、半導体大手が入っています。これらの投資信託、ETFは、MSCIコクサイ・インデックス等の概ね同じインデックスをベンチマークにしているため、組み入れ銘柄も概ね同じになります。

 これ以外ではNASDAQ100、FANG+指数をベンチマークとしたETFがあります(iFreeNEXT NASDAQ100インデックス、iFreeNEXT FANG+インデックス)。

 成長投資枠の対象投資信託、ETFは種類が多くなります。国内、海外の投資信託、ETFで比較的多いのがNASDAQ100連動型インデックスファンドで、各社から出ています。

 また、海外の運用会社、バンガード、ブラックロック、ステート・ストリートが運用するグローバルまたはアメリカの業種別インデックスファンドが対象リストの中に入っています。野村アセットマネジメントが運用する日本の業種別インデックスファンド(ETF)も対象リストに入っています。

 意外に少ないのがSOX指数連動型インデックスファンドで、「ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)」(ニッセイアセットマネジメント)、「グローバルX 半導体 ETF」(Global X Japan)が対象リストに入っています。

 実際に投資信託、ETFに投資する場合は、ご自分で確認、検討してください。

2)ハイテクグロース株に投資するにはNASDAQ100連動型インデックスファンドから始めるのが手軽

 新NISAを使ったハイテクグロース株への投資を考えるには、まずNASDAQ100連動型インデックスファンド、次にSOX指数連動型インデックスファンドを考えてみたいと思います。

 NASDAQ100は、ナスダックに上場する時価総額上位100銘柄の時価総額加重平均によって算出される株価指数です(ただし、金融銘柄を除く)。NASDAQ総合指数と同様、アメリカのみならず世界のハイテク系株価指数の代表とも言うべき指数です。

 NASDAQ100連動型インデックスファンドに投資することで、前述したアメリカのハイテク企業特有の激しい新陳代謝に伴う銘柄選択の困難さから免れることができます。インデックスが企業の栄枯盛衰、セクター内の新陳代謝を吸収するからです(かつてのスター企業が衰退して株価が下落しても、新たなスター企業の株価が上昇してインデックスも上昇する)。後述の業種別インデックスファンドでも同様の効果が期待できますが、NASDAQ100には、IT、半導体、バイオ、小売りなど様々な業種の企業が含まれているため、分散度合いが大きいという優れた特徴があります。

 また、半導体に特に関心がある場合は、SOX指数連動型ファンドに投資するのも一つの考え方です。SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は、アメリカ上場の主要半導体関連企業30社の株式で構成される時価総額加重平均型株価指数です。NASDAQ OMX PHLX(旧フィラデルフィア証券取引所)が算出、公表しています。

 2023年12月1日時点での成長投資枠の投資信託、ETFには、一般的なハイテク系インデックスファンド(NASDAQ100連動型、SOX指数連動型など)だけでなく、前述のように日本とアメリカの業種別インデックスファンドが入っています。業種別ETFは上場しているため、自由に売買できます。日本では人気はありませんが、アメリカでは個人投資家に大変人気です。大きな業種分類だけでなく、小さい業種分類でも様々なETFが設定されています。

 これは、業種別ETFの場合、業界動向を把握しておけば、個別銘柄の選別という新陳代謝が激しいアメリカ経済における難しい問題を避けることができるからです。新NISAの成長投資枠で選定されている業種別ETFはまだ種類が少ないですが、今後、海外の業種別ETFが増えることがあるならば、それに期待したいと思います。

 インデックス投資に慣れている場合は、インデックス投資と個別銘柄投資を組み合わせても良いと思います。例えば、NASDAQ100連動型ファンドに投資する一方で、エヌビディア、AMD、レーザーテック、東京エレクトロンなどの半導体関連の個別株に投資するという考え方です。こうすることで、ハイテク分野に幅広く網を張る一方で、特定分野に重点を置いた投資もできるという考え方です。

3)各指数の長期トレンドと金利

 以下は各指数の長期グラフとアメリカ10年国債の利回りのグラフです。NASDAQ総合指数、NASDAQ100、SOX指数、S&P500ともにいずれも過去30年以上の間大きく上昇していますが、アメリカ株の上昇の原動力は、個別銘柄ではGAFAM5社、エヌビディア、AMDなどの半導体関連大手、そしてテスラなどの大型成長株と、長期にわたる金利低下であると考えられます。問題は、過去20~30年間株価が大幅に上昇したからと言って、今後10~20年以上果たして上昇するのかということです。これにはアメリカと世界の経済成長、技術革新、特定のハイテク企業の成長とともに、金利の問題があります。

 これについては、別の機会に分析したいと思いますが、金利が低下局面入りしたと捉えるべきか、それとも金利がある程度の期間高止まりするかもしれないと考えるべきかで、投資のあり方はかわります。趨勢的な金利低下を見込むならば、ハイテクグロース株の長期投資ですが、そうでないならば、長期投資とともに短期投資も有効になると思われます。株式市場はこれについて、今のところ確信が持てないようにみえますが、アメリカ10年国債利回りは下がってきているため、これは株式市場にとっていい状況です。

グラフ1 NASDAQ総合指数

日足終値、出所:Bloombergより楽天証券作成

グラフ2 NASDAQ100

日足終値、出所:Bloombergより楽天証券作成

グラフ3 SOX指数

日足終値、出所:Bloombergより楽天証券作成

グラフ4 S&P500

日足終値、出所:Bloombergより楽天証券作成

グラフ5 日経平均株価

単位:円、日足終値、出所:Bloombergより楽天証券作成

グラフ6 アメリカ10年国債利回り

単位:%、日次、終値、出所:Bloomberg

5.新NISAを使った個別株投資

1)個別株投資の面白さと重要性

 個別株投資の面白さは、自分の相場観、銘柄観、経済観、さらにハイテクグロース株の場合は近い将来世界はハイテクによってどう変貌するかという世界観、未来観で投資することにつきます。自己責任の世界ですが、そもそも株式投資は自己責任です。

 よくほったらかし投資とか、専門家に任せましょうとかいう人たちがいますが、ほったらかしても専門家に任せても、パフォーマンスに対する責任は(不法行為によって騙されたのではない限り)全て投資家が負います。また、成長企業ほどそうですが、専門家によって意見はバラバラです。ハイテクグロース株に投資する場合は、結局は投資家自身で学び考えて投資判断を下すしかないのです。

 また、投信の売買手数料、信託報酬等の管理費用など、手数料、費用は一切払いたくないという人は、個別株でポートフォリオを組むしかありません。売買手数料ゼロの投信、ETFでも信託報酬等の管理費用は払わなければなりません。新NISA枠の場合は、楽天証券では国内株式、アメリカ株式ともに売買手数料はかかりません(ただし「かぶミニ」(単元未満株取引)を使う場合はスプレッドを支払うことになります)。

2)アメリカも日本もハイテク株は勉強する素材が豊富にある

 アメリカは機関投資家向け、個人投資家向けを問わず、ディスクロージャー(上場企業の情報開示)が発達しています。これは2000年代から段階的に導入された「公正開示規制」によるところが大きいです。「公正開示規制」は、機関投資家向けに開示する内容と同じものを個人投資家向けにも開示せよというアメリカの上場会社に対する規制です。アメリカではすでにこの公正開示規制が厳格適用されているため、上場企業を知るうえで詳細な資料が企業のIR欄に掲載されています。また、四半期決算が定着しており、公正開示規制、四半期決算ともに今後後退することはないと思われます。

 加えて、ハイテク系企業の場合は、製品・サービス欄を見ると、これも詳細で分かりやすいリリース、ブログ、動画などが掲載されています。

 IT、半導体に特化したネットメディアも多いため、アメリカ株の中でもハイテクグロース株の勉強をする場合は、素材には困らないと思います。

 一方で、日本のハイテクグロース株(半導体関連やIT関連など)では、日本はアメリカほど公正開示規制(フェア・ディスクロージャー規制。日本にも公正開示規制はあります)が厳しくないため、企業から開示される情報量が会社によって多かったり少なかったりします。例えば、私が知る限りで日本企業で情報開示が多い会社は、半導体関連、特に半導体デバイス、半導体製造装置、ゲーム関連(ソニーグループ、任天堂など)などです。また、ハイテク系のネットメディアは日本でも充実しています。

3)勉強する素材にはどんなものがあるか

 アメリカ株の場合は、

会社側の開示資料

  • 業績プレスリリース
  • 決算電話会議用のプレゼンテーション資料
  • 業績数字の詳細表(別途掲載されている場合がある)
  • 10Q、10K(10Qは四半期報告書、10Kは年度報告書。詳細な業績数字とその説明。会社経営陣が行う企業業績の定性評価(マネジメント・ディスカッション)が含まれる)
  • 決算電話会議の音声録音
  • 決算電話会議のスクリプト(書き起こし)(IR欄に掲載されている会社と掲載されていない会社がある。英語が苦手な場合はグーグル翻訳で日本語に翻訳する)
  • 年に1回開催されるIR Dayの内容
  • その会社の製品・サービス欄に、主力製品や伸びている製品の説明書きやプライベートカンファレンスの内容が掲載されている場合があるので参考になります。

 英語が苦手な場合はグーグル翻訳等で日本語に翻訳します。

ネットメディア等

  • 決算電話会議の書き起こし(いくつかのネットメディアで決算説明会の書き起こしが無料で掲載されている。調べたい銘柄のティッカーシンボルの後にTranscriptと書いて検索してみてください)
  • ハイテク系メディアの記事(詳しくわかりやすい記事が多い)
  • 調査会社のウェブサイトで半導体やITサービスの市場シェア関連のプレスリリースを公開している場合がある。また、そのリリースをネットメディアが転載している場合もある。市場シェアの数字は重要。

 ニュースや各種の情報収集では検索が重要になります。

 ちなみに私が各企業をどのように調べているかというと、まず、決算発表時に公表される業績リリースの損益計算書、セグメント別情報と次の四半期の業績ガイダンス(予想売上高、売上総利益率、販管費、税率などの予想。レンジで表現されることが多い)から次の四半期の業績予想を立てます。また、プレゼンテーション資料がある場合はそれも見ます。

 そして、決算電話会議のスクリプトをじっくり読み込みます。経営者とCFOの説明、証券会社、機関投資家のアナリストの質問とそれに対する経営者の返答がかなり詳しいため、スクリプトを読むだけで、その会社と業界に対してかなりの知識がつきます。加えて、同業他社、顧客、仕入れ先など、その会社の周辺にある会社の決算電話会議スクリプトを合わせて読み込むと、その業界で何が起きているのか、その業界はどこに行こうとしているのかが分かってきます。

 アメリカには、このようにして自力で企業を調べて長年投資している個人投資家が沢山います。

 個人投資家の場合は、自分のペースで勉強すればいいと思います。また、仕事でやっているのではないため、業績予想をする必要はなく、会社の方向性が分かればいいと思います。

 日本株についても同様の情報が企業のIR欄にありますが、会社によってその量にばらつきがあります。アメリカ企業並みに情報量が豊富な会社も多くなってきましたが、そうでない会社もあります。また、日本で上場企業が年1回発行する有価証券報告書、年3回発行する四半期報告書は数字ばかりで記述部分が少なく、その企業の内容がよくわからない場合もありますが、最近は記述部分が比較的多い会社も出てきました。

6.重要なのは自分に合った投資のやり方を見出すこと

 新NISAは日本の家計の実情に沿った、よく設計された制度だと思われます。投資経験が長い方は、ご自分でこの制度を使いこなすことをすでに考えておられると思います。数年以上の長期投資であれ、1年に1回から数回個別銘柄に投資する短期投資であれ、自分にあった手法で投資するとよいと思います。

 新NISAの良いところは、1年以上数年間、場合によっては10年以上の投資でも、1年に何回か投資する短期投資でも、両方に対応できる制度であるということです。私は株式投資は半年から1年以上保有しなければ成果は上がらないと思っている人間ですが、短期投資を否定するつもりはありません。全て個人の自由であり、個人の自己責任です。

 一方で、投資の初心者の方は、インデックス投資や個別株投資について、少々時間をかけて色々な投資を少額で試してみるとよいと思います。重要なことは、自分に合った投資のやり方を見出すことです。新NISAは様々な個人投資家のニーズに十分あう制度であると思います。

 なお、スポット投資(買い切り型の投資)と積立投資とどちらが良いかという問題は、個々の個人投資家が月々投資に回せる資金額、所得水準、金融資産の額、性格、投資経験などによっても考え方が変わると思います。これも投資初心者の場合は少額で試してみるのも一つの考え方と思います。前回も書きましたが、毎月無理のない範囲で投資に回せる資金額を決めて、自分が投資したい投信・ETF、個別株に投資するというやり方を試してみても良いというのが私の考え方です。