正解:為替ヘッジのコストは5~6%

 為替ヘッジのコストは、1年間でおおむね5~6%になると考えられます。従って、正解は、【2】5~6%です。

 詳しい説明は割愛しますが、米ドル・円の為替ヘッジコストは、おおむね米ドル金利と円金利の差となります。3カ月米ドルを為替ヘッジするなら、そのコストは年率約5.54%(3カ月の金利差を年率換算)です。1年の為替ヘッジなら、約5.09%(1年金利の差)です。

 1年の為替予約は実際には取りにくいので、実務上は3カ月の為替ヘッジを4回つないで、1年間ヘッジします。1年間でおおむね5~6%になります。

 これは、あくまで2023年12月5日時点の数値です。今後、日米の金融政策などで米国および日本の金利が変われば、ヘッジコストも変わります。

為替ヘッジしながら、外債に投資すべきか?

 外国債券の利回りは高いですが、為替ヘッジして投資すると、そのコストで相殺され、高利回りの魅力はほぼ失われます。外貨金利と円金利の差が、ヘッジコストとしてかかるからです。

 米国の10年債の利回りは今、4.24%です。ところが、前段で説明した通り、米ドルについて為替ヘッジすると、年率5~6%のコストがかかります。米国債の高金利メリットは完全に失われます。

 為替ヘッジしても利回りメリットが残ることもまれにありますが、ほとんどの場合、利回りメリットは失われます。

 ご参考までに、ドル/円為替レートのフォワードレート(1ドル当たりの円換算額)を以下にお示しします。詳しい解説は割愛します。為替予約に使う実際のレートです。

<ドル/円為替の、フォワードレート:2023年12月5日14時>

出所:QUICKより作成

 後半は難解になりましたが、初心者の方には、以下の結論だけ覚えてください。

【これだけは覚えよう!】為替ヘッジするとヘッジコストによって海外の高金利メリットはほとんどなくなります。

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